巡察師の体調を気遣う信長 | ★織田信長の夢★ 鳴かぬなら 鳴ける世つくろう ほととぎす

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□■巡察師の体調を気遣う信長■□


1581年(天正9年)4月                               信長48歳


京都での馬揃えの少し前、巡察師のヴァリニャーニ、ルイス・フロイスとオルガンティーノが本能寺に滞在していた信長を訪問した。

その折、巡察師の体調が優れないのを見た信長は、ヴァリニャーニの体調を気遣い、その病状に効きそうな薬をアドバイスしたという。

また、宣教師たちが帰った後、そのタイミングで関東のある大名から届いた鴨を、精が出るようにとルイス・フロイス、修道士のロレンソを呼び戻して、巡察師に贈ったという記録がルイス・フロイスの書簡に残っている。

ここでも信長の暖かい心遣いと優しさが窺える。



①翻訳文

「1581年4月14日付、ルイス・フロイス師が同日本に在留する一司祭に宛て都より送った書簡」

(前略)
巡察師は当所に近い在る寺院(本能寺)に宿泊していた信長を訪ねた。
彼は(寺院から)仏僧を追い出して己の用に供していた。

(巡察)師にはオルガンティーノ師と私のみが同行し、進物として鍍金の燭台、深紅のビロード一反並びに切籠ガラスを携えたが、信長は(巡察)師を大いに歓待し、彼の背の高さに少なからず驚き、長時間我らと様々な事柄について語った。

また、(巡察)師の気分がすぐれぬのを察して非常に親切な言葉をもって師父の病後や病いに効くかも知れぬ薬について語った。

(巡察)師がすでに寺院の外に出た後、彼(信長)はふたたび私とロレンソ修道士を呼び寄せ、立派な鴨十匹を(巡察)師に届けるよう我らに託した。
これらの鴨は同時刻に坂東のある国主が使者を介して贈ったものであり、かつて見たことがない大きな鳥であったが、信長としては非常なる好意であったので皆大いに驚いた。
(後略)

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参考文献

・『十六・七世紀 イエズス会日本報告集 第Ⅲ期 第5巻 1577年-1581年』 松田毅一 監訳、同朋舎、1992年
※この中に収録されている「1581年4月14日付、ルイス・フロイス師が同日本に在留する一司祭に宛て都より送った書簡」より



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