【償却資産の評価】<「前年前」・「前年中」取得> | 元税務調査員の 「固定資産税(償却資産)申告と実地調査」講座

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償却資産とは。これから、クイズ形式で、固定資産税(償却資産)の申告と実地調査手法などを、地方自治体の税務職員だけではなく、広く中小企業及び大企業の経理担当者、税理士の方々も対象に、基礎的なことから講義をしていきたいと思います。償却資産実地調査研究会

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【償却資産の評価】

  <「前年前」・「前年中」取得>

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                平成28年 11月 9日   no66

 

<問題>

次のうちで、償却資産の考え方で正しいのはどれか。

1 「前年中」取得の資産は、「月割償却法」を採用する。

2 前年11日取得は、「前年中」取得ではない。

3 国税で「定額法」を採用された資産は、同じ「定額法」を用いる。

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★講師★

まず、地方税法での償却資産の評価について確認します。

地方税法388条では、総務大臣は、固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手順「評価基準」を定め、これを告示しなければならないとされています。

そして、地方税法403条では、市町村長は、「評価基準」によって、固定資産の価格を決定しなければならない、とされています。

 

●生徒●

どうやら、国税の評価と、異なっているようですね。

 

★講師★

「評価基準」第1節では、償却資産の評価は、「前年中」に取得された償却資産にあっては当該償却資産の取得価額を、「前年前」に取得された償却資産にあっては、当該償却資産の前年度の評価額を基準とし、当該償却資産の耐用年数に応ずる減価を考慮してその価額を求める方法によるものとする。とされています。

 

●生徒●

取得が、「前年中」と「前年前」で、評価額の算出が違うということなのでしょうか。

 

★講師★

そうです。

「前年中」に取得された償却資産とは、当該年度の初日の属する年の前年中に取得(承継取得を含む)されたものをいいます。

 

●生徒●

この「前年中」とは、11日から、1231日までのことですね。

 

★講師★

違います。

「前年中」とは、前年の1月2日から、本年の1月1日までです。

本年の11日は含まれるので、気を付けてください。

固定資産税の土地、家屋と同様に、賦課期日11日の状態が考慮されているのです。

 

●生徒●

なるほど。

 

★講師★

そして、前年中に取得された償却資産の評価は、当該償却資産の取得価額から当該償却資産の取得価額に「耐用年数に応ずる減価率表(旧定率法)」(評価基準別表第15)に掲げる耐用年数に応ずる減価率(評価基準第1節二)です。

これに2分の1を乗じて得た額を控除してその価額を求める方法によります。

 

●生徒●

この「定率法」の計算式で、2分の1を乗じるとは、つまり、すべての資産が「半年償却」を行うということなのですね。

法人税法、所得税法上の減価償却の方法は資産により「月割償却法」を採用していますよね。

そして、国税、所得税などで使用される「定額法」の方法は、償却方法が、固定資産税(償却資産)では、行われることがない。

これでは、初年度から、国税とは評価額が異なってきますね。

では、「前年中」ではなく、「前年前」に取得された償却資産で、

新たに固定資産税を課されることとなるものとは、

いったい、どのような事例があるのでしょうか。

 

★講師★

当該年度の前年度まで固定資産税が非課税とされており、当該年度から課税されることとなる場合、従来まで自家用として使用されていたものを新たに事業用に使うようになった場合、

ほかにも、移管資産の評価で当該償却資産が所在した他市町村の前年度評価額が不明な場合などが、考えられます。

 これらの場合は、当該償却資産の取得価額を基準とし、当該償却資産を取得した年から前年までの経過年数に基づいて算定した当該償却資産の耐用年数に応ずる減価を考慮してその価額を求める方法によって評価額が算出されます。

 

 

  *   *   *   *   *  

 

<正解>

「2 前年11日取得は、「前年中」取得ではない。」

 

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■ 償却資産実地調査研究会

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