兵藤二十八の本。

まず一言。世界は混沌で満ちている。秩序など幻想だ。

さて、日本が売り損ねた潜水艦と飛行艇について、色々考えていたら、偶然見つけたのがこの本。
兵器の輸出という物がどんな物かが良く分かる一冊だった。

詳しくは買って読んでもらうことにして、兵器の輸出が混沌に支配されていることは確実のようだ。
全体の三分の一以上を費やして、インドの戦闘機購入計画の混沌ぶりを紹介してくれたが、世界的にこれこそが基準なのだと言う事が納得できた。
この混沌の中では、日本人は絶対に勝てないと言う事も、同時に嫌に成る程理解できた。
著者の主張のように、武器を売りつけるのではなく、援助する方が、まだしも日本人には適しているだろう。

そしてもう一つ、気がかりなことにも気が付いた。
それは、日本人が、そもそも、兵器を作ることを苦手としているのではないだろうかと言う事だ。
大東亜戦争中、非力な発動機で飛ばなければならなかった航空機を持ち出すまでもなく、日本の兵器はカタログスペック的には凄いが、使いにくかったり胡椒しやすかったりする物が多い。(64式小銃や89式小銃が有名だろうと思う)
F2戦闘機がこれに含まれるか、俺には分からないが、国防を考える上で考慮しておくべき事柄なのだろうと思う。
逆に、民間製品についてはこの傾向があまり見られないような気がする。
例を挙げるならば自動車。(まあ、最近の車は色々な物が付きすぎて、使いにくくなってきているようにも思う)

何故、民間製品では出来ていることが兵器類では殆ど出来ていないのだろうかと考えてみた。
それは恐らく、お役所仕事だからだろうという結論に達した。
何故か不明だが、日本のお偉いさん(お役人様)は現実から目を背ける傾向があるように思える。(例えば民進党の誰かさん達とか)
民間企業も、巨大になるとこの傾向が出てくるように思える。
最近で言えば東芝だろうし、暫く前(?)ならソニー。

ともあれ。

結論として、潜水艦と飛行艇が売れなかったのは、日本の国益になったのだろうと思う。
中人国に情報が流れるというのは、些細な問題だろうと思う。
この本で書かれているが、設計図だけ有っても同じ物が作れる時代は終わっているのだ。
それを造るための特殊な鋼材や、緻密な製造技術が絶対に必要なのだ。
それは一般的にノウハウと呼ばれる物だろうし、この本には、そのノウハウの取得が途轍もなく大変だと言う事も書かれていた。

と、ここで一つ疑問が湧いてくる。
日本は、割と合金の技術には優れていると思っていたのだが違うのだろうか?
戦闘機用の、ジェット推進機のタービンブレードを作ることは、本当に出来ないのだろうか?
いや、そもそもの話として、現代の世界で、一国で完璧に航空機を製造することは出来るのだろうか?(いやまあ、米国は殆どの部品を自分の所で作っているのだけれど。あとロシアも)

さて、この本を読んで少し疑問に思ったことを書いておきたいと思う。
最近の著者は、何故か難しい漢字を好んで使うようだ。
それ自体は問題無い。
俺が問題としているのは、突然にカタカナが出てくることだ。
日本語として、適当な訳がないならまだしも、多分正しい日本語があるにも関わらず、それを使わないところに疑問を感じた。(多分俺だけの疑問なのだろう)

まあ、そんな些細なことはどうでも良い。
日本の国防について興味があるのならば、この本は読んでおいて損はないだろう。
機雷で中人国を始末しようという所に固執している所はあるが、それでも重要な内容を含んでいると思う。
時間がなければ、前書きと後書きだけ読んでも良いだろうと思う。
兵器輸出が日本人と相性が悪いことだけはきちんと理解できるから。

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