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天使禁愛(九)

久しぶりに空は快晴だった。
 
リキは最近よく使うこの小屋を住処として利用していた。 今までは適当に大きな木の下で眠ったりしていたのだが、どうせ誰も使っていない小屋であるし、カッツェもそんな生活をしているリキを度々気にかけていたしで、ここで生活することにしたのだ。
 
「ま、雨の日は助かるしな…」
 
大きな木の下であれば十分雨避けは出来るのだが、あまりカッツェに気を遣わせるわけにもいかない。 ここのところリキの体調が悪いのでカッツェは心配して何度もリキに会いに来るのだ。 あまり迷惑をかけては申し訳ないので、これでカッツェも少しは安心することだろう。
 
昨日もカッツェは食べ物を持ってリキに会いに来た。 これからはここを住処にすると言えば少しほっとしたように表情を緩めていた。 人間と天使ではそもそもの常識が違うし、地上で生活するのならばこうして小屋、というか家があるほうがいいのかもしれない。
 
人間の中で暮らしてはいるが、自分は人間ではないのだと、リキはクスッと笑って体を横にした。
 
(…ああ、でもこうして横になるには丁度いいかも)
 
いつの間にかあった布団はカッツェが持ってきてくれたもので、ふかふかしてとても気持ちが良い。 別にこのような物がなくても平気だったが、それを言った時のカッツェの顔が少し怒っていたから、それからは何も言わず受け取った。
 
最近、頭がぼんやりとする。 そろそろ寿命が来ているのはわかっていたが、思っていたよりも早かった。 何かを探すために不自由の身を得てこうして今まで生きてきたが、未だにその何かは見つかっていない。
 
別に見つからなければ仕方がないと思ってこうし地上へと来たのだから後悔はしていない。
 
「……何か、引っかかってんだよな…」
 
カッツェと出会った時よりも心が動いたのはイアソンだった。 何故かイアソンと出会ってからリキの心はずっと落ち着かなかった。 それが何かはわからないのだが、疲れて重くなった体と心が少しだけ軽くなるような、そんな気がするのだ。

天使のくせに頻繁に自分に会いに来るのは何か理由があるのだろう。 単なる好奇心か、それとも何かの警告か。 別にそんなことはどうでもいい。 相手が何であれ、自分は最期の時まで自由に飛び回るだけだ。
 
それにしても今日は体が熱い。 これが寿命に関係しているのは知っているが、実際そうなってみるとかなり辛いものがあった。 股間に触れてみたがペニスは全く反応しておらずくったりとしている。 はぁ、と溜息を吐いて両手で自身の体を抱きしめた。
 
「…んっ……」
 
体内の熱は上がり、勃起できないペニスの代わりに後ろの蕾がジワジワと緩み始めてくる。 勝手に肛門括約筋に力が入り、前立腺が膨らんでくる感覚がした。
 
いつもよりも強い感覚にリキは少しマズイと思ったが、もうどうすることもできない。 あとはこの熱が治まるのをただひたすら待つか、ドライオーガズムの果てに失神するのを待つかだったが、きっと後者になるだろう。 もうこの熱は意識を失うまでなくならないのだ。 それはリキ自身が一番よくわかっている。
 
「あぅっ、んっ、んっ…っ」
 
ペニスをグッと握り絞め、痛みで少しは解消されるかと思ったが全く変わらない。 むしろ快楽は大きくなるばかりで、だが勃起は決してしない。 腹の中が発散できない熱のもどかしさでぐつぐつと煮えているようだった。
 
ポタッポタッ、と尿道口からは精液になりきれなかった体液が時々垂れ、地面に染みを作る。
 
「んぐぅっ…、…んっ…はぁぅっ!!」
 
ギュッと目を閉じ眉間に皺を寄せてリキは全身を襲う快楽に耐え続ける。 しかし、その快楽はいつまでも電流のように体中に伝い、次第に全身は硬直していく。 呼吸も荒く激しくなり、酸欠のように口をパクパクとさせて苦しそうに息継ぎをしている。
 
今までで一番と言って良いほどの快楽に、とうとうリキの目から涙が零れ始めた。 こんなに強い刺激は体験したことがなく、今までの現象がまるでお遊びだったかのように、今リキを苦しめている快楽は激しいものだった。
 
いつの間にか真っ赤に腫れ上がった乳首を指で弄ったり、勝手に開く肛門を押さえてみたり、反応のないペニスを扱いてみたり、あらゆる方法でどうにか今すぐにでも絶頂することができないかと必死に体を弄るが、何故か体はイクことができなかった。
 
いつもであれば簡単に、勝手に体がドライオーガズムに入りそのまま何度もオーガズムを繰り返していくうちにいつの間にか失神していて、気が付けば時間が経っているというのに、今日はまったく違っていた。 なかなかイクことができないし、体が全く動かないのだ。
 
それどころか指でさえ力を入れることが難しくなり、慰めに乳首を弄ることも出来なくなってきた。 それなのに体は熱く火照っているし、腹の中を渦巻く快楽の塊の逃げ道がなくなったかのようだった。
 
「ふぐっ…、あああっ!! 何でっ、…こんな…っ、…ああっ、ぁうううっ!!」
 
とうとう全身に力が入らなくなり、リキは床の上で仰向けに寝転がったまま動けなくなってしまった。 快楽は強く激しくなるばかりなのに、ガクガクと体が震え、開いた口からはトロリと涎が垂れている。
 
切なそうにハフハフと息を乱しながらも叫ぶこともできず、小さく喘ぎ声を漏らしながら涙を流すことしかできなくなってしまう。 萎えたままのペニスの先からチョロロ…と液体が漏れ、それが尿であることにも気付かないほどリキの全神経は鈍くなっている。
 
とてつもない恐怖がリキを襲った。 これが死に際に起こる最後の現象なのかと、これが、この情けない姿が、最後の姿になるのかと。 それはあまりにも惨めだと思った。 快楽の中で悶え苦しみながら、イクことだけを考えながら、死んでいくのかと。
 
(…いき、くるしい……っ)
 
リキは目を閉じた。 もう体のどこにも力が入らないのだ。 堕天使の最期とはこんなものか、と他人事のように考えながらリキの意識は霞み始める。
 
だが意識朦朧としたリキは気付かなかった。 扉がギギッと音を立てて開いたのを。
 
「…これはいい匂いだ。 もしかすると今までに味わった中でも最高のモノかもな」
 
そう言って、横たわり息も絶え絶えのリキのそばに来て膝をついた男は、その紅潮した頬へと静かに触れた。 とても大きく冷たい手に、それがイアソンでなくカッツェでもないことがわかった。
 
必死に目を開こうとするのに力が入らず、身をよじることもできない。
 
(…誰だ? イアソンじゃない、イアソンの手はもっと大きくてあったかくて、優しい… もしかして…、魔族なのか…? 堕天使の俺の最期の匂いに引き寄せられて、俺を、食いにきたのか…? …嫌だ…嫌、……イアソン……………)
 
嫌だと思うのに、リキの体は発情し続けている。 もう息も絶え絶えだというのに。
 
リキの前に現れたのはガイだった。 そう、ガイはリキの匂いを追いここまで来たのだ。 そして今、目の前に美味しそうな匂いをさせているリキを見てニヤリと笑っている。
 
快楽にその身を震わせ、今にも意識を失いそうなほど弱り切ったリキを見て、そろそろ頃合いかと思い始めていた。 リキのペニスは柔らかく蕩けて、力なく地面へと向かい垂れ下がり様々な体液を吐き出している。
 
緩んだ肛門からはドロリと愛液が滲み出ているのを見たガイは、指先を寄せヌルリと一本その蜜口へと入れた。
 
「あうっ…!! ………ん、はぁっ…!! …や、…ぃやっ……」
「ふははっ、ろくに抵抗も出来ないくせに」
「んくぅっ!!」
 
ヌジュッ、ヌジュッ、ヌジュッ
 
たった一本指が差し込まれただけなのに、リキの蕾はその指を必死に飲み込もうとして腸内が吸い付いてくるようだ。 だがやはり指一本では今のリキには物足りなく、緩みきった穴はどうしてもガイの指を吸い込みきれず、腸内と指には隙間ができてしまう。
 
ヤッケになったように無意識に尻を捩らせ、どうにか指に食いつこうとするのに、体は言うことを聞かず少し身動きする程度だった。 どうしても満足のいく快楽を感じられず、リキは口から涎を垂らしてフウフウと荒く息をつく。
 
薄っすらを開く目には何も映っておらず、ただ虚空を見つめているだけだった。
 
ゴポリとおびただしいまでの愛液がリキの腸内から溢れ出し、ガイの手の平にはすくえるほどの量が溜まる。 ブジュッと音を立てて指を抜き、それに口を寄せてペロリと舐めてみた。
 
「甘い、とても甘い!! はははははっ!! もういいだろう!! 今すぐおまえを連れ帰り、俺の部屋でゆっくりと食ってやろう!! 最期の時はもうすぐそこだ!!」
「…ひぅっ……」
 
高笑いをしながらガイはリキに纏わりついていた衣服を剥がし裸にすると、勢いよく抱え上げた。 何をされているのかもわからない今のリキには、抵抗する力もない。 外に出れば先ほどまで快晴だった空は暗く、今にも嵐になりそうな色をしていた。
 
バサァッ、とガイは黒く醜い蝙蝠のような大きな羽を広げ、地面を蹴った。
 
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