2017年8月6日日曜日

原因不明な漏電

8/4夕方店舗が全停電したと電話がありました、店内は真っ暗で早急
にまずは分電盤を見たけど家の分電盤と同じで主幹のみELB回路。
子回路のどれか1個でも漏電が発生すると全体が停電してしまうタイプ
漏電の有無を確認するのに主幹で一括絶縁抵抗測定を実施しました。
1回路づつ測定していては時間がかかります、こういう場合は!
(1秒でも早く確認及び処置をして主幹投入をしないといけません。)

主幹にて100Vメガで20MΩあるので絶縁異常はないため主幹を即投入
して店内の電源配給を復旧させました。もし異常があればまず子MCBを
半分だけ切り主幹メガをする、それで正常なら残り半分のMCB回路に
原因があるので更に半分にして測定をする、最後に不良個所を切り離
せば主幹の投入が可能となります。...回路数が多い場合この方法が
迅速に確認可能です。

前も説明したけど100回路あるとして99回路が十分な絶縁抵抗値RMΩで
1回路だけ0.1MΩとしたら合成抵抗RTは何MΩになるか?RMΩが99個並列
でR/99で更にそれと0.1MΩの並列抵抗値を計算します、Rは常に正数で
最終式から1回路でも0.1MΩがあれば必ずRTは0.1MΩ以下になるのです。
だから主幹メガで0.1MΩなんて値が出たら0.1MΩ以下の回路があります。
逆に主幹で20MΩあれば異常な絶縁抵抗値の子回路はないです。

主幹でこんな0.1MΩ付近の値ではどこかにこれと同じ程度の絶縁抵抗
回路があります、他が20MΩ以上あるのに58条の最低基準を満たして
いてもそこだけそのままでいいわけないです。更に値は低下します。
測定した瞬間だけ最低基準を満たしておけばいいという現場管理も法的
には問題ないでしょうが、近日ELBトリップ、低圧地絡が発生します。
"対地電圧100V回路は絶縁が0.1MΩあれば問題なし"記載を見ますが
実際に現場を担当してみてそれだけは受け入れられません。
(中高年の方は1.6MΩと見間違がわないで.16であり0.16MΩです)
最初の新設当時はすべてが100Vメガで20MΩ以上ありなぜそこだけが
0.1MΩ付近なのか?単なる経年劣化だけでここまで値は下がりません。
必ず何か劣化傾向にある原因がこの回路にはあるのです。

念のため店内の機器プラグが破損したりコンセント口の焼損がないか
目視確認したけどそれもありません。ここは過去1回も漏電事故がない
テナントなのです。ただ絶縁抵抗測定は機器が停止した状態での判定
機器が稼動状態で内部回路等で発生する異常はわかりません。
昼間営業状態でI0測定が必要なので明日再調査という事でここまで。

翌日の14時に主幹でI0を測定しましたが0.4mAしかなくてこれはI0r
ならば0mAの状態で極めて正常な状態です。主幹でI0が1mA未満では
子回路のI0測定や昨日と同じメガをしても意味ないです。
子回路は
通常負荷ならば1mA未満で0.1~0.5mA程度がほとんどですね。こう
いう★突発的に1回だけ漏電が発生し調査しても原因不明な漏電★
というのも稀にあります。原因はテナントが使用してる機器類と思って
間違いないけど測定した時に異常値がないなら様子見しかないです。

もしテナントが"ビリビリするので点検してほしい"又は設備部屋まで持参
された場合、直接機器で判定するなら裏アースと電源プラグ間にて100V
メガで絶縁抵抗測定をします。機器にアース端子がないならば本体の塗装
がない金属部分を挟んでこの間と電源プラグ間で絶縁抵抗測定を行います。
塗装面間で測定しては常に絶縁良好で当然、メガの正しい使い方をしてる人
ならばそれに気がつきますが導通CHECKもせずにメガをする先輩もいます。

正常ならば私の経験上100Vメガで20MΩあります。0.1MΩとしたら正常
と判断するかだけど20MΩが0.1MΩまで低下してる自体は劣化進行の
途中経過としか考えられない。電技省令第58条は最低基準ですから
こういう物は最低でも1MΩが好ましいなる記載を専門siteで見ます。
0.1MΩというのは人間が電気を感じ始める電流が1mAだからオーム
の法則により100Vで割って算出した対地間抵抗値に過ぎません。

左が負荷電流測定で仕様によると980Wとあるので10A程度が流れて正常
です。右はI0測定をしています、メガは電気を止めた状態での絶縁判定で
I0は機器が稼働状態での絶縁判定ができます。こういう単体機器ならば
家電でI0が単体機器で1mAを超えた経験は私は一度もないです。
新品の機器ならばI0は0.1mAでI0rは0mAとかになります。
右の測定器はI0とI0r測定専用で通常の負荷電流測定ができません。

ただ掃除機の様な物で全体がFULL樹脂ですとメガ測定が無理なので
I0で測定するしかありません、中の金属部でクリップすれば可能だけ
どテナントの私物を分解すると常に弁償の可能性があるので裏ブタを
空ける行為は私はしません。機器マニアルにメーカーサービスマン以外
は内部点検禁止と記載がある他人の私物はけして分解しない事。

テナントは点検してほしいと頼んでおきながら調子が悪くなると設備の
あの人が開けて中を触ってから調子が更に悪くなったなんて平気で言う
人がいます...だからって壊れたらいけないからお断りなんて言ってる
とオーナーに対応が悪いと通報されたりするので無視もできないのです。
そういう場合オーナーが見方するのはお金(家賃)を払ってるテナント!
モンスターペアレントみたいなテナント担当者はどこのビルにも一人は
いるので発言と行動には十分に注意しましょう。ビル設備管理とは物
を維持管理する以上に人の扱いが下手だとトラブルの火種になります。


1mA未満ですからいいんだけどこの掃除機は職場にある結構古いので
I0も少し高めなのかと感じました。もし1.5mAとなる様な機器では絶縁
不良判定は微妙なのでI0rを測定します。物によってはI0では1mAを
少し超えるケースが稀にあります。こんな時はI0r測定をします。
(つまり対地間静電容量回路による漏れ電流が多いケースですね)

I0r測定では電圧クリップが別に必要なのでコンセントに少し細工して
線路2線分の電流を挟めばI0rがこの位置でも測定できます。
(プラグの黒線側を必ずコンセントの非接地側に刺さないといけない)
上の掃除機の場合I0rですと0.24mAでしたので問題はありません。
上の0.73mAではなくI0rの0.24mAが本当の正解ですね。
I0r測定は常に電圧クリップが必要なので最初にまずI0で測定してる
だけで基準値の1mAを厳密に判定が必要な時はI0rで確認します。
一般家庭の定期絶縁測定で保安協会は従来のメガか漏れ電流で判定
してる時代ですからI0/I0rで絶縁判定する事に問題はありません。
(保安規定に明記されてる年1の絶縁抵抗測定は省略できません)

テナントでエアコン室外機ELBがトリップしたのにメガをしたらなぜか正常
...あれ漏電でELBが動作したはずなのに?
コンプレッサーが動作した時だけ漏電するならば電気を止めて測定する
メガでは値として絶縁不良がわからないケースがあるのです。
(回路が止まっていては内部電気SWが切れてるのでメガの電圧がかから
ないわけです)エアコンに限らず私は機器が漏電トリップした場合はメガ
とI0の両方で確認をします

メガはDC電圧で測定する事で対地間静電容量を発生させないで直接
対地間絶縁対抗を測定する、I0rクランプは抵抗分は電圧と同相です
から電圧位相を入力する事で対地間絶縁抵抗により流れる漏れ電流
のみをを測定しています。リーククランプメーターは数百Hz以上の漏れ
電流成分をカットする物でI0rを測定できるわけではないので厳密に
漏れ電流判定というならI0rクランプしかないです。ただI0>I0rだか
らI0が十分に低いならI0rの測定の必要はないです。

見方を変えたら電源周波数と同じ周波数の漏れ電流成分だけ測定
できるリーククランプメーターがあるならI0rクランプと同じ意味だけ
ど50又は60HZ以外をすべてCUTできるリーククランプメーターはない

対地間静電容量はつまり容量性リアクタンスなので高い周波数成分
にはインピーダンスが低いためこれが多いと線路の高周波分も漏れ
電流として流れてI0が増えてしまうわけです、対地間静電容量とは
検電器を使用する場合に検電器抵抗分⇒人体抵抗分⇒対地間静電
容量という経路で検電器は反応するわけでACを使う回路はその場所
事に見えない対地間静電容量という回路を電源との間に構成します。
検電器について仲間から人体を導体にするのはわかるけど足元は
導体ではないのになぜそれが点灯するのか不思議といつか質問され
ると思います。私はこう人には答えています。

対地間静電容量は利用できる点もあれば逆に漏電でもないのにI0を
不要に増加させてしまう可能性もあるという事ですね。
エジソンが電力事業を始めた時代はDC送電ですから対地間静電容量
の問題はなかったはずです。忘れた頃に変圧器の低圧地絡警報、ELB
の不要動作が発生した場合はテナントや職場上司に説明しないといけ
ないので電気主任を目指してる方は最低限私以上はメガの意味~I0r
とは何かは理解しておきましょう。

回路図から機器の電流ヒューズが切れるというのは原因があるからで
まったく動作しない場合にヒューズ交換すればいいというわけではあり
ません。ただこうした機器は現場の電気主任が修理してはいけない物
なので必ずメーカーに出す様にテナントには答えてください。
ヒューズを無断で交換して後で出火でもしたらそれをされた方がすべて
の損害弁償をする義務を負います。

こうした100V機器は500Vメガは使わないので測定中は測定器も見え
る様に撮っておくべきです、(私が使用してる100Vメガは100Vメガ以上
では測定できない)、後で設備の方が間違えて500Vメガを使ったせい
で電子回路が故障したとか意地の悪いメーカー担当に言われたくない
(家電の中はこういう状態で専門技術者以外どうせ修理できない)

家電というのはどこでも使用されますから電気主任をしてると感電
した、動作しないなどの相談をテナントから時々受けます。

最初から"何もできません"とはテナントには言い難いので可能な事は
最低限してあげています。特に★漏電が常時発生してる場合は測定の
結果、確認できるはずですから確認して使用中止をアドバイスします★
それでテナントも納得して古いから購入とか社内で検討もできます。
30mAのELBは15~30mAで動作するのでたとえば0.01MΩの絶縁値
でもI0は10mAだからELBは動作しない事に気がついていますか?
ELBが動作してないから絶対に漏電はないとは言えないのです。
"ビリビリするので点検してほしい"とはそういう状況、だから年に1回
は機器を接続した状態で線路の絶縁抵抗測定を実施する必要があり
ます。家電も10年したら必ず交換してほしいけど強制もできません。

もう少し詳しく説明すると接地がその機器にきちんとされていたとしても
漏電による機器金属部の電圧上昇は対地電圧をその機器のD種接地
抵抗と変圧器B種接地抵抗の各値の分圧となります。B種接地が十分
に低くて機器のD種接地が100Ω未満であっても高ければ接触電圧は
高くなります。文献によれば乾燥した状態での接触では50V以上は
危険だそうです。ビルビリするで済んでるなら50Vはないのでしょうが
その電圧に触れて人体に1mAが流れて電気を感じてると理解しています。
よりシビアにELBが動作する様に仮に1mAでトリップする様にしたら完璧
ですがそれでは頻繁にELB(電源)が切れて使い勝手が悪いでしょう。

無限大なる絶縁抵抗値は世の中には現実ないわけで有限な値である
以上は分電盤各子回路には正常でも微量なI0rは流れ同時に主幹で
はそれらがすべて+対地間静電容量分も加算されるため主幹I0測定
では1~5mA程度は流れます。(通常使用されるELBはI0値に反応)
I0rが0mA以外を漏電というならすべての電気設備は漏電しているわ
けで又主幹のみにELBを使う分電盤でそれが1mAでトリップしていて
は電気設備として利用ができません。
安全を最優先すると同時に使用制限が大きくなってしまう。
★100%の安全対策は現実、電気設備においては無理だと思います★

私の保守範囲は22000V~100Vまでです。
トラブルというのはビル現場では対地電圧100Vの回路がほとんどです。
電気設備安全管理においては対地電圧で物事を考える癖をつけましょう。



今の時期はエアコンは欠かせませんがもし27℃設定で運転するつもり
ならば33℃になるまで我慢して冷房を開始するのはちっとも節電には
なりません。個人的には設定温度で冷房運転は開始すべきです。


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