あらすじについては、適当に検索してくださいというところです。
簡単にまとめると
黒人青年のジョニー・ヘイワードが刺された状態でホテルのエレベーターで発見される。彼は最後に「ストウハ」という言葉を言い残していた。
そして彼をそこへ運んだタクシーの運転手は、タクシーの中に『西條八十詩集』が残されていたと証言する。
捜査にあるのは棟居弘一良刑事、彼らはジョニーがニューヨークのハーレムを離れる際、「キスミー」に行くと言い残していたことを知る。
そして棟居刑事が幼い頃、父親を亡くすことになった終戦後間もない事件を思い出すーーーー。
というような感じです。
今思うと、「ストウハ」=ストローハット(麦わら帽子)
キスミー=群馬県の霧積温泉郷をさしていると探り出す。
元々の原作が書かれたのは70年代であるが、この当時、発音が
その人種によっては「霧積」をキ「スミー」という聞こえる発音をすること
「ストウハ」が「ストローハット」を意味するなど、今思っても興味深いことがある。
最後には母と子の悲しい話が待っている。
そしてあの時代、闇市で一人の女を米兵から助けようとした棟居刑事の父へと話が繋がる。
あのとき、暴行を受けそうになっていた女性が、大きなキーを握ることになる。
戦後のどさくさと言っても私には実感として感じることができないが、時を経て客観的にそれを見ると、なんともむごいことがあの頃は起きていた。
しかしその中の微かな善意が人の運命を変えていく。自分の生活、人生すらも左右することが起きるが、それでも勇敢に立ち向かう人はいて、その人々が(ミステリーだから不幸になるという成り行きになるが)思いがけない不幸でまた人生を狂わせていく。
それが時を超えて、70年代になってもまだ生きる人々に新たな事件を巻き起こす火種となっていた。
やりきれないと言ったらそうだけど、この時代は戦争の後遺症として、米兵、黒人などをも巻き込む大きなことがこの日本でも起きていた。
ある意味今よりスケールが大きい。
こういう作品を書けてしまうというのは、戦後を身近に知っていた世代であるということ。
恐らくは多くの人がこうまで行かなくても日々の糧を得るために必死に生き、それでもできる善を行おうとした結果不幸な結論を生んでしまう。
そこからでも這い上がって生きてきた、まさに日本の経済の復興と共に、あの時代の人々は時代に復讐するように…自分の幸せを求めるため…必死に生きてきたということが判る。
そういう時代だったといえば、そうなんだけど、その中で悲しい人間の物語が起きていたことに変わりがない。
どんな時代でも困難はあり、事件は生まれる。人間がいる限り思いがけないことにそれぞれが翻弄されてしまう。
この映画の中で、戦争があったから出てくる台詞だけど、棟居刑事が協力したニューヨークの刑事に
あんた、何人日本人を殺せば気が済むんだ
と言った台詞が印象深い。
戦争で、多くの日本人が生命を落としたことを考えると、出てくるべきして出てきた言葉だったんだろう。
まして戦争が終わっても米兵の悪ふざけの結果、女が犯される。それを助けようとした日本人の男が暴行に遭い、その傷ついた身体に更にむごい行為が行われる。戦勝国ならではの行為があちこちで行われていただろうことを考えさせられる。
もちろんそんな人々ばかりでなかっただろう。
しかし多くの悲劇が生まれたことも事実だ。
戦争のない今でも(少なくても日本は)今でも狂気に駆られた人は同じ行為を繰り返す。
戦争は人格も倫理感も全て壊し、平然とむごいことを行わさせる。しかしそれが戦争ということで責められる行為でない場合すらある。
そういう価値観の180度変換させてしまうことが、1番恐ろしいことであると思わされる。
なんかとりとめのない話になってしまったが、まとめようのな感情を抱かせたことは事実なのだ。
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