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晴天に恵まれた小笠原ヨットレーススタートの日
連休中の5月2日にヨットレースはスタートしました。 参加艇の1つは「東京オリンピックを成功させよう!」と書いた旗を運びます。 東日本大震災で被害を受けた地域に元気を取り戻してもらい、 フラッグを受け渡していくことで全国のヨットマンが1つの輪になって貢献したい、 という「海の聖火リレー」をしていくイメージだそうです。 5月23日の東京新聞に「復興の旗 五輪へつなぐ」という記事が掲載されました。 このレースを皮切りに東京五輪の開催される2020年までフラッグを全国にリレーしていきます。 当日の朝、12時のスタートを前に参加艇は最後のチェックをしていました。 セールををたたんでブームの上に置き、マストに上がって計器をチェックします。 すべて準備が整うまでサポートチームの女性陣は(することもないので)、 大根山公園の丘に登り、旗を振って応援しました。 とても良い天気で湾内も烏帽子岩も良く見えました。 ヨットからもこちらの様子が見え、気合が入ってきたと連絡がありました。 各艇は忙しく準備を済ませ、次々とレース海面に出て行きました。 おまわりさんも出艇を見守ります。 私たちも観覧艇に乗って、スタート海面へ向かいました。 レース海面は二見湾内、第3ブイをアウターにして本部船との間がスタートラインになります。 湾内には客船「ぱしふぃっくびいなす」号が入港していました。 スタートライン近くの海面に着くと、もう良いポジションを取ろうと マニューバリングが始まっていました。 応援しているヨットが観覧艇の近くまで来てくれました。 スタートしたら4日くらいは大海原と風との戦いです。 「がんばってぇ〜」「ゴールで待ってるからね〜」などと黄色い声の声援も上がります。 マニューバリングがしばらく続く中、スタート時間が近づきます。 スタートの合図のフォーンが鳴る前にラインを越えるとフライイングになり スタートラインに回り込んでもう一度スタートし直さなければいけません。 でもスタートでリードすることは必須です。 いい風を取れるポジションを取ろうとつばぜり合いが続きました。 フォーンがなりました!スタートです。 おお!我らが艇はいいスタート、一番にラインを超えていきます。がんばれっ! 早い早い!ぐんぐん先に走っていきます。 観覧艇も後を追いますが追いつけません。 空と海が合わさっている水平線のそのはるか彼方、 500マイル先の小網代沖のゴールを目指したレースの火蓋が切って落とされました。 ヨットの大きさによって速さが違うので厳しいレーティングが課されています。 ですから一番にフィニッシュしても優勝できるとは限りません。 応援しているヨットは40フィートなので前回1位を争ったヨットとは、 大きさは変わりませんがレーティングにより2時間ほどの差をつけないといけません。 一番大きいヨットは55フィート、これも早いです。 いけいけ!飛んでいけ! みるみる水平線に紛れそうになっていきます。 どうかすべての艇が無事にゴールできますように。 最後までそう願いながらずっとずっと見守りました。 …あーぁ、行っちゃった! 昼も夜も4時間毎のワッチをしながら風の力で進んできます。 みんな、がんばれー。 海と空が合わさっているところに帆影が吸い込まれていくのを見つめていました。 なんだかまだ見えているようなのだけど、もう見えないのかもしれないな… なんて思っていると、グゥーン…とエンジンの音が高くなりました。 観覧艇はこの後、兄島瀬戸を通り抜けて父島をぐるりと一周する旅にでます。 船は右に旋回すると速度を上げ、前に行った宮之浜を通り過ぎました。 この辺りは潮の流れが厳しく渦を巻くように潮目が見られました。 釣り浜を過ぎ、枕状溶岩のある長崎展望台を過ぎる頃のことです。 「おっ!いるぞ〜。親子のクジラだ!」と声が上がりました。 マッコウクジラでしょうか。仲良く並んで潮を吹いています。 5、6月頃まで小笠原付近でクジラは子育てするのだそうです。 その後は北へ向かいベーリング海へ。お父さんに会いに行くのでしょうか。 驚かさないようにエンジンを止めてしばらく見ていました。 前ビレを高く上げたり、息継ぎに上がってきたり、親子は悠々と泳いでいます。 エンジンをかけて船は前進しました。 少し行くと軍用施設のある初寝浦展望台のあたりを通りました。 アオウミガメやイルカも多く見られるというのですが出会うことはできませんでした。 「見て見て!大きなクジラだよ!」 またまたクジラさんには出会えました。 クジラのジャンプは見られなかったけれど、大きな尾びれを高く上げていました。 これでイルカが船に伴走してくれたらもうみんな大興奮だったことでしょう。 船は鯨崎を廻っていきます。 右の切り立った断崖絶壁の島肌には樹木は一本も見られません。 左手に面白い形の小島が見えました。 父島の南端、天之鼻を通り過ぎしばらく行くと千尋岩が見えました。 円縁湾という緩やかな湾に抱え込むようにそびえる断崖絶壁で 海側からは赤い岩肌がハート型に見えるのでハートロックと呼ばれています。 円縁湾を過ぎると急に海の色が変わりました。 色が、緑がかった青、透き通った藍、などと変化していきとても美しい海域でした。 島の方を見ると純白のビーチがありました。 ここはジニービーチと呼ばれ陸路はなく、海からしか来られません。 シーカヤックできたのでしょうか、浜には人影が見えました。 もう南島との瀬戸を通り、最南端をすぎ西側に廻り込んでいきます。 ここも陸路は見えず饅頭岬を越して、初日にシュノーケリングをした小港海岸沖を通過、 旧日本軍が埋め立てて作った飛行場跡がある野羊山、洲崎を回ると二見湾です。 ぱしふぃっくびいなす号の船客は今夜は小笠原に泊まるのでしょうか。 ぐるっと一周、3時間ほどの船旅はサプライズ満載で大いに楽しめました。 波やうねりもあまりない快適な船旅でしたが、 下船してもしばらくは足元が揺れているような感覚が残っていました。 もうみんな行っちゃった… なんだか気が抜けてしまって立ち寄ったカフェでもなぜか無口。 裏口にあったサメには笑ってしまいましたが… なんだか時間が止まってしまっているような感覚になる夕暮れでした。 太陽はゆっくりと水平線の向こうに落ちて行っているのだけれど、 空は刻々とその色を染めていっているのだけれど…時間は行ってほしくない。 私は本当に小笠原にいるのかしら… 明日はもうおがさわら丸で帰るなんて… 帰ったら全てが夢の中のように思えてしまいそうで寝るのが嫌でした。 次は小笠原最後の日とおが丸での帰途のことを書きます。 ここまで読んでいただいてありがとうございました。 ランキングに参加しています。応援してくださいね お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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