困ったもんです。我がパコソンちゃんから音が出ないという症状が依然、直ってくれません。
 みなさんが紹介してくれてる動画を再生しても音声が聞こえませんし、こちらも動画を使いにくい事態に見舞われております。テンションだだ下がりであります。ダウン

 それでも大正生まれのブログは記事を書きます。いま書いておかないと、ずーっと書かなくなるかもしれないからです。
 こんなブログでも見にきてくださる奇特な方々が少なからずおられるようですので、いつも以上に低クオリティながら更新させていただきます。しょぼん

 今回は、何ヵ月か前からちょっとだけ気になってた人のことを書いてみます。

 

 

 芦野祥太郎
 なんだか著名な作家さんのようなお名前ですが、WRESTLE-1所属のプロレスラーなんですよ。
 それもWRESTLE-1チャンピオンシップの現選手権者。決して大きくはない身体であり、しかもデビューしてわずか2年ながら、いまや団体の頂点に君臨してるそうです。
 彼の面白いところは、ふつうだったらまだ新人扱いでよさそうなキャリアしかないのに、そんなふうにはまったく見えない顔つき。それも、どう見ても「いま風」ではない男くさい系な風貌。そしてなんといっても、ふてぶてしい言動にあります。

 芦野を意識するようになったのは、うちの校正担当=ゴースン・タイガー!ちゃんのしりとり仲間でありますのりしお画伯のプッシュによるものでした。
 のりしお画伯はもともとグレート・ムタがお好きだったことで、武藤敬司が社長を務めるW-1を熱心に観戦しておられる方です。どちらかというとエンタメ的要素が強めだったW-1でしたが、外敵=鈴木秀樹の出現によりプロレスラーには強さが必要であることを痛感され、現在に至るもよう。
 そんなのりしお画伯が、いまもっとも注目しているのが芦野なんだそうです。

 

ナゾの人のりしお画伯のリアルタッチをご覧ください。


 さて。たまにしかW-1を観てない私ですが、正直なところ、これまで芦野という選手を気にして見たことはありませんでした。ですが、たしかに注目に値する選手なのかもしれないと感じさせる部分はあるようです。
 それは週刊プロレス9月13日号。9・2横浜文化体育館における、黒潮“イケメン”二郎とのW-1チャンピオンシップを前におこなわれたインタビュー記事(というか、芦野とイケメンがひとりでしゃべってるだけの構成でしたが)でありました。

 

 

クリップイケメンがうらやましいと思うところがある。お客さんと一体になって楽しくプロレスができたら面白そう。でも、俺はリングの中に入っちゃうと性格的にできない。相手を倒したくてしょうがない。

 

クリップイケメンはお客さんとの掛け合いもうまいし、心をつかむという点では圧倒的に負けてると感じる。でも、強さでは圧倒的に俺が勝ってる。

 

クリップ観客の心をつかむだけでは勝てない。逆に強いだけじゃ人気が出ないのがプロレスの難しさ。

 

クリップ俺は観客関係なく突っ走ればいいタイプとも思う。でも、現状としてそれだけではW-1が厳しい状況。ただ自分のやりたいことをやってお客さんが入るのかといったら、そうじゃない。でも、そこはブレずにやってきた。

 

クリップ常々言ってきたのは「客に媚びるな」ということ。手拍子をしてる時間があったら、すぐにつかまえにいく。

 

クリップサラリーマン化しちゃってる選手がいる。言われたことを素直にやる。でも、「やんねえよ!」というのがもっともっとあっていい。統率がとれているだけが面白さじゃない。

 いいですねぇ。当ブログでは鷹木信悟の項にも書いたことだが、私は団体の意向に疑問を持ち、時代の空気にも流されずに突き進む選手が大好きなのだ。これ以外にも「プロレスはヒーローショーじゃない」といった旨の発言もあったように思う。
 こうして見ると芦野は、やはり「プロレスラーは強くあれ」でここまで来たのだろう。当然といえば当然。しかしそのいっぽうで、人に見せる職業である以上は「魅せる」部分にも長けていないとダメなこともわかっている。でも自分は・・・という、サジ加減の難しさに悩んでるところでありましょうか。
 おそらくはむかしから多くの選手が通ってきたであろう課題と思われる。もちろん腕っぷしの強さに自信があるからこそぶつかる難問ではあるのだが、いま人気のある選手の多くが「魅せる」オンリーに偏りつつあるがゆえ、いまもなおレスラーとして当然な苦悩を抱える選手がいることを嬉しく思う。

 片やイケメンのほうはというと、やはりというか観客論に比重を置く発言が多かった。
「もちろん勝ちにいきますけど、お客様を満足させなければいけない」と・・・。
 この「お客様を満足~」というフレーズも、むかしからレスラーがよく口にするものだ。しかし私はこれがあまり好きではない。いや、プロとして間違ってはいないとは思う。むしろ他のプロ競技にはこの部分がわかってない選手が多いので、大いに見習ってほしいところではある。
 とくに競技そのものの人気に恵まれている場合、ただ「勝てばいい」「自分の成績がよければいい」しか考えてない選手が多かったりする。とりあえずはそれでも稼げるからだ。だけど私からすれば、それだと「アマチュアと一緒じゃん」というふうに映る。いいか悪いかは別として。

 ・・・ちょっと話が逸れたので元に戻そう。
 お金を払って観にきた客を楽しませなければならないのはプロとして当然のこととして、だがしかしプロレスラーはこの部分についての発言が多すぎる傾向にあるようにも感じている。いや、そうは言っても現実に客の入ってる団体はどこもエンタメ寄りの時代。興行収入が高いのが是である、とすればそれは正しいのだろう。
 ところが私はそれが気に入らない(笑)。私が見たいのは選手がファンのニーズに合わせている姿でもなく、団体が儲かってることでもない。まずはプロレスラーがプロレスラーとして心からやりたいことは何なのかを見せてほしいのだ。そりゃ儲からないよりは儲かるに越したことはないが、かといって儲ける手段が「世間と迎合」ならプロレスというジャンルそのものの意義が問われるというもの。
 たとえそれが世間的には好ましくないことであったとしても・・・いや、むしろそっちのほうがいい。常識的なものではなく、ふだん人が抑制されている野性的・狂気的な面を、アマチュアではなくプロの選手がやるからこそ見せてほしい。「ヒトの本性って、こうなんですよ」というものを。
 それが教育によくないとか言い出す者もいると思うが、そういう声のせいであらゆるエンタメをダメにしてきたんでしょと私は思っている。どうせ我が子にはオトナの醜い面を隠し続けることで温室育ちな教育をしてる人たちなんだろう。そもそもプロレスの歴史は、そういった声との闘いでもあったんだがな。

 ・・・また話が逸れてきたので元に戻す。
 イケメンが、強さよりは「楽しませる」ことに長けるタイプ(イケメンは船木誠勝がW-1に所属してたころチームを組んでいたのだが、あれが不思議でならなかったものだが)。「いま風」という意味でも「会場を沸かす」という意味でも、イケメンの陽性なキャラクターのほうが銭にはなりやすいのかもしれない。芦野とは考え方が違う。そして芦野は、このイケメンのスタイルをこき下ろすのだ。
 そんな両者がタイトルマッチで争う、というシチュエーションだった。

 

 

 芦野vsイケメンの試合、観ましたけどね。
 試合の内容や芦野が勝ったことよりも、イケメンのコッテリすぎる入場シーンばかりが印象に残った(苦笑)。

 

 

 あとね。芦野のWikipediaにはまだあまり多くのことは書かれていない。少ない情報の中に記載されていたのが「ライバルの黒潮“イケメン”二郎をディスリスペクトしているいっぽうで、観客と一体になって楽しくプロレスができるイケメンの姿を、リングに入ると余裕がなくて相手を倒したくて仕方なくなる自分にはないものを持っているとして羨ましく思うところがある」
 なんじゃこりゃ? これだとまるで「イケメンありきの芦野」みたいじゃん(苦笑)。  ヾ(-д-;)ぉぃぉぃ



 そして週刊プロレス10月11日号、記者によるコラムにて。W-1チャンピオンシップ試合後で芦野が訴えた、同団体内によくある“セオリー”または“お約束”に対し懐疑心を抱いているかのような発言へスポットを当てるような記事が書かれてあった。
 芦野の意見はもっともなもの。ただ、これをキャリア2年の若者が口にするのは通常はありえないこと。この男、相当に神経が図太い。新日本プロレス所属なら、まだヤングライオン杯への出場資格もある時期ですよ。

 彼は、私の大好きな「予定調和の破壊」を敢行するプロレスラーになれる素質を備えているのかもしれない。

 

 

 繰り返すが、芦野の言う「客に媚びるな」。これ、ものすごく大事! こんな時代だから、なおさら。流行りではなくとも、ちゃんと見てる人はいる。是非とも我が道を歩んでほしい。

 

 プロレスだけじゃないのだ。私の場合、テレビや映画などにしても、そこに「媚び」があるかないかが大きな基準としてみている。