うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

母の戦争体験

2017年08月16日 | 真面目な日記

先日、遠出をして以来、

残す大型連休は、静かに過ぎて行く。

 

おはようございます。

だもんで、日々の出来事が、白紙同然だ。

もう意識すら無いままに過ぎてゆく。

長い昼寝のせいで。

 

仕方ないので、実家にでもと行ってみると、

テレビから、終戦記念番組が流れていた。

ご老人が戦争体験を話している場面をしばらく見て、

私は、軽い口調で、

「母さんは、戦争を覚えているんだっけ?」と、聞いてみた。

すると、母は真剣な顔で、話し始めた。

 

まだ幼かった、あの頃、

名古屋は激しい爆撃を受け、家を焼かれてしまった。

棲む家を失った一家は、仕方なく母親の実家を頼りに旅に出たのだ。

そして、ようやくたどり着いた所は、

住み慣れた町とは全く違い、まるで別世界だった。

山深く、冬は、たくさん雪が降り、

慣れない寒さに耐えられず、

幼い少女は、こぼれ落ちそうな涙を、こぼさぬよう歯を食いしばった。

自分が泣いてしまっては、お母さんが困るから。

そう小さな胸に言い聞かせた。

 

その母親の実家は

田舎作りの一軒家で、広い土間があって、

その横には、1頭の馬が飼われていた。

帰宅するたび、首を伸ばしてくる馬が、少女はどうしても怖かった。

その検問を潜り抜け、家に上がれば、

至る所に、お祖父さんが可愛がっている猫達が寛いでいた。

少女は、馬は怖くて触れないが、

可愛らしいしぐさの猫は触りたいと思えて、そっと手を伸ばしてみた。

すると、突然、少女の背中に痛みが走った。

振り向いてみると、

そこには、竹刀を持った、怖い顔をしたお祖父さんが立っていて、

「そんな手で、猫を触るな」と大きな声で怒鳴った。

 

裸足で歩けば、床が汚れると怒鳴られ、

食事の時間になれば、話す事も許されなかった。

母親とその娘達は、座敷ではなく土間で黙々と食べた。

幼い少女は、訳も分からず、

ただ叱られないよう気を付けるしかなかったが、

どう気を付ければいいのかすら、実は分からなかった。

唯一頼りにしている母親も、

少女が叱られているのを知ると、

庇うどころか、さらに酷く叱る始末だった。

 

そんな、ある日、

少女は学校の帰り道、遠くにフラフラ歩く母親を見つけた。

どうしたんだろうと、後をつけてみると、

母親は、ずんずん崖へと向かっていく。

少女が思わず「あっ、お母さん!」

と咄嗟に駆け寄った、その時、

母親は、手に抱いていた小さな子猫を崖から落とした。

「この家では、私の子より猫の方が大事なんや。

悔しい・・・悔しい・・・」

そう呟く母親を見て、少女は言葉を失った。

 

山深い、実家のある村は、爆撃される事はなくとも、

だからといって、

戦時下が故、生活するに充分な物や金が手に入る訳では無かった。

先の見えぬ日々の中で、人々は、ぎりぎりの生活を強いられ、

戦争は、人の心をも奪っていったのだろう。

 

あれから70余年経った今でも、

母は、当時の事をよく覚えていた。

「あの人はよ、あの時、実の親に遠慮しいしい、

小さくなって暮らしとった。

よう隠れて、独りで泣いとった。哀れやった。」と。

そして

「あのお母さんの姿を見て以来、わしは猫が怖くなったんや。

あれから今でも、猫が大っ嫌いになったんやぞ。」と、笑った。

それを聞いて、私が

「え?母さん、うちの猫に可愛い可愛いって、いつも言ってんじゃん!」

と言うと、母は、さらに笑った。

 

そして、そのまま、私は笑顔で、

「ねぇ、母さん?爆撃はどんな感じだったの?」と聞くと、

母は、ぐっと顔を強張らせて、ただ一言、

「本当に、怖かった」とだけ、小さな声で呟いた。

そんな母に、

私は、掛ける言葉が見つからなかった。

 

うめ「しゃーてと、あたしゃ、そろそろ、極楽へ帰るぞよ」

 

うめ「お前は、来られるかの?極楽へ。ヒッヒッヒ~」

うーめさーーーーん!こらーーーーー!!


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18 コメント

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Unknown (桜吹雪)
2017-08-16 09:22:15
戦争体験
おかっぱさんのお母様はツライ体験をされたのですね。私の母は確かそのような体験をしていなかったと記憶しておりますが。
でもそれなりに、大変な時代を生きてきたんだと思います。
私達の時代では想像も出来ないツライ現実が、たくさんあったのでしょうね。

うめさん
美しい猫さんだったのですね~
顎の下の長い毛がさくらに似てる( *´艸`)
かっわいいな~(=^・^=)
でも。こんなに立派ではないな~
さくらのは(笑)
Unknown (小豆ママ)
2017-08-16 09:30:07
梅さん おかえりなさい..
久しぶりにみんなに会えて
楽しかったでしょうか?
おかっぱさんのお家のみんなは元気に楽しく
暮らしていますから 心配しないでくださいね
安心して 天国へ帰ってくださいね

昨日 今日と戦争のことを綴った記事を
拝見させていただいております
戦後72年 今は平和な日本ですが
72年前は 悲惨な戦争があったのですから
今のこの平和な世は たくさんの亡くなった方々の
尊い犠牲の上にあるということを
忘れてはならないですね
お母さまのお話 ありがとうございます
貴重な戦争体験談 (ぴのこ)
2017-08-16 10:45:58
母上はせっちゃんと同じくらいかな?
家がなくなり親戚のおうち(おかあさんの実家?)に身を寄せたエピソードは、まさに火垂るの墓の世界でした。
母上のお母さんも、いろんな思いが複雑にからまり、猫ちゃんにあのようなことをしてしまったのかなと。冷静になれば猫ちゃんには何も非はないのですが…人を冷静にさせなくするのが戦争なのだとつくづく思います。
時の流れとともにこのような体験をされた方が少なくなっています。水木しげる先生は出兵体験や戦争のことを忘れられぬよう作品に残されたとうかがいました。
2度とあってはならないよう願うばかりです。
母上も元気で長生きして、今を存分に楽しんで頂きたいです!!

お盆で、うめちゃん帰ってきたのね~。
おかえりなさい(ФωФ)
Unknown (gundogs)
2017-08-16 12:59:23
うめ様お帰りなさいませ
もっとゆっくりして行けばいいのに
おかっぱさんを叱咤激励してくれないとね


あと何年かしたら
戦争を経験した人達が
皆いなくなるのかもね
戦争が起こる原因は
私は教育だと思ってるの
今の日本は教育がしっかりしてるから
戦争を自ら起こすなんて馬鹿な事は
しないと思うんだ
当時の痛みは本人にしか分からない
どんなに話を聞いても自分の痛みではないから
きっと心底理解なんて出来ないと思う

とりあえずこれからはゆっくりのんびり
好きな事だけやって
生きて行って貰いましょうね♪

桜吹雪さんへ (おかっぱ)
2017-08-16 15:12:54
父も母も、戦中の記憶は、それぞれ違うけど、
やっぱりそれぞれに大変だったようです。
きっと、日本中の人達が、私達には、
到底想像できないような思いで、生きたのでしょうね。
そんな中、生き抜いてくれた人々があって、
亡くなっていく人々が居て、そうやって、
今、私たちは生きていられるのでしょうね。
私も、さくらちゃんを拝見するたび、
実はうめさんに似てるな~って思ってたんですよ。
表情なども、ちょっと似ているかもって。
とっても嬉しいです~。
小豆ちゃんママさんへ (おかっぱ)
2017-08-16 15:19:35
お久しぶりのうめさんです(笑)。
帰って来たかしら?
あのお方、私には一切知らせてくれんのですよ~。
いけずなうめさんなのです(笑)。
きっと、猫達は感じているのかもですね。
そうですよね。
今の日本があるのは、亡くなられた方々があってですよね。
私など、母の話を聞いても、ピンとこない程、
平和で守られた暮らしをしているんだと痛切に感じます。
せめて、感謝をして、そして忘れずに、
大切に生きていかなければと思います。
母の体験も、いずれは語られなくなるだろうと思い、
この際に書かせていただきました。
こちらこそ、読んで下さり、ありがとうございます。
ぴのこさんへ (おかっぱ)
2017-08-16 15:34:17
そうですね、せっちゃん位だったと思います。
実際、聞いていると、爆撃は別として、
人々の終戦は、終戦と同時に終わったわけでは無く
その後、日本が整っていくまでの間も苦しく不安だったようです。
母のお母さんも、そしてその親子を受け入れる実家の人々も、
家族の絆を見失う程、苦しかったのでしょうね。
戦争というものは、生き死にだけでなく、
こうして心を奪っていく事なのだと、
ゾッと致しました。
自分ならどうするか、そう考えると、
自分を保てる自信は持てないですもん。
うちの母さんも、いずれ駆られなくなるだろうと思い、
ちょうど、この時期だったので書かせて頂きました。
お陰様で、今は、好きなようにパチンコしております(笑)。
うめさんは、そろそろ、極楽へ
帰って行ったかな~。
さっさと帰っていったかな~(笑)。
gundogsさんへ (おかっぱ)
2017-08-16 15:43:03
うめさん、帰って来てくれたとは思うんだけど、
どうかしら?ねえ、どうかしらん(笑)?
そこなんですよね。
経験のない私は、実際に聞いていても、
実はまったく実感が持てないんです。
だから、軽く「どうだった?」なんて、
無神経に質問もできちゃう訳です。
でも、母さんの心の傷はまだ消えてない、
そう思うと、もう更に聞くことはできませんでした。
そして、それ程に戦争とは恐ろしい事なのだと
思いました。
戦争を知らない私達は、このまま、
戦争のない時代を守っていかないと、ですよね。
お陰様で、今は気楽に楽しそうに、
暮らしていますが、いくら楽しいからって、
お酒、飲みすぎじゃない?と思ったりしております(笑)。
Unknown (KAZU)
2017-08-16 18:07:41
そうですね~
戦争を知らないから・・
母も満州に行ってたので襲撃などは経験しなかったようですが。。
満州での話も引き上げるときは苦労したようです。
父が戦争になぜ招集されなかったか聞いたことがありました。
甲種合格くじ逃れとのこと・・
子孫繁栄に励めと・・
要するに身長などが足りなかったようです

こちらも空襲があり父もずいぶん危ない怖い思いをしたようです。
叔父。。父の弟は神風特攻隊でしたので
どんな思いで敵に向かって行ったのかと思うとなんとも言えない気持ちです。。

なので・・ミリタリーオタクの旦那を理解はしてるけどちょっと複雑ですね(^_^;


うちのにゃんたちも帰ってきてたのかなあ・・
こっちゃんはお盆中に蝶々を何匹か殺生しました(^_^;

さて。。
花火大会行ってくるね~~
寒いので毛布持っていきます(笑)
忘れた(^_^; (KAZU)
2017-08-16 18:17:31
猫を捨てたお話。。
せつないですね。。。
おかっぱさんのお祖母さんなのですよね

なんか。。
孫たちより猫がかわいいと思ってる私は反省します(__;)

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