ムズガルド帝国軍は大軍に囲まれた四面楚歌の中、
空からのメカゴ-レムの襲来で大パニックに陥る
そんな姿を見かねてか、バージェットは過去の自分へと戻る決意をする
それはワタルたちとの仲間としての自分ではなく、
かつてムズガルド帝国軍総隊長として駆けずり回った自分だった

バージェットが戻ったことによりかつて最強と言われたムズガルド帝国軍が復活する
みんな一丸ととなった力がドクタ-ベルケルを貫かんとする

しかし、突如としてドクタ-ベルケルの最終兵器が飛びだし、
ムズガルド帝国軍は壊滅状態に陥る




場面はジャスティンへと

次々と死にいく仲間たちを見て、ジャスティンは涙していた

今すぐにでもこの場を飛び出したい…!
救いに生きたい…!

しかしそれはできなかった
何故ならば今、自分は暗黒騎士団長アリスと共にいる
自分が動くということはアリスが動いたことになる
危険を侵してでも自分のことを信じて行動してくれた
だからどうしてもできなかった


「すまぬ゛…!」

「すま゛ぬ゛……!!!」
ジャスティンは仲間のことを思い、号泣している


別の場所でドクタ-ベルケルは、
何万人と無惨に死にいくゴブリン兵たちを見て笑っている
「はははは…!」
「いいぞ…!」
「もっと絶望しろ!」


「泣け…」


「喚け…!!!」



「がはははははは…!!!!」



ジャスティンは地に頭を伏せ謝罪している
「この方たちは…」

「このか゛た゛たちは…!」


「今の魔界には絶対に必要な方たち゛なのだ…!」
暗黒騎士たちのことを言っていた


そんな中ドクタ-ベルケルは指をさし笑っている
「ははははは…!」
「見てみろ…!」
「あの情けない顔の奴らを…!」

死にいく者たちを見て笑っている


「あははははは…!!!」




そんなドクタ-ベルケルを見て、
ジャスティンは激しい憎悪という殺意を覚える!


しかし、自分にはどうすることもできない!
それから時間がたっただろうか…?
無限の時間のように感じられた

死にいく者の顔
泣き叫ぶ者の顔…
消えていく仲間たち…


「あははははは…!!!」
ドクタ-ベルケルの笑い声が聞こえてくる!



「う゛ぉぉお゛おおお-----!!!!」
申し訳ありません…!
アリス様…!
私はもう゛…!!

そう思い、戦いの渦へと飛び込もうとした…!





別の場所では


「うぉぉおおおお゛----!!!」

「はぁぁああああ゛----!!!」

ツバサやヨサク、ジェニ-たちが大軍相手に死力を尽くして戦っている

「ワタル゛…!」

「ワタルさん゛…!」

「ワタル様゛…!」

3人はワタルの名を必死に叫ぶ
しかし、肝心のワタルは魂が抜け落ちたかのように崩れ落ちていた

ワタルは思った
「やはりみんなをここに連れてくるんじゃなかった」


「くははははははは…!」
ドクタ-ベルケルは邪悪な笑みを浮かべ笑っている



10万いた兵は1万くらいまで減っていた
みんなの死にいく顔が頭から離れない

「ワタルさん…」

「ワタル…!」

手を伸ばし自分に必死に助けを呼ぶ
しかし自分にはどうすることもできない
それから目を背けることしかできなかった


憎悪の顔で、自分を見つめ叫ぶみんなの声が聞こえてくる
「お前さえ…!」
「お前さえいなければっ…!」


「信じてたのに…!」

「あんたなんか信じるんじゃなかった!」


ワタルは力なく笑う
「ははははは…」

「何やってんだ俺゛…」


「これが俺のやりたかったこと」
「これが…みんなを無謀な戦いにいかせて無駄死にさせたこと…」
ワタルは涙を浮かべ下を向く

ワタルの周りは今でも斬り殺され死にいく者が多数いる
もうワタルに戦う気力はなかった

そこにさらに絶望が遅いかかる
ツバサはあることに気づく
そしてワタル目指して駆けて行く



ヨサクやジェニ-もあることに気づき絶句する
それは炎獄の塔の砲台がワタルをロックオンしていたからだ
さすがにあれをまともに食らえばワタルでも人たまりもない


ツバサはあらん限りの声で叫ぶ!
「ワタル…!!!」



「逃げてぇ……!!!!!!!



しかし当然間に合うはずもない
絶望がツバサたちを襲う

「はぁぁあああ゛あ゛----!!!!」

「うぉぉおおお゛お゛----!!!!」

「いやぁぁああ゛あ゛-----!!!!」

ツバサやヨサク、ジェニ-は敵をかき分け突き進もうとしていた
だが間に合わない


そしてそれはジャスティンが突き進もうとして時とリンクする

「う゛ぉぉお゛おおお-----!!!!」
申し訳ありません…!
アリス様…!
私はもう゛…!!

そう思い、戦いの渦へと飛び込もうとした…!



その時だった





「ちょっと待ちな…!!!!!!」




 

※日替わりオープニング曲を聴きながら読んでいただけると感情移入もなんとなくできて

楽しく読んでいただけると思います

すぐ終わってしまうので動画画面上で右クリックしてループ再生推奨

 

 

 








「ちょっと待ちな…!!!!!!」








聞いたことのない声がその場に鳴り響く

続けて声が聞こえてくる


「そうですね…」


「待たせた」


「うん、本当に…」



4人の声がその場に鳴り響く

誰しもその声の主の方を振り返る

しかし炎獄の塔は止まることはない
あっという間に凄まじい力が溜まり、無情なる一閃を放つ
誰しもその光景を見ていることしかできない



しかし、その声の者たちは違った


「ふう…」

「せっかちだねえ」
「せっかちな子は嫌いだよ…!」

その声の主は叫ぶ


「黒の黒障壁…!!!」

それはその炎獄の塔の一閃を軟らげるがそれを止まらない


「虹色の壁…!!!」


しかしまだ止まらない


「魔呪壁…!!!」


それもぶち破られる


その女は言った

「みんな…!」

「やるよ……!!!」


するとムズガルド帝国軍を囲んでいたある一団が突如として動き出す!
そして一斉に両手を天空へと掲げる

「はい……!!!!」


一斉に叫ぶ

「千重の壁…!!!!!」


それは幾重もの壁となってその一閃を跳ね返す


そして…



「なんだと…!?」
ドクタ-ベルケルは驚愕の声をあげる


「す、すごい…!!」
ツバサは驚愕の声をあげる

「うそぉ…!?」
ヨサクはすっとんきょうな声をあげる

「凄いわ…」
ジェニ-も目を丸くさせ驚く


その攻撃はワタルに届く一歩手前で止まっていた
何とムズガルド帝国軍を絶望へのドン底へと叩きおこしたあの攻撃を止めたのだ


ワタルの心は完全に折れていた
あの一閃を目撃し死んだと思った
しかし、ある声が自分を現実世界へと引き戻す
それは聞き覚えのある懐かしい声だった
間違えようがない
あの声だ


「ワタル゛…!!!」
気づけばツバサは自分の所へ駆けてくる
そして近くにきて何かを言いたげな表情を浮かべる

ワタルはツバサが何を言いたげなのか察する

するとワタルは憤った涙声で言った
「ばかやろうが…」

そんなワタルを見てツバサは笑う
「ふふふ…」

「でも…」
「ワタルのその顔…」
「嬉しそうだよ?」

ツバサは振り返り満面の笑顔で叫ぶ


「バーバラさん…!!!!」


「フロ-ラルさん…!!!!」


「ミネア…!!!!」


「マ-ニャ…!!!!」


そう、それはかつて実験室で共に戦った黒魔女、白魔女の仲間たちだった


「久しぶりだねえ…」
バーバラは言った

そんな時ドクタ-ベルケルの叫び声が聞こえる
「貴様ら何者だぁ…!?」


バーバラは叫ぶ
「ふっ…」
「あたしかい?」

「あたしの名は黒魔女のバーバラ!」

「同じく白魔女のフロ-ラ!」

「黒魔女のミネア…!」

「白魔女のマ-ニャ…!」




「黒魔女、白魔女だと…?」
ドクタ-ベルケルの顔が変わる

「あたしたちの仲間をかっさらっておいて忘れたとは言わせないよ?」


「………」
「………」

ドクタ-ベルケルは押し黙ってしまう
しかし、突如嘲笑うかのように言った
「ふん…!」
「何を訳のわからぬことを……」


「そんなことより…!」
「貴様ら私に刃を向けてどうなると分かっておるのかぁ…!?」
憤怒に満ちた声で叫ぶ


「ふん…!」
「そんなことは考えてないさ!!!」


「なにっ…!?」


「あたしたちはそこにいるワタルたちに命を救ってもらった…」
「これから起こったであろう悲惨な未来、縛られた過去…今…」


「全てを含めて救ってもらったんだよ…!!!」


「それに…」
「ふんっ!」

「大軍?」
「魔界軍幹部?」
「魔王?」

「下らないねえ…」


「なにっ?」


「そんなことはどうだっていい」
「ただあたしたちはワタルたちに全てを含めて救って貰った」
「そんな恩人が苦しんでる…」
「命をかけて数えきれないほどの他人のために戦ってる」


「それに手を差し出さないとでも思ってんのかい…?」
「あたしたちは相手や自分のことなんかどっだっていい…!!」

「命を救ってもらった限りは命をかけてそれを返す!!」
「それがあたしたち種族の誇りさ…!」


「舐めるんじゃないよ…!!!!!」



魔界中に黒魔女、白魔女の声が轟く
そんな中、暗黒騎士団長アリスは誰にも聞こえない声でポツリとこぼす
「すばらしい…」


しかしドクタ-ベルケルは嘲笑う
「くははははっ…!」
「この大軍に囲まれゴブリン風情が瓦解している中…」
「貴様ら黒魔女、白魔女が加わったところで…!」


「本気で私だけと思うかい?」


「なにっ?」
ドクタ-ベルケルの目の色が変わる


すると突如としてバーバラは叫び出す!

「みんな…!」

「今だよ……!!!!」



「おう……!!!」
その声はバーバラたちのの近くから聞こえてくる

するとバーバラたちは覆っていた黒マントを天高く脱ぎ捨てる…!
それと同時に別の場所にいた大軍が、
覆って黒マントを天高くバッ…!と脱ぎ捨てた!

「なっ…!?」
ドクタ-ベルケルは驚愕する

「私はダ-クラビット族…!!」


「同じく私は魔サイ族…!!」


「魔ネコ族…!!」


「魔鹿族…!!」


他にも続々と名乗り出る
そう、それは実験室でワタルが勝ったあとに開放した魔族たちだ

その魔族たちがなんと説得しここへと連れてきてくれたのだ!

 

 

しかしドクタ-ベルケルは叫ぶ
「貴様ら下等種風情が増えたところで…!!!」



「まだだよ…!!!」
別の所から声が聞こえてくる

「この声は…」
「まさか…!?」
バージェットは驚きの声をあげる

「ジェット…」
「久しぶり!!!」


「ふぉっふぉっふぉ」
「また無茶をしておるの…」

「グラン…!!」

「ペッカ-トゥム…!!」

そこにはバージェット(ジェット)を救った、
終わりの町のグラン、ペッカ-トゥムがいた


「てことは…」
バージェットは冷や汗を覚える

「ジェット様…!!!」
ドスの聞いた声だった

バージェットは目を丸くさせる

「お前は確か…」



「ジェット軍特効隊長バルガスとは俺のことだぁぁあああ----!!!!」


「ふぉっふぉっふぉっ…」
ペッカ-トゥムは笑う

「お-にっにっにっ…!!」
そこにはかつて終わりの町を恐怖のドン底に突き落とした鬼王がいた

「ジェット様…!」
「我らが傘下の様々な種族をお使い下され!」
「我らはジェット様に一生ついていきまする!」
「お-にっにっにっ!!!!」


「お前ら…」


「ふぉっふぉっふぉっ」
「これが我らの気持ちじゃ」
「のう…」


「グラン…?」


「うん…!」
「み-んなを引き連れて助けにきたよ…!!
「ジェット!」




あっという間にワタルたちの仲間は増えていく




そんな状況を見てドクタ-ベルケルは怒り狂う
「続々と劣等種どもがぁぁああああ゛あ゛-----!!!!!!」



「まだだよ…!」


「そ、その声は…?」
「ありえん…!」
「お前は死んでるはず…」
「なぜ生きておるのだぁぁあああ----!!!!」そう叫ぶと睨む


「トレア…!!!???」



「ふふふ…」
「あたしは生きてないわよ」
「ただ魂を借りてこの場にいるだけ…」


「ねえ…?」
「シェリル?」

「ええ…」
そう言うとフ-ドを下ろすと前に歩み出る


「ぐっ…!?」
ドクタ-ベルケルはシェリルのただらならぬ圧力にたじろぐ
そして直感する
この者は嘘は言っていないと!


シェリルは手をかざす
するとあるものたちを見てまた驚愕の声をあげる

「貴様たちは…!?」


「ひさしぶりだな…!!!」
「好き勝手やってくれて絶対許さないぞ…!!!」


そこには実験室で自分の実験台にされ、
無惨にも死んでいった者たちがいた


ドクタ-ベルケルは混乱する
「その姿はスケルトンでもないゾンビでもない…!!」
「あの領域に踏み込むには魔王様ですらうかつに手出しができぬ不可侵領域のはずだ…」


「それが何故ぇぇええ゛え゛-----!!??」


するとシェリルは答えた
「分かりません…」
「ただ私は思うのです」

「悪は決して許さないと…!!」
「その思いが私を強くする!」

「覚悟しなさい…!!!」


そしてふっと笑いワタルを見た
「あなた達は本当に不思議ですね」
「この無謀と思われる戦いにこれだけの者たちを結び味方にしている」
「それにまだ終わりじゃない…」
「現実の理さえ曲げて…」
そう言うと空を見上げた


その時だった
次元の空間のようなものが突然できた
そして、その中から突如として声が聞こえてくる


「がははははは…!」
「待たせたなツバサぁ…!!!」

「なぁ…」
「兄者…!?」


「こ、この声は…!?」
ツバサは思い当たるふしがあるように叫ぶ
そして、気づく

「この声は確かジャスティンさんとの戦いで励ましてくれた…」


その時、次元の空間から出てきた男の顔を見る

その途端…! 
「あっ…」
「あ゛っ……!?」
この男の事を思い出す
この男と…いや他のみんなと共に戦い、旅をしたときのこと鮮明に思い出す

そして涙していた
「何でこんな大切なことを忘れてたんだろう゛…」

「ワタル…」
「バージェット…」
二人の顔をそれぞれ見る

二人も思い出しているようだった
苦楽を共にし、戦いに投じたあの日々を…


そんな折当然ある疑問が浮かぶ

それをシェリルは察したかのように語りだす
「はじめ彼らとお話した時はびっくりしましたよ」
「彼らは私たちとは別の次元の住人」

「えっ…?」

「彼らは私たちの別の時間軸にいるその世界の住人たちなのです」
「理由は分かりませんが、あなた達はムズガルド城に来る前に、
彼らのいる時間軸の世界へと迷いこんでしまった」

「そん…な…?」
ツバサは信じられないといった表情をする

「記憶がなかったのはこっちの世界に戻ってきてしまったときに、
何かの弾みで記憶が消えてしまったのでしょう」

「私たちと彼らの世界は別世界」
「本当は永遠に交差することのなかった世界」
「だから自然の力でそれをなかったようにしようとした…」

「それで全て説明がつきます」


「そして私たちとは別時間軸の住人」
「彼らにはとても長かったようです」



ツバサはジャスティンと戦っていたときの事を思い出す
「この時をどれだけ待ち望んだことか…」




「それってどれくらいなんですか…!?」
ツバサは思わずシェリルに詰め寄る

言いにくそうにシェリルは下を向き答える
「それは20年…」


「!?」
ツバサは絶句する


そして次元軸の中から声が聞こえてくる

「待たせたな…」




「20年」




その男の顔を見て思わずツバサは叫ぶ
「関羽さん…!!!」


横にいる男を見て叫ぶ
「張飛さん…!!!」



「がははははは…!」
「時間がおしてるんだろ?」
「6人しか連れて来ることが出来なかったが、他のみんなもいるぜ」



そして再び声が聞こえてくる
「友を救いにきた…」


「孔明さん…!!」



「さて覇王の道を邪魔する奴はどいつだ」

「久しいな…」
「ワタル、ツバサ、バージェット」


「信長さん!?」


「義に生きることが全てではない…」
「それはお前が教えてくれたことだ」

「謙信さん!?」


「奥州の竜が通るぜ」
「HA HA!」
「HERE WE GO? 」


「政宗さん!?」



張飛は言った
「争いに明け暮れていた俺たちをお前たちが救ってくれたんだ…!」
「お前たちが命をかけて戦ってくれた…」
「だからこそ俺たちの誤解は溶け、
協力しあの野郎をぶっ倒すことができた!」

「感謝しても感謝しきれねえ…!」
「だから今度はこっちの番だ!」
「いやとは言わせねえぞ?」


「う゛ん…」
ツバサは一言だけコクりと頷いた



「かかかかか…!」
「あいつら強えな」
「特に最後出てきた奴ら…」

「ああ…」
アリスは答える
「さてと…」
「どうする?」
そして意味深気な瞳でワタルを見つめる


「み…ん…な?」
絶望していた瞳に生気が戻っていく

しかし、このみんなも死んでしまえば…
そんな不安が再びワタルを襲う


「ワタルぅ…!!!!」
バーバラは叫ぶ 

「情けない顔してまさかこのまま終わるつもりはないよねえ…」
「あんた達を信じてみんな集まったんだよ?」

「ここで終わるような男じゃないだろあんたは…?」

「見せつけてやりな、あんたの力を…!」
「あたし達の力を…!!!」


「そうだね…!?」
「ミネア…!!!」
「マ-ニャ…!!!」

「ああ、その通りだ…!」
「うん…!」



「俺の…力…」


そんな時ツバサが声をかける
「見せつけてやろうよ!!!」
「こんだけの人が集まってくれたんだ!!」
「みんなの力があれば決して負けない!!!」


「負けない…」
「諦めない心が力を生むんだよ!!」


「そうだぜ…!」
バージェットは叫ぶ
「お前の力はそんなもんじゃねえはずだ!!」

「そうだろ?」



「みんなぁ……!!??」

みんなはコクりと頷く


「ああ…!」



「ああ……!!!」


「そうだな…!!!」


「俺は負けない!!!」
「奴を倒してこの無益な戦いを終わらせる…!!!」
「みんなを救う…!!!!」

みんなは小さく笑った


「ふっ」
「それがお前の出した答えか…」
そしてアリスも小さく笑った




そんな時だった


 

 

 

「ワタルぅ゛…!!!!」
 

 

 

上の曲を消してこちらの曲でお楽しみください

 

 

 

 

 

 

「ワタルぅ゛…!!!!」

涙声で自分のこと呼ぶ声が聞こえる
何事かとワタルはその方向を見つめる
そして言った

「マ-…ニャ…?」
そこにはマ-ニャがいた
しかし泣いている


「どうしたマ-ニャ?」
ワタルは突然マ-ニャに泣かれ困惑の表情を浮かべる


マ-ニャはミネアに抱えられ叫ぶ
この大観衆の中声を発するのは相当な勇気が必要だろう

しかしマ-ニャはワタルをまっすぐ見つめ言った

「あの時嬉しかった…」


「えっ…?」
ワタルが何を言っているのか分からず思わず聞き返す


その時トレアがそっとマ-ニャの肩を押す
それはまさにマ-ニャが何を云わんとして察し後押しをしているようだった

マ-ニャはそのトレアに押された勢いで少し前へと出る
そしてミネアの背中をそっと押す

「えっ…」
ミネアは困惑の表情を浮かべる
何か決心がついていないようだった


そして言った
「どうした…?」


「覚えてない?」
「修行のときにムズガルド帝国に行く理由を説明してくれたあとに私たちに言ってくれた言葉…」


「あっ…」
ワタルは少し考えてあることを思い出す
修行中にミネアとマ-ニャに言った言葉だ

 

俺はみんなにムズガルド帝国に行く理由を説明することができた 

そしてもう一つ決意していたことを実行にうつすことにする 
俺はミネアとマ-ニャの前へと行く 
そして二人はいきなり俺が決意した表情でいきなり目の前にきて戸惑っていた 
「えっ?」 
「ちょっ…ちょっと何?」 
辺りは夕暮れになっていた 
その夕暮れの光が二人を美しく写す 
俺は言った 
「言うべきかずっと迷ってた」 
「でも言おうと思う」 
「ミネア…マ-ニャ…」 
 

 

 

ワタルは気持ちを込めて言う 
「俺たちの仲間になってくれないか?」 
 

 

 

そう言った瞬間…! 
二人はみるみる涙を滲ませ嬉しそうな顔をする

「え゛っ…」 
「あっイヤだ…」 
二人に自然と涙が流れてくる 
本当にうれしそうにしていた 
その言葉を待ちわびていたかのように… 
ツバサとバージェットは微笑んでいた 

しかしその直後二人はとても申しわけなさそうな顔がする 
そしてうつ向きながら言った 
「せっかくの誘いなんだけど…」 

「ご…め…ん…な…さい」 
マ-ニャも言う 
「私たち…も…ここで…どうしても…やらなきゃ…いけ…な…い…こと…が…あっ…て…」 
「ごめんなさい」 
二人は必死に俺に頭を下げた 
恐る恐る二人は俺の表情を見る 
「そっか…なら仕方ないな」 
そう俺は笑顔で笑った 
しかし二人はそれでも申しわけなさそうにしていた 

俺は思うんだ 
この先あの地で俺たちには死が待ってるだろう 
だからこの二人には笑顔でいて欲しい… 
このまま生き抜いてほしいって…そう思ったんだ 
だからこれで良かったのかもしれない 
二人が… 
そしてバーバラやフロ-ラル様… 
そしてここにいるみんなが無事に生きていてくれれば… 
それが生きてるってことなんだから 

あの時のことをワタルは思い出す
しかしマ-ニャがなぜ泣きそうな顔をしているのか分からない
なぜミネアがあんな辛そうな顔をしているのか分からない

しかしワタルは気づく
もしかしてあの事をずっと気にしてたんじゃないかと…
それがずっと彼女たちを苦しめてたんじゃないかと…!


ワタルたちが黒魔女、白魔女たちの元を去り、
みんなに見送られながらムズガルド城を目指しこの場を去ったあと…

 

バーバラはワタルたちがいるであろう前をまっすぐ見つめながら言った


「何で泣いてるんだい?」 




「う゛ぇ…う゛ぇ…」 

「えぐっ…ひぐっ…」 
横には地面に崩れ落ち、泣き崩れているミネアとマ-ニャの姿がそこにはあった… 
二人はもう言葉にならないくらい泣きくずれていた

「えぐっ…えぐっ…」 
ミネアとマ-ニャは嗚咽のようなものを漏らして泣き崩れていた 
そして何とか声を振り絞りみんなに訴えかけるよう懺悔するように言った 
「ワタルは私たちに仲間になってくれないかって誘ってくれました」 
「こんなどうしようもない私たちを誘ってくれたんです」 
「でも私たちはその誘いを断りました…」 
みんなが一心に見つめる 
「でも…!」 
「でも゛……!!」 
心の叫びを 
全てを解き放つように叫んだ 
「あの時ワタルは笑って許してくれたんです…」 
「ツバサやバージェットも笑って許してくれた」 

「この先のことを考えれば一人でも多くの仲間を欲しいはず…!」 
「ここにいるみんなを是が非でも連れて行きたいはずなのに…!?」 
「はずな゛の゛に゛!!」 
「でも…それを゛しながっだ…!!」 
思いを込めて必死に叫ぶ 
「ぞれ゛はワダルたちの優じさ!!!」 
「私だちの命のごとを思っで…!!」 
「ごんな温かいも゛のに今ま゛で出会っだごどがな゛いよ゛ぉ」 
「う゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛----!!!!」 
泣き崩れ自分の心の中の全てを吐き出したようだった 



ミネアは言った
「あの時どうしても行けなかった理由があった」

「それはあの一帯を私たちと争う別の勢力、魔呪師…!」

「あれを放っておくわけにはどうしてもできなかった!!」

「だから少しでも戦力になるために私たちは…!」
「それにもしかしたら魔呪師を仲間に率いれるかもしれない!」

「でもワタルたちに言えば絶対付いてくるって言うと思った…!」

「だから…」


「だから゛っ……!!!」


「ミネア…」
ワタルは二人を深く深く傷つけていたのだと悟る
俺たちが死地へ向かっているのに、
自分たちが行けないことに負い目を感じていたのだろう


そんな時マ-ニャは精一杯の声で叫ぶ
「あのと゛き゛言えなかったこ゛とば…!!!」


トレアやバーバラたちは固唾を飲んで見守る




「わ゛たし゛たちを゛…」




「なか゛ま゛に゛…」

 

 

「入れて゛くれませ゛んか゛…?」






「ワタ゛ル゛たちとこ゛れ゛からもずっとずっと゛旅した゛い…!!!!」


「ともに歩き゛た゛い…!」


「そして笑いあ゛った゛り…!!」


「喧嘩した゛り゛…!!!」



「そんなと゛き゛を一緒に過ごした゛い゛…!!!」





「わた゛し゛もだ…!!!!」
ミネアは涙を流し声を震わせ、精一杯の声をぶつけてくる



「だめ゛…です……か?」
マ-ニャは精一杯の声をぶつけてきた


「………」

「………」

少しの沈黙があり、みんなの視線がワタルに集まる





しかしワタルに一切は迷いはなかった
そんなことは決まっている

そして、その言葉を天高く発する!









「当たり前だぁぁぁぁぁああああああああ-------!!!!!!!!」









その言葉を聞くとマ-ニャとミネアはその場に嗚咽をもらし崩れおちた


「ふふっ…」


「へへっ…」


「さすがっす…」


「当たり前ですわ…」


ワタルの仲間たちは笑みを浮かべ喜んで歓迎する
二人が仲間に加わるということを…!!!!



するとバーバラはふふっと一瞬笑うと次の瞬間には真面目な顔つきになっていた
そしてある地点を睨みつける


「覚悟はできてるんだろうね…?」



「ああ…!」
ワタルは心強き仲間たちを得て再びドクタ-ベルケルと対峙する


そして言った

「マーニャ…!」
「ミネア…!」

「絶対に生きて帰るぞ!!!」

「はい…!」
「当たり前だ…!」

 

 

ワタルは覚悟を決める

「みんないくぞ…!!!」





「反撃…」





「開始だ……!!!!!」











ドクタ-ベルケルと最終決戦が始まる
そして、この先魔界全てを巻き込んだとんでもない事態が、
ワタルたちを襲おうなどこの時は誰も想像だにしなかった



絶対に諦めない



絶対に…!!!