高校の教科書にある『こころ』を3時間で読み合わせ
AO対策基礎講座を受講している高3生の定期テスト前に、学校の国語の教科書で夏目漱石の『こころ』をやることになったということで、個人指導で扱いました。
私が段落ごとに音読しながら、ホワイトボードを使って解説していきます。
もちろん、重要なところでは、本人に質問をして確認しながら進めていきます。
読む前にポイントとして「学習の手引き」「欄外の問い」にある設問の解答を考えながら読んでいこうと言って読み進めました。
その設問は以下でした。
1段落・・・「急に不愉快に」なったのはなぜか?
⇒寒い雨の日に、Kがいないにも関わらずKの室には継ぎたての火があったのに、自分の室にはなく火だねさえつきていたから。
4段落・・・「どこへ行っても面白くないような心持ち」とはどのような気持ちか?
⇒むかつく気持ち。お嬢さんとKが一緒に歩いておったので嫉妬している。
5段落・・・「ほとんど取るに足りない瑣事」とは何をさすか?
⇒Kとお嬢さんが一緒にいたことについてお嬢さんにからかわれたこと
8段落・・・「どちらの方面」とはどのようなことをさすか?
⇒奥さんにお嬢様をくれと打ち明けるか、いわずにあきらめるかということ
12段落・・・「この問題」とは何か?
⇒お嬢さんへ告白するか(奥さんへ言うことも含めて)どうかということに対して、Kへの嫉妬心までもが絡んだ問題
14段落・・・「そんなこと」とは何か?
⇒Kの奥さんとお嬢さんに対するしつこい質問
16段落・・・「相手は自分より強いのだという恐怖の念が兆し始めた」のはなぜか?
⇒Kの言葉の調子からお嬢さんへの思いの強さを感じたから
19段落・・・「午前に失ったもの」とは何か?
⇒自分のお嬢さんへの思いをKに伝えなかった時機
22段落・・・「襖」の役割は何か?
⇒自己の気持ちを隠す扉
28段落・・・「例の事件」とは何か?
⇒Kからの告白事件
30段落・・・「要塞の地図」という隠喩には、どのような表現効果があるか?
⇒Kの弱い心を隠しておく頑強な場所の在りかを私が知って、これからKを簡単に叩きつぶすだろうことを表わしている
31段落・・・「理想と現実」とは、それぞれどのようなことをさしているか?
⇒理想は恋を諦めて道のために恋を犠牲にすること、現実は恋を諦めるのがあまりに苦しいこと
31段落・・・「残酷な意味」とは何か?
⇒Kに以前投げかけられた言葉を逆に投げ返すだけではなく、その目的がKの恋を壊すことにあるという意味
33段落・・・「私の利害」とは何か?
⇒恋敵
37段落・・・「そこ」とは何か?
⇒Kの性質である正直さ、単純さ、善良さ
39段落・・・この「覚悟」とはどのようなことか?
⇒恋を諦めて理想を取るか現実の恋に走るかを決定する心構え(どちらかというと恋を諦める覚悟か?)
48段落・・・「そういう点」とは、どのようなことをさしているか?
⇒一度決めたことはやり通す点
49段落・・・「一般」と「例外」とは、それぞれどのようなことか?
⇒一般はKの果断に富んだ性格、例外は優柔不断な心
50段落・・・「最後の決断」とは、具体的にはどうすることか?
⇒私がお嬢さんの奥さんに告白すること
54段落・・・「うそ」とは、具体的にどのようなことか?
⇒奥さんからKに何か言われたのかと聞かれて言われていないと言ったこと
■お嬢さんに対する恋をKから打ち明けられた「私」の心理状態をまとめよ
⇒不思議~驚き~恐ろしい~苦しい~焦り~恐ろしい
■Kと「私」の性格は、それぞれどのように描き出されているか?
⇒Kは正直で私はずるい
■40段落目、「覚悟、-覚悟ならないこともない」というKの言葉には、どのような心情が込められているか?また、この言葉をめぐっての「私」の心情は、どのように推移していったか?
⇒平生の自分の言動に責任をもつために恋を諦める覚悟があるという固い決意であり、この苦しい心情を私に分かってもらいたいだけであるという思いが存在している。
⇒Kをやり込めようとする焦りや慢心~安心感~疑心
設問の解答が書かれている付近を読み進めていくときに、そこで立ち止まって「この設問の解答はなんだと思うか」と聞きます。
それに答えてもらいました。
あえて深読みしたり、こうした考えがあるのではないか、ここは難しいと指摘しながら、さらに読み合わせていきます。
これって簡易な読書会ですね。
『こころ』は、国民的小説と言われているほど人気の高い作品です。
新聞の連載小説で、非常に平易な言葉で書かれています。
人間のエゴイズムをテーマにしているそうです。
今度、読書会の課題図書で扱ってみたいと思いました。