東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(31)

2016-07-22 11:07:51 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

相変わらず夏の太平洋高気圧の定位置に低気圧が陣取っていて、ぱっとしない天気が続きます。ラジオの天気予報では、今日の気温は5月並みと言っていました。涼しいのは有難いのですが、折角の夏休みなので、もう少し夏らしい天気がいいかなと思う次第です。

さて、今回は2013年ジュニア数学オリンピック予選に出題された整数問題を取り上げます。

問題は、
「a、b、cを2桁の相異なる正の整数とする。積abcの下2桁が99であるとき、a+b+cとしてありうる最大の値を求めよ。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

積abcの1桁目が9であることから、a、b、cの1桁目の数を絞り込むことは簡単そうです。

2つの1桁の整数で、積の1桁目が9になる組合せは、
(1,9)(3,3)(7,7)
です。

さらに、2つの1桁の整数で、積の1桁目が上記の3つの組合せに現れた1、3、7、9になる組合せは、
・1になる組合せ
(1,1)(3,7)(9,9)
・3になる組合せ
(1,3)(7,9)
・7になる組合せ
(1,7)(3,9)
・9になる組合せ
(1,9)(3,3)(7,7)
です。

以上から、3つの1桁の整数で、積の1桁目が9になる組合せは、
(1,1,9)(3,7,9)(9,9,9)(1,1,9)(1,3,3)(1,7,7)
(1,3,3)(7,9,3)
(1,7,7)(7,3,9)
で、重複しているものを除き、3つの数を小さい順に並べて整理すると、
(1,1,9)(3,7,9)(9,9,9)(1,3,3)(1,7,7)   
の5通りです。

次に、積abcの2桁目が9であることからa、b、cの条件を引き出しましょう。

上の5つの場合について、2桁の整数は次のように表すことができます。ここで、1≦p、q、r≦9、p、q、rは整数です。

【1】(1,1,9)の場合:10p+1、10q+1、10r+9
【2】(3,7,9)の場合:10p+3、10q+7、10r+9
【3】(9,9,9)の場合:10p+9、10q+9、10r+9
【4】(1.3.3)の場合:10p+1、10q+3、10r+3
【5】(1,7,7)の場合:10p+1、10q+7、10r+7

次に、【1】から【5】について、3つの2桁の整数の積を計算します。

【1】(10p+1)(10q+1)(10r+9)=100(10pqr+9pq+pr+qr)+10(9p+9q+r)+9
【2】(10p+3)(10q+7)(10r+9)=100(10pqr+9pq+7pr+3qr)+10(63p+27q+21r+18)+9
【3】(10p+9)(10q+9)(10r+9)=100(10pqr+9pq+9pr+9qr)+10(81p+81q+81r+72)+9
【4】(10p+1)(10q+3)(10r+3)=100(10pqr+pq+3pr+qr)+10(9p+3q+3r)+9
【5】(10p+1)(10q+7)(10r+7)=100(10pqr+7pq+7pr+qr)+10(49p+7q+7r+4)+9

ここで、<式>を式の1桁目の数とすると、【1】から【5】の2桁目が9になるためには、
【1】 <9p+9q+r>=9
【2】 <63p+27q+21r+18>=9 ⇒ <63p+27q+21r>=1 ⇒ <21p+9q+7r>=7
【3】 <81p+81q+81r+72>=9 ⇒ <81p+81q+81r>=7 ⇒ <p+q+r>=7
【4】 <9p+3q+3r>=9 ⇒ <3p+q+r>=3
【5】 <49p+7q+7r+4> ⇒ <49p+7q+7r>=5 ⇒ <7p+q+r>=5
です。

さらに3つの2桁の数が相異なることを付け加えてまとめると、
【1】 <9p+9q+r>=9、p≠q
【2】 <21p+9q+7r>=7
【3】 <p+q+r>=7、p≠q≠r
【4】 <3p+q+r>=3、q≠r
【5】 <7p+q+r>=5、q≠r   
になります。

ここから【1】から【5】の条件を満たすp、q、rを調べていきましょう。このとき、a+b+c=10(p+q+r)+(一桁目の数の和)なので、a+b+cの最大値を求めるには、p+q+rの最大値を求めればOKです。

【1】の場合
9p+9q+r≦9・9+9・9+9=171から、<9p+9q+r>=9になる9p+9q+rの値は大きい順に、169、159、149、・・・です。

一方、9p+9q+rが取り得る値は大きい順に(p≠qを考慮して)、162(p=r=9、q=8)、161(p=9、q=r=8)、160(p=9、q=8、r=7)、159(p=9、q=8、r=6)、・・・なので、9p+9q+r=159が条件を満たします。

したがって、2桁の整数は91、81、69で、それら和は241です。

【2】の場合
21p+9q+7r≦21・9+9・9+7・9=333から、<21p+9q+7r>=7になる21p+9q+7rの値は大きい順に、327、317、307、・・・です。

一方、21p+9q+7rが取り得る値は大きい順に、333(p=q=r=9)、326(p=q=9、r=8)、324(p=r=9、q=8)、319(p=q=9、r=7)、317(p=9、q=r=8)、・・・なので、21p+9q+7r=317が条件を満たします。

したがって、2桁の整数は93、87、89で、それら和は269です。

【3】の場合
p+q+r≦9+9+9=27から、<p+q+r>=7になるp+q+rの値は大きい順に27、17、7です。

一方、p+q+rが取り得る値は大きい順に(p≠q≠rを考慮して)、24(p=9、q=8、r=7)23(p=9、q=8、r=6)、22(p=9、q=8、r=5)、21(p=9、q=8、r=4)、20(p=9、q=8、r=3)、19(p=9、q=8、r=2)、18(p=9、q=8、r=1)、17(p=9、q=7、r=1)、・・・なので、p+q+r=17が条件を満たします。

したがって、2桁の整数は99、79、19などで、それらの和は197です。

【4】の場合
3p+q+r≦3・9+9+9=45から、<3p+q+r>=3になる3p+q+rの値は大きい順に、43、33、23、・・・です。

一方、3p+q+rが取りえる値は大きい順に(q≠rを考慮して)、44(p=q=9、r=8)、43(p=q=9、r=7)、・・・なので、3p+q+r=43が条件を満たします。

したがって、2桁の整数は91、93、73などで、それらの和は257です。

【5】の場合
7p+q+r≦7・9+9+9=81から、<7p+q+r>=5になる7p+q+rの値は大きい順に、75、65、55、・・・です。

一方、7p+q+rが取り得る値は大きい順に(q≠rに考慮して)、80(p=q=9、r=8)、79(p=q=9、r=7)、78(p=q=9、r=6)、77(p=q=9、r=5)、76(p=q=9、r=4)、75(p=q=9、r=3)、・・・なので、7p+q+r=75が条件を満たします。

したがって、2桁の整数は91、97、37などで、それらの和は225です。

以上から、a+b+cが最大になるのは、【2】の場合で、その値は269になり、これが答えです。


2つの整数の積ならば単純ですが、3つの積になると大分複雑になります。面白い問題でした。

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