2015年07月10日
季節の便り −− ノウゼンカズラ
2015/07/10 撮影
ノウゼンカズラ、
ひときわ目を引く赫黄色の花、
花冠は広い漏斗(ろうと)型で、5裂平開。
東京西郊のこのノウゼンカズラ、
今年は10日ほど前のとくに暑い日に、いつも通りかかる家の庭に、
例年になく美しい花が見られ息をのんだが、
以来は少雨つづきの日々、花は開かない、足を向ける気さえ起らなかった。
きょうは、久々の晴れ。台風9号は日本の西南を荒らして去ったか。
ノウゼンカズラの花期は夏から盛夏、とは知っている。
撮影に焦ることもないのだが、雨の日つづき、
この花をのがしたくない、気のせく理由らしきものがあった。
2015/07/10 撮影
20年ほど前に亡くなった師ともいえる人物が、
それに先立つ10余年ほどもの間、毎年夏の盛りに決まって、
多忙をきわめていた身を、2,3日東京を出奔するのだ。
のちに、その理由の、推測の糸がつながった(と思っている)。
毎年、京都の古寺のノウゼンカズラの老樹を見に訪れているのが、
ある一書に記されている。
東京のお宅の庭にも、苗をいただいて植えてみた、ともある。
あれだ、と思った、
1メートルほどに蔓(つる)を伸ばして、淡黄色の花もいくつかついていた。
その一文、何ごとにも淡白なその人物にして、
ノウゼンカズラには思い入れが深すぎる。
その古寺への因縁の深さを別にしてすべてが成り立ちようがない。
ノウゼンカズラは以来、毎夏、さらに見過ごせない花になった。
2015/07/10 撮影
ノウゼンカズラ、蔓性の落葉樹。
枝や蔓から他のものに吸着する気根を出して、上方へと這いのぼる。
幹は藤の樹と同じように太くなる。樹高は数メートルにも達する。
原産地は中国。漢名は「りょうしょう」。平安時代の和書に「乃宇世宇(のうせう)」の名がみられることを根拠に、
わが国へは古くに渡来したとされる。
のうせうかずら → のうぜんかずら と転訛した、というのが名の由来、と。
ひとつひとつの花は短命だが(1〜3日で落ちる)、絶え間なく新しい花が開く。
東京西郊で、故人を偲ぶ初夏。
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