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貝原益軒の養生訓―総論上―解説 026 (修正版)

2015-06-27 16:56:12 | 貝原益軒の養生訓 (修正版)
(原文)

養生の道は、恣なるを戒とし、慎を専とす。恣なるとは慾にまけてつつしまざる也。慎は是恣なるのうら也。つつしみは畏を以、本とす。畏るるとは大事にするを云。俗のことわざに、用心は臆病にせよと云がごとし。孫真人も、養生は畏るるを以本とす、といへり。是養生の要也。養生の道におゐては、けなげなるはあしく、おそれつつしむ事、つねにちいさき一はしを、わたるが如くなるべし。是畏るなり。わかき時は、血気さかんにして、つよきにまかせて病をおそれず、慾をほしゐままにする故に、病おこりやすし。すべて病は故なくてむなしくはおこらず、必、慎まざるよりおこる。殊に老年は身よはし、尤おそるべし。おそれざれば老若ともに多病にして、天年をたもちがたし。

人の身をたもつには、養生の道をたのむべし。針灸と薬力とをたのむべからず。人の身には口腹耳目の欲ありて、身をせむるもの多し。古人のをしえに、養生のいたれる法あり。孟子にいはゆる、慾を寡くする、これなり。宋の王昭素も、身を養ふ事は慾を寡するにしくはなし、と云。省心録にも、慾多ければ即ち生を傷る、といへり。およそ人のやまひは、皆わが身の慾をほしゐままにして、つつしまざるよりおこる。養生の士はつねにこれを戒とすべし。

(解説)

 益軒はここでも、畏れ慎しみ、そして慾を少なくするようにと説きます。孫真人とは唐代の医師であり、『千金方』を著しました。益軒は『養生訓』巻六択医で、「孫思邈は、又、養生の祖なり。千金方をあらはす。養生の術も医方も、皆宗とすべし。老荘を好んで異術の人なれど、長ずる所多し。医生にすすむるに、儒書に通じ、易を知るを以てす。廬照鄰に答えし数語、皆、至理あり。此人、後世に益あり。医術に功ある事、皇甫謐、葛洪、陶弘景等の諸子に越たり。寿、百余歳なりしは、よく保養の術に長ぜし効なるべし」、と述べています。

 また、ここでは慾を少なくするを説くために、孟子や宋代の道徳人王昭素、同じく宋代の詩人林逋の『省心録』などから言葉を集めました。主張していることは、今まで「養生訓総論上」で述べてきたことと同じです。益軒はそれを言葉を換え、角度を変えながら繰り返します。

(ムガク)


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