【償却資産の納税義務者】<信託された償却資産> | 元税務調査員の 「固定資産税(償却資産)申告と実地調査」講座

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償却資産とは。これから、クイズ形式で、固定資産税(償却資産)の申告と実地調査手法などを、地方自治体の税務職員だけではなく、広く中小企業及び大企業の経理担当者、税理士の方々も対象に、基礎的なことから講義をしていきたいと思います。償却資産実地調査研究会

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償却資産の納税義務者

  <信託された償却資産>

 

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                   平成281024日   no64

 

<問題>

信託の場合、償却資産の考え方で正しいのはどれか。

1 信託の資産の申告は、委託者・受託者の共有で行う

2 信託の資産の申告は、受益者が行う。

3 信託の資産の申告は、信託行為がどのような定めかによる。

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●生徒●

「信託」の意味の説明から、お願いいたします。

 

★講師★

信託とは、委託者が受託者たる個人又は信託会社等に対して、信託行為(信託契約、遺言、自己信託)によって金銭や土地などの財産を移転し、受託者は委託者が設定した信託目的に従って受益者のためにその財産(信託財産)の管理・処分などをすることをいいます。

 

●生徒●

もう少し、かみ砕いて説明をお願いします。

 

★講師★

まず、財産があります。

金銭、株式や国債などの有価証券、土地・建物、ほかにも、特許権や著作権などの知的財産権なども信託では、「信託財産」になります。

そして、その「信託財産」に「委託者」「受託者」「受益者」が関わってきます。

金銭、株式などの「信託財産」を、「受託者」に信託する人間が「委託者」です。

「受託者」は、「委託者」から財産を引き受けます。

そして、信託の目的にしたがって管理・処分します。

この場合、「受託者」は、信託業の担い手であり、信託銀行、都市銀行、地方銀行等の信託業務を取扱っている金融機関、信託会社などがあてはります。

そして、その「信託財産」から生じる利益を受ける人間が、「受益者」です。

注意が必要なのは、「受益者」はだれでもなることができ、「委託者」自ら「受益者」になることもあります。

土地、家屋の場合には、不動産登記簿の「信託目録」に記されます。

 

●生徒●

固定資産税(償却資産)は、どう考えるのですか。

 

★講師★

通常、信託された建物等の償却資産(受変電設備等)は、第三者への譲渡を前提としていません。この場合、信託を引き受けた信託会社が納税義務者となります。

しかし、信託会社(信託業務を兼営する銀行を含む。)が信託の引受けをした償却資産で、その信託行為の定めるところにしたがって当該信託会社が他の者にこれを譲渡することを条件として当該他の者に賃貸しているもの。

これについては、当該償却資産が当該他の者の事業の用に供するものであるときは、当該他の者をもって所有者(納税義務者)とみなされると地方税法343条には記されています。

 

●生徒●

具体的には、どのような例がありますか。

 

★講師★

 たとえば、鉄道車両、船舶等にみられる例です。

製造会社が地方鉄軌道業者、海運業者等にこれらの償却資産を売り渡す場合、金融の必要上、法律的には信託会社にこれらを信託することがあります。

信託会社は形式的に所有権を取得し、代金の回収を終了した後、使用者に所有権を移転することとしているものです。

これらの償却資産については、実質的な使用収益者に課税しようとするものなのです。

 

 *   *   *   *   *  

 

<正解>

3 信託の資産の申告は、信託行為がどのような定めかによる。

 

 

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■ 償却資産実地調査研究会

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