2015年7月3日金曜日

電気主任技術者 仕事:スターデルタ起動故障対応2

スターデルタ起動の後半の動作説明をします。
必ずこの前記事を先に読んで
下の記事を読まれてね。
繰返しになるけどどんな現場でもこのモーター起動
方式はあるので電気主任技術者を目指す方は扱え
ある程度の修理ができないと必ず困る時が来る
ので習得されてください。

まずマグネットMCMとMCSが投入状態となり最初にスター結線で
モーターは電圧の減圧起動をしています。
電源電圧のルート3分の1でまず起動しその印加はタイマーの
設定時間まで継続するんだよ。(10秒程度)
その時間を経過するとまずタイマーb接点が切れるのでMCMと
MCSのマグネットが一瞬だけ切れます。

同時にタイマーa接点がONになる事でデルタ回路のマグネットMCD
が投入され青線先の接点がONになる事で②回路でMCMも投入
そしてMCDも投入される事でこのモーターは今度はデルタ結線
で運転されます。

この状態では電源電圧がそのままモーターコイルにかかるの
ここで上の①回路のとこでMCSのb接点があるのはスター回路が
切れないとデルタ回路が投入されない。
逆にデルタ回路が切れてないとスター回路は投入されないという
MCDのb接点がMCSの頭にもあるよね。
こういうのをインターロック回路というんだけどスター回路と
デルタ回路が同時投入されては短絡してしまうからです。


ただその切替時に一瞬モーターが無電圧になるために突入電流が
流れてしまいます。
針式電流メーターなら切替時に針が大きく振れるのを確認できる!
ただあくまで瞬間だからこれで故障したりはしません。
(これをリダクションキックというのだそうです。)

故障事例・デルタ回路が入らない
1.タイマーA接点が動作しない
この場合はタイマー交換をしてください。
(ソケットなので誰でもこれは交換可能)

2.インターロックのとこのMCSのb接点が切れたまま
この場合はスター回路のマグネットMCSの交換。
マグネット交換方法は前記事をご覧くださいね。
これは少し練習が必要です。

故障事例・デルタ回路投入で過負電流トリップ
スター回路マグネットMCSが不良で動作せずタイマー
時間経過して停止状態からいきなりデルタ回路で起動
した場合、つまりいきなり全電圧起動状態。
通常は電圧を下げて起動電電流を1/3まで下げて起動
ところがいきなりデルタ起動ではスター起動時の3倍
起動電流になるのでサーマルリレーTHRが動作します。
MCBは短絡保護なのでこれが動作する前に必ずTHR
の方が先に動作
してモーターへの通電を停止します。

サーマルリレーはMCBで保護することが困難な、電動機
の過負荷保護に使用されることが多く、過負荷によって
発生する過熱を監視することで、電動機の破損や
焼損を未然に防ぎます。熱によって動作するため
「熱動継電器」とも呼ばれています。

私は実際のこの故障に遭遇した事があります。
実際の現象で言えば
起動ボタンを押してもモーターがまったく回転せず
10秒くらいしてTHRで過電流トリップ表示。
そういう事もある事を頭の隅に入れておいてください。

時々スターデルタ盤で停止、起動中、運転の3個のランプ
表示がある盤があるけど、起動中とはスター回路が投入
されてデルタ回路が投入までの状態を意味します。

遠隔監視ではこのデルタ回路の投入を持って運転完了表示
をしますが、もし負荷が軽く切換に至らないでスター回路で
機器が継続運転した場合、PCでは停止してるのに現場の
機械が動いてるという故障もありえます。
(タイマー故障で急に動作が途中で停止)
故障は必ずこう発生するは誰もわかりませんが配線のつながり
さえわかってるなら解決策は必ずあるのが電気です。


前述したけどこの起動方式はタイマー故障も大きな
原因の一つ
なので必ず部品を購入して在庫を持ちましょう。
同じメーカーが施工してるのだからどの機械の盤内の
タイマーも同じ製品を使ってるはずなので1個でも在庫
であれば電気主任技術者としても安心ですよ。
部品がなければ修理するのにもほとんどできはしません。

私の会社では私が会社の許可なしで部品購入できる予算は毎月
10万円なのでそれで必要なタイマーやマグネットなどを購入します。
以前は1円でも購入時は会社の許可が必要でしたがその事で
お客様への対応が遅れる事があり、とりあえず毎月10万円分
は事後報告で自由に部品が買える様になりました。
パーツはたぶんどこの現場よりも今は在庫としてあると思います。

1点だけ注意したいのはお客様が私物を持ってきて修理して
ほしいと言われた時です。
特に家電製品はメーカーのサービスン以外は修理禁止なはずで
中を貴方がいじった段階ですべての責任が発生します。
特に発火や感電に至った場合は責任を問われるため家電製品
は扱うべきではありません。
あくまで電気主任技術者が扱うのは共用部の設備と保守管理
契約を結んでいるテナントの契約機器類だけです。