※日替わりオープニング曲を聴きながら読んでいただけると感情移入もなんとなくできて

楽しく読んでいただけると思います

すぐ終わってしまうので動画画面上で右クリックしてループ再生推奨

 

 

 

 

 

 

ワタルやジャキたちはついにドクタ-ベルケルと相対する
ジャキは装置のことについて問いつめるが、証拠がないとシラを切られる
しかし人界の虐殺にあったことの人達のことを思うと決断する
反逆の烙印を押されてもなお、ドクタ-ベルケルと戦うという選択を…!




「ゆくぞぉ…!!!」



「おおぉぉおおおぉ------!!!!」
ムズガルド帝国軍はドクタ-ベルケル目掛けて突っ込んで行く


しかし、さすがは魔界軍の幹部
突如兵たちを召喚し、元いた兵たちも合流させてすぐさま守りの陣形へと入る


「ぐぬぬぬ…!」

「魔力さえ…!」
「魔力さえ消費していなければ貴様らなんぞ、
暗黒蟻を踏むほど造作もないはずなのにぃ゛…!!!」


ワタルやジャキたちにほんのすこしの光が見える
しかしドクタ-ベルケルまでまだ距離はある

前も敵…!
後ろも敵…!
横も敵…!
四面楚歌なのは変わらない
絶望的な状況に変わりはなかった


だがムズガルド帝国軍の士気は高い
自分たちよりも10倍もの大軍を目の前にしても諦めの色は消えない
しかも1人1人が自分たちより魔族たちにたいしてだ


ある者は剣を天空へとかざす

「私はムズガルド帝国軍第1士団長ウェリタス…!」
「命の惜しくない者から参れ…!!!」

「はぁぁあああああ-----!!!!」

その力はまさに第1士団長と言われても遜色ないくらいに彼女は成長していた
ウェリタスの思いがより強くしているのかもしれない
ばっさばっさと自分たちよりも強い者たちを斬り倒していった…!



次々と士団長たちが剣を天空へとかざし名乗り出ていく…!
己の強さを見せしめるため…
そして誇りにために



「俺の名はムズガルド帝国軍第2士団長サイファ-!」

「悪いが本気でいかせてもらうぞ…!」
サイファ-の目がギランと光る
サイファ-を知っている者たちはその強さを知っていた

ムズガルド城のでの戦いでは仲間同士ということもあった
だから戦いは本気であったものの心のどこかではセ-ブしてしまった部分もあったかもしれない。
しかし、今回は違う
サイファ-の身体からは押し潰されそうな気迫を感じる

その戦いは圧巻だった
本当にムズガルド城の戦いが、
本気でなかったといっても誰もが信じるであろう




「俺の名はムズガルド帝国軍第3士団長マッスルヘッド…!!」
「同じく副士団長ダンベルヘッド…!」


「我が鋼の肉体に宿る力をとくと知れ…!」
「どけどけどけどけぇぇええええ---!!!」

マッスルヘッドの圧倒的な力で、目の前にいる数十人の魔族たちを一気に吹き飛ばす!
この力はムズガルド帝国一と言われれば、誰しもが納得するだろう


「私の名はムズガルド帝国軍第5士団長ガスタフォ-ク…!!!」
「同じく副士団長ネライダ」

「我が命をとして戦おう…」


「かかってこい…!!!」



「戦う」




「同じくムズガルド帝国軍第7士団長アザ-ラ…!」
「すぐにお別れになると思いますが、お見知りおきを…」
「そして彼が私の副官、暗黒魔獣ニズベ-ル」


「ぐごがぁぁあああああ-----!!!!!」
その咆哮は近くにいる魔族たちを震え上がらせる


「いきますよ…!」
「ぐごぁぁぁああああ-----!!!!」

アザ-ラは囚人魔法、ニズベ-ルを巨大を身体を生かした力で、
ドクタ-ベルケルを目指し突き進んで行く


ムズガルド帝国軍は優位を保っていた

10万という大軍、心が1つになっていること、
それに思いが彼らをより強くする

ムズガルド帝国軍の快進撃は止まらない

そんな状況にドクタ-ベルケルは激しい苛立ちを覚える
「ゴブリンごとき最下等種に貴様らは一体何をやっている…!!!」
「恥ずかしくないのか!?」


「奴らを私に近づけるな…!!!」
「皆殺しにしろぉぉおお゛お゛--!!!!」


ドクタ-ベルケルの命令により更なる怒濤な攻撃がムズガルド帝国軍を襲う

「くっ…!?」
「だがこの程度の攻撃では我らは止まらん…!」
より猛烈な攻撃に戸惑うも、これしきでは折れない


ジャキはある方向に指をさす
それは遥か彼方にいるドクタ-ベルケルをとらえていた
「進めぇぇぇええええええ-----!!!!」

ジャキが最前線にたち陣頭指揮をとり士気を奮い立たせる
それに続き、士団長たちが各兵を引き連れ必死に戦っていた


「くっ…!?」
「使えぬ奴らだ」
「まさかゴブリン風情ごときに我が直轄の兵は使わねばならぬとは…」

「人界に攻めるにあたり、温存しておきたかったのだが、致し方あるまい」


そう嘆くと一呼吸する
そして叫んだ
「いでよ…」



「メカゴ-レム…!!!」



何か召喚したように見えたが、何も変わらない


ジャキは何かとても嫌な予感がしていた
そしてジャキはある異変に気づく
 

「空だ…!」
 

「くるぞぉ…!!!」


「なっ…!?」
ムズガルド帝国軍は絶句する



気づけば、何と巨大なメカゴ-レムが五体降ってきていた
そしてドシン…!と激しい大地に到達する衝撃音と共に、

ムズガルド帝国兵たちは無惨にも踏み潰された


「ひぃ…!?」
突如の襲来にパニックに陥る
今までは分断されることなく一丸となって戦い、
外のみの戦いに集中できていた
しかし、突如として内側に敵が襲来したことにより大パニックに陥る
しかし大パニックの中、死力を尽くして戦っていたがある異変がおこる

「ま、まずい…!?」
ジャキはある異変に気づき声をあらげる!

それは分断されそうだったからだ


「けけけけっ!」
「ゴブリンごときが調子に乗ってざまぁねえなぁ!」


暗黒ビ-スト使いたちが巨大な魔獣に乗り、一気に突っ込む!
それは10万の兵たちの4万と6万の境界
これを分断されると6万と4万の兵になる
この巨大な大軍に囲まれている中、分断されるのは致命的であった


「やめろぉぉおおお゛お゛----!!!!」
ジャキは叫ぶ


ムズガルド帝国軍は必死だった
中からはメカゴ-レムに蹂躙されながら、
外からは大軍に攻めたてられ逃げ場はない
死者も相当数出た


そんな無情な中、最悪な出来事がおきようとしていた

「やめ゛っ…!?」
ジャキはその光景を見ていることしかできない


暗黒ビ-スト使いたちがムズガルド帝国軍に深く入り込み、
最後の兵たちを押し退けようとする

「これで…」



「終わりだぁぁああああ----!!!!」

ジャキは絶望する
誰もが終わったと思った


その時だった
「終わらせるかよっ!!!」


「なにっ…!?」
暗黒ビ-スト使いたちは驚愕する


突如として魔獣のごとき男が現れる
いや魔獣として錯覚していた
魔獣と思わせるほどの殺気と気迫を放っていた


ジャキはその男を見て嬉驚する

「サイファ-…!?」


そうサイファ-だった
ムズガルド帝国で本気を出せば最強と言われていた男
その男がムズガルド帝国軍絶体絶命のピンチを救う

しかしジャキはあることに気づく
それはつい先ほどまでサイファ-は、
ちょうど外に現れたメカゴ-レムや敵たちとこのムズガルド帝国軍に浸入されないよう孤軍奮闘と戦っていた

よく見るとサイファ-は血だらけだった
各所に弓や矢が刺さっている

「やはりお前という男は…!」
ジャキは嬉しそうな声をあらげる
あの上級魔族ラヴォスとの戦いでもそうだった
自らの身体を挺し数々のピンチを救ってくれる
さすがは最強の男だと思った


サイファ-は弓が刺さった血だらけの状態で空に向かって吠える
「諦めるな…!!!」



「俺たちは一体何のために立ち上がった!?」


「こんなところで死ぬためじゃないだろ!?」
「まだ我々の矢は奴に届いてはいない!!」
じろりとドクタ-ベルケルを睨み付ける

その一言にみんなに再び冷静さが戻ろうとしていた



「へへへ…」
「まさにその通りだ」
そんな時、ワタルと必死に戦っていたバージェットが嬉しそうにポツリと言った

 

そしてワタルの肩をポンと戦うと前を見て言った
「すまねえな」
「このままだとらちがあかなそうだ…」

「悪いが昔の俺に戻らせてもらうぜ…」
ワタルはバージェットが何を云わんとしているのか瞬時に理解する
バージェットを見てこくりと頷く
バージェットもワタルの目を見て理解してくれたのだと思い、
こくりと頷いた

バージェットは前を見て駆け出して行く
「ちょっとガラじゃねえからひかねえでくれよ」
そう言い残して…




そしてしばらくすると声が聞こえてきた
「お前ら何やってんだ…!!!!」

「この状況下では中にいるメカゴ-レムの殲滅を最優先しろ…!」
「連続で召喚してない限り玉切れだ!!」


「外の防衛線は何としても死守しろ!!!」
「各士団長たちは2名以上組んでメカゴ-レムを殲滅!」
「殲滅したあと即座に防衛線に展開!!!」
「防衛線が大丈夫そうなら、次にメカゴ-レムを殲滅していけ!!!」

「その間ジャキは全体の指揮を頼む…!」


「時間はないぞ…!!」

「みんな…!!!!」


バージェットは叫ぶ



「この…声は…?」
ジャキは一瞬目をキョトンとする
そしてこの声の主がバージェットだと悟ったとき嬉しそうに笑った


「ふっ」
「待ちわびていたぞ…」



「20年」




「ジェット(バージェット)…様゛」
ウェリタスは涙を流しながらバージェットを見つめる


「ジェット゛さ゛ま゛ぁ----!!!」
先ほどまで鬼の如き表情で戦っていたマッスルヘッドが
まるで嘘だったかのように涙を流し喜ぶ


「これが…」
「伝説とまで聞き及んでいたムズガルド帝国最強の男か…」
「なるほど」
ガスタフォ-クは目を閉じ感慨さそうに笑みを浮かべる


「お待ちしておりました…」
「あなた様と再び戦える喜び…」

「ぐごっ♪」
アザ-ラは胸に手をつき頭を下げる

 

 

バージェットはサイファ-に近づいていく
そして手を差しのべた

「大丈夫か…?」

サイファ-はその手を取り立ち上がる
「ふっ…」
「遅えよ」

「でも待ってた」
「みんな」

「ずっと」
「ずっとな…」


「迷惑かけたな」
バージェットは謝る


「いいや」
「謝るのは俺たちのほうだ」
「お前の気持ちに気づかず随分ひどいことをした」
あの事件から、バージェットが消えるあの日までのことが走馬灯のように蘇る


「でも…」
バージェットは口ごもる


「それ以上はなしだ」

「それに死んでもなお、みんなお前について行こうと思ってる」
「それが、みんながお前の分までの罪を背負う、俺たちの贖罪だ」

「そしてこんな話をしてる暇はない」
ジロリとメカゴ-レムを睨む

「ああ」
「そうだったな…」
そう言うとメカゴ-レムを見上げた

「久しぶりに見せてくれ」
「かつて周辺諸国から鬼神と恐れられたお前の姿を…」

「俺たちはお前について行く…」
「お前がいれば俺たちに限界なんてない…!」


「ふぅ…」
覚悟を決めたようにバージェットは深呼吸する


「みんな…!」
「きついのは分かってる!」
バージェットはみんなに語りかける

「でも決して後ろを振り向くな…!」
「後ろに明日はない…!」
「俺たちにあるのは希望という明日だけだ…!!!」


「いくぞぉ…!!!」



「ぉぉおおおぉぉおお------!!!!!」
ムズガルド帝国軍は大歓声をあげる
その大歓声は全魔界中の魔族たちに轟いていた

が大概の者たちがそれをバカにしている
気が狂った死に行く者たちの叫びとしか思っていない
しかし強者たちや気づく者たちは気づいていた
これはただ事ではない

もしかして…
もしかしてがあるのかもしれないと
それが強者たちの介入を防いでいる



そしてムズガルド帝国軍は先ほどまでの劣勢がまるで嘘であるかのように挽回していた
それはまるで1つの生き物であるかのように動く


バージェットが加わったことによって、
かつて最強と言われたムズガルド帝国軍が復活する
そしてそれは1つの矢となってドクタ-ベルケルを貫かんとしていた


「うぉぉおおぉぉおお-----!!!!」

その姿にドクタ-ベルケルは初めて恐怖する
「なぜだ…?」
「なぜ貴様ら下等ゴブリン風情がここまで戦える!?」

「貴様らに勝利などこれっぽっなどありはせぬ!」
「待っているのは絶望という名の死だけのはずだ…」


「それがなぜぇ…!!??」


するとある光景に着眼する
それは先頭を率いているバージェットでもない、
士団長たちでもない、全体を指揮しているジャキでもない、
ゴブリンたちでもない、1人の少年のゴブリンだった


それはもちろんワタル
この反乱の元凶を作った男だ


ワタルたちは小数ながら各士団長たちとは別に明らかな存在感を示している
自分たちより強い魔族たちを率先して倒し、道を切り開いていた


「ツバサ…!!!」


「うん…!」


「ヨサク…!!!」


「はいっす…!」


「ジェニ-…!!!」


「ええ…!」


ワタルたちは大汗をかきながら必死に戦っている
それを見てドクタ-ベルケルはワタルに激しい苛立ちを覚える
「貴様さえ…」


「貴様さえいなければぁ……!!!!」





そして怒りは別のところへと向けられる
空を見上げ憎悪に満ちた声で叫んだ


「なぜだ…」

「なぜ動かん…!?」


「たかがゴブリン」
「お前たちならこの程度の反乱なら鎮圧することなど造作もないことだろう…」





「アリス……!!!!」




そう、それは暗黒騎士団長アリスに向けられた者だった
魔界最強とも名高い暗黒騎士アリス
いくら大軍とはいえアリスにかかれば造作もないことのはずだった
それが誰1人として一切手を加えるつもりもない


「なぜ…!!!」



ドクタ-ベルケルが再び問いつめようとした時、アリスは言った

「我らの役目はもしも人界から攻めこまれた場合にこの軍を警護するのが役目」
「人界軍がただ者でないことはご存じでしょう」
「だから我らは監視せねばなりません」

「それにそもそも真実はどうであれこの反乱を招いたのはあなた…」
「私にその責任をとれというのか?」
「もし反乱に目を向けている間に人界軍が攻め行ってきて、
甚大な被害を及ぼした場合あなたに責任がとれますか?」



「ぐぬぬ…」
ドクタ-ベルケルは悔しそうに歯ぎしりをする
思わず憎悪の目をアリスにぶつけそうになるが、何とかそれを踏みとどまる
アリスは魔界きっての猛者
これからのことを考えると敵対関係を築くのは得策ではない

「もうよい…!!」
「自分で何とかするわ…!!!」
そう叫ぶと憎悪の目を悟られぬよう前を向いた


アリスはドクタ-ベルケルが前へと進み、
こちらに注意をしていないのを確認すると言った


「これでよかったのだな?」
下を見つめる
そこには黒フ-ドをかぶった男がいた


その男は黒フ-ドをとるとアリスに叫んだ

「はっ…!」
「ありがとうございますアリス様…!!!」
「このご恩は決して忘れいたしませぬ!!!」


そこには何とジャスティンがいた


アリスの近くにいた暗黒騎士が近づいてくる

「かかかか…!」
「まさかお前がホ-スロ-ドに抱えられてあんな顔ですっ飛んで来るとは思わなかったぜ…!」

それはかつて上級魔族ラヴォスとの戦いで、

ムズガルド城を窮地から救ってくれた暗黒騎士ラルドだった






時は遡りワタルとジャキの戦いに決着がついて、しばし時間が経過したムズガルド城近くの森の中…
ジャスティンは疾風の如く駆け出していた

「まさかドクタ-ベルケルがあんな野望を抱いていたとは…!」

「あの方たちを説得しなければ確実に我々は全滅する…」
「10万という大軍だろうとあの方たちにとっては関係ない」
「それほど強大な力の御方たちなのだ…!!!」



確か近くに暗黒騎士ホ-スロ-ドが来ているのを聞いたのを思いだし、
そこを目指し駆けていた
休みなどとろうはずもない
昼夜問わず、ワタルたちと戦った傷に鞭をうち全力で走り続けた

そしてようやくホ-スロ-ドがいるところを発見する

「はぁ…はぁ……」
「見えた…!」
ジャスティンは喜びのあまり一瞬ガッツポ-ズをとるが、
次の瞬間には駆け出していた

今までの人生の中でこれだけ駆け出したのは初めてだろう
それくらいにジャスティンは全力で駆け出していた


ホ-スロ-ドの家をドカ-ン!とぶち破るとジャスティンは叫ぶ
「ホースロ-ド様!」
「緊急の事態故失礼いたします…!」
「あとで責任がいくらでもとります…!」

「ジャス…」
ホ-スロ―ドが目を丸くさせジャスティンの名を予防とした時にそれを遮るように叫んだ

「緊急事態なのです…!」

「私を…」

「私をアリス様の元へお連れ頂けないでしょうか!!??」

「はぁ…はぁ……!!」
息は絶え絶えだった
ジャスティンは胸に手を当て苦しそうにしている
ほぼ不眠不休で全力で走り続けてきたのだ
当然といえば当然だった

それでもなおジャスティンは叫ぶ
「お願い致します…!!!!!」

ホ-スロ-ドはジャスティンの状態に心を動かされる
そして言った
「それほどの緊急事態なのだな…?」

ジャスティンはこくりと頷いた
もう言葉すら出ない

「あい分かった」

「ありがっ…!」
ジャスティンは最後の力を振り絞り、嬉々とした表情で感謝の言葉を述べようとする

しかしホ-スロ-ドはそれを許さない
いつのまにかホ-スロ-ドはジャスティンを肩にかけていた

「えっ…?」
ジャスティンは戸惑いの声をあげる

するとホ-スロ-ドは言った
「捕まってろ」

「えっ…?」
ジャスティンは一瞬自分が無重力状態になったのを感じると更に戸惑いの声で言った

ホ-スロ-ドは物凄い勢いでジャスティンを抱え飛び出していく…!

ぴぃい…!と口笛を吹くと叫んだ
「馬王…!!!」

ホ-スロ-ドが飛び出すといつのまにか馬王にまたがっていた
巨大な馬だった
まさに馬王という名にふさわしい

そんなことを考えていると、衝撃を感じる
馬王は空を風の如く走っていた
あまりの衝撃に吹き飛ばされそうになる
エエエエエエェェェェェェ(゚Д゚)ェェェェェェエエエエエエ工工工

1日走る
気づけばアリスがいる城へとあっという間に来ていた

ホ-スロ-ドは言った
「捕まってろ」

ジャスティンは嫌な予感がする
「ちょっと…」
「まさか…!?」

工工工エエエエエエェェェェェェ(゚Д゚)ェェェェェェエエエエエエ工工工工工工

馬王はそのまま城へと突っ込んでいく
気づけば馬王は壁を破壊し突入していた
そして目の前にアリスとラルドがいる
驚愕な表情でこちらを見つめている

ジャスティンもあまりのことで驚愕の表情を浮かべていたが、
二人を見たことで本来の役割を思い出す
気づけばアリスに土下座している

「無礼なのは重々承知しております…!」
「ですがほんのすこしでいい…」
「ほんのすこしでいいのです…!」
「私のお話をお聞きください!!」

「かかかかっ!」
「なんだぁ…?」
「ついに暗黒騎士に入るつもりになったのか?」

「いえ」
「それは…」
ジャスティンは口ごもる

しかしジャスティンは一筋に望みをかけ話を続ける
つい先ほどのムズガルド城でおこった出来事
ワタルとその仲間たち
ジェット(バージェット)がそのことを伝えるために仲間たちと死を覚悟してまで自分たちにぶつかってきたこと
ドクタ-ベルケルの野望についてはワタルやジェットから聞いたこと
全てを話した


「かかかか!」
「ジェット…」
「あのときの男か…」
ラルドは懐かしむような顔をしている

しかしアリスからは何の返答もない
しばしの重い緊張が走る
何かを考えているようだった

そして口を開く
「なるほど」
「で…別に疑うつもりはないが何の根拠もないそれを信じ、
私たちに魔王様に反旗を覆せと言っているのか?」


「滅相もございません…!」
「私はそんな大それたことなど考えているおりません!」
「ただ…」


「ただ…?」


「静観して頂いているだけで結構なのです…!」
「ご助力頂こうなどという甘い考えはございません」
「見ているだけで結構です!」

「ドクタ-ベルケルは装置の真偽を問われ苦しいはず!」
「本来の任務は人界からの者たちを監視するとでも言えば何も問題にはならないでしょう!」


「………」
「………」
「………」
アリスは目を閉じしばらく考える


そして目を開き言った
「1つだけ条件がある」


「何でございましょうか…?」


「そうなればゴブリンは反逆者となるだろう」
「ゴブリンのお前と繋がりのある私もあらぬ疑いをかけかねん」


ジャスティンは察する
自分に死ねと言っているのだ

「それで静観して頂けるのならおやすいごようです」
「喜んで私の首を差し上げましょう」


そう言って剣を自分の首のところまで持ってくる
そして自分の喉をかっきろうてする
一切の迷いはなかった

ジャスティンは剣が首に食い込むのを感じ死を覚悟する
肉に傷みが走る
しかし、不思議と力を入れてもそれ以上剣が食い込んでくることはなかった

不思議に思い顔をあげるとそれの理由が分かる

「かかかかっ!」
ラルドが何と指で自分の剣を受け止めていた

ジャスティンは何がおきているのか分からずアリスを見上げる

「かかかか…!」
「アリス団長も人が悪いぜえ」


「えっ…?」


「二人とも…」
「見たな?」

「かかかか!」
「見たぜ?」

「見た…」


「今の一刀は確かに首を落とす力だったな…?」


二人はコクりと頷いた

「ど、どういう…」
ジャスティンは訳が分からず質問する


「かかかか…!」
「団長様は試したんだよ」


「試した?」


「悪かったな」
「お前の本気を試した」
「ここで少しでも躊躇する軟弱者なら即刻首をはねていたが…」


ジャスティンはアリスの殺気に思わずブルブル…!と身震いする


「かかかか…!」
「またウソを言って」
「首が跳ねられる瞬間… 
思わず自分が助けようとしたくせに…」


「う、うるさい…!」




そんなやり取りをジャスティンは聞いていなかった
しかしある現実が襲ってくる
それは目的が達成されたということ


父親、ジャキ、バージェット、ワタル、みんなの顔…
走馬灯のように頭に流れてくる

そして重荷だった鎖がすっと抜け落ちた気がした
大事な者を守るために死ぬつもりだった
相当な重圧だったのだろう

気づけば涙していた


そしてジャスティンはアリス団長や暗黒騎士たちを引き連れ、あの地へと向かう
強力な援軍を引き連れて…




ドクタ-ベルケルは思わぬアリス団長や暗黒騎士の反撃にあい、
怒りに声を震わせる
「ぐぬぬ…」
「使えぬ連中よ」
吐き捨てるように言う



「人界で使うためにとっておきたかったが、こうなっては致し方あるまい」



そんな姿を見てジャスティンは勝った気になっている
しかしアリスは言った

 

 

「まさか奴が魔力がなくなったとはいえ、このまま終わると本気で思ってるのか?」

「えっ…?」
ジャスティンは図星をつかれ一瞬固まる


「奴の恐るべきは魔力もさることながら科学力…」

そうアリスが言っているうちに、
ドクタ-ベルケルは迫り来るムズガルド帝国軍を目にし、
邪悪な笑みを浮かべ叫ぶ


「くくく…」
「ははははは!」
「絶望をもって身のほどをしるがいい…!」


空に両手を浮かべ叫ぶ
「私の科学の力の全てを知るがいい…」


「いでよ…!」



「炎獄の塔…!!!」

「氷獄の塔…!!!」

「雷獄の塔…!!!」



「なっ…!?」
魔界中の誰もが度肝を抜かれた



「なんすかあれは…」
「ちょっと冗談でしょ」
ヨサクとジェニ-は恐怖を覚える
いや恐怖というより戦慄を覚えた



それは突如として地下から伸びてきた
ゆうは100メ-トルくらいはあろうか?
3塔からは溢れんばかりの禍々しき力が出ているのは分かる
そこにたたずんでいるだけで逃げだしそうになる

さっきのことがなければ大パニックに陥り瞬く間に崩壊していただろう

いやそれは正しくないかもしれない
恐怖に足がすくみ動けなかったのだ

しかし、ある者は涙を流し死を覚悟して突っ込んでいく

「うぉぉおおおお-----!!!!」


「くっくっくっ」
その姿を見てドクタ-ベルケルは笑う
「あれが貴様らごときの戦力でどうなるものか…」


「あれが…」
「私がもう1つ研究していたものの最高傑作なのだからな…」
「ぐははははははっ…!」


「さてと…」
「そろそろ現実を教えてやるか」

「発射用意…!」



バージェットやワタル、ジャキたちは、
ただただそれを見上げていることしかできなかった



その塔らしきものに巨大で邪悪な力が、
あっという間にどんどん貯まっていく
ある方向を向いていた


ジャキやバージェットはあることに気づき力の限り叫ぶ
「逃げろぉ゛…!!!!!!」



「はははははは…!」
「もう遅い!!」
ドクタ-ベルケルは高らかに笑う


「放てぇぇえええ-----!!!!」



無情なる審判が下される
その力は全てを飲み込んでいく


「や゛め゛ろぉぉおおお゛お゛----!!!!!」
バージェットは叫ぶ



「あっ…あ゛っ…!?」
恐怖に怯えた声でツバサは声をあげる
「こんなの゛って゛……!!!!」


その力は一閃で1000人の命を消滅させていた
跡形も一切なかった
3塔の攻撃で一瞬のうちに3000人の命が消えたことになる


それからドクタ-ベルケルの笑いが止まることはなかった
「素晴らしい…」


3塔の度重なる攻撃でムズガルド帝国軍は大混乱に陥る
その攻撃は防御など全くの意味をなさなかった
無意味だった

そして+ドクタ-ベルケルの新たに召喚したヴァリスによって窮地に陥る


それからはあまりに一方的な攻撃がみんなを襲う
いや一方的というよりむしろ虐殺とよんでもいいものだった
10万いた軍勢は瞬く間に1万減り、2万減り、
気づけば残す兵は2万の軍勢のみになっていた

「うぉぉおお゛お゛お゛------!!!!」

「゛あぁぁああ゛あ゛ぁぁあ------!!!!!」
みんなは滝のように流れ出る大汗をかき死に物狂いで応戦する
しかし、どうしようもなかった


「ジャキ…さ゛…ま゛」
ある兵がジャキに手を伸ばし、絶命していく

ジャキは目を背ける

しかし目を背けてくれるそれ以上のほんの時間さえ許してくれない
再び戦いの渦へと巻き込まれていく


「こんなの勝てるわけな゛い…」
ジェニ-は泣きそうな声で言った


「ワタル…!!」
ツバサは必死に戦いながらワタルに問いかける

「くそっ…!」
「何で…何でだ!!」
「何でこんな一番大切な時に…!!!」
ワタルは自分の中にいる龍に必死に問いかける
しかし反応はなかった

目の前で人が次々と死んでいく

別の場所では

「きゃっ…!?」
ウェリタスは血を流し吹き飛ばされていた
ある男が刃を降り下ろさんとしている

「ウェリタス…!?」
バージェットは叫ぶ

だがバージェットにどうしようもない

「はははは遅いわ…!」
「ムズガルド帝国軍第1士団長俺がとった…!」


「邪魔だぁああ…!!!」


「ぐはっ…!?」
その男は吹き飛ばされる


「ウェリタス大丈夫か!?」

「ジュニア(ジャキ)…様…?」


「よかった…」
そう言うとウェリタスを抱きしめる 

しかし周りは地獄だった
次々と殺されていく

「私は…」
「なんて無力なんだ…!」
ジャキは悔しそうに涙する

その涙を…
ウェリタスはそっと拭いた

二人は絶望していた
この状況にどうしようもなかった



場面はジャスティンへと

次々と死にいく仲間たちを見てジャスティンは涙していた

今すぐにでもこの場を飛び出したい…!
救いに生きたい…!

しかしそれはできなかった
何故ならば今自分は暗黒騎士団長アリスと共にいる
自分が動くということはアリスが動いたことになる
危険を侵してでも自分のことを信じてくれた
だからどうしてもできなかった


「すまぬ゛…!」

「すま゛ぬ゛……!!!」
ジャスティンは仲間のことを思い号泣している


別の場所でドクタ-ベルケルは、
何万人と無惨に死にいくゴブリン兵たちを見て笑っている
「はははは…!」
「いいぞ…!」
「もっと絶望しろ!」


「泣け…」


「わめけ…!!!」



「あははははは…!!!!」



ジャスティンは地に頭を伏せ謝罪している
「この方たちは…」

「このか゛た゛たちは…!」


「今の魔界には絶対に必要な方たち゛なのだ…!」



そんな中ドクタ-ベルケルは指をさし笑っている
「ははははは…!」
「見てみろ…!」
「あの情けない顔の奴らを…!」

死にいく者たちを見て笑っている


「あははははは…!!!」




そんなドクタ-ベルケルを見て、
ジャスティンは激しい憎悪という殺意を覚える!


しかし、自分にはどうすることもできない!
それから時間がたっただろうか…?
無限の時間のように感じられた

死にいく者の顔
泣き叫ぶ者の顔…
絶滅し死んでいく仲間たち…


「あははははは…!!!」
ドクタ-ベルケルの笑い声が聞こえてくる!



「う゛ぉぉお゛おおお-----!!!!」
申し訳ありません…!
アリス様…!
私はもう゛…!!

そう飛び込もうとした矢先…!!!









「ちょっと待ちな……!!!!!!」










聞いたことのない声がその場に鳴り響く

続けて声が聞こえてくる


「そうですね…」


「待たせた」


「うん、本当に…」



4人の声がその場に鳴り響く
4人とも女性の声だった
しかしジャスティンはその声に心当たりはなかった
ジャキもない

しかしワタルたちは何かその声に聞き覚えがある気がした
温かい…そして懐かしい気がした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~あとがき~

うーん、サイファーさんもっとかっこよく書きたかったけど、

尺もあるしで、超不完全燃焼(ーヘー;)うーん

 

ラストっていってたけどごめんなさいw

あと多分2話くらいかかりそう><

だって書いてるうちにどんどん増えてくんだもんorz

 

まあ、最後の声の主の4人の正体は。。

ご想像にお任せします(*≧∀≦)ププ

わかる人は分かりますよね。

 

ちょっと先にちょうどいい節目があってそこで終わりたかったけど、

尺の関係上ここで終わりORZ

 

それと閲覧数が残り3時間までなので、

24時までに読んでいただいた方で閲覧数増加のために、

ヾ(*´▽`)ノ24時過ぎてからもう一度アクセスしていただけると嬉しかったりします