平成29年12月10日 no1
今年も日本中、たくさんの自治体での研修の講師をさせていただいている。
企業、個人、税務担当者からの固定資産税(償却資産)申告の方法についても、依頼があれば受けつけている。しかし、少ない。
固定資産税(償却資産)も、税務署と同じように、企業、個人へ申告内容の調査が行われている。
そして、税務署と同様に、決算書等の経理処理内容と固定資産税(償却資産)申告の整合性が問われ、追徴課税が発生することもあるのに、たぶん、マスコミに報道されることが少ないためなのか認知度が低い。
これから、多くの自治体から、固定資産税(償却資産)申告書の発送が行われているか、もうすぐ、手元に届く状態になっていると思いますが、
12月末までに固定資産税(償却資産)申告書が手元に届き、来年、平成30年1月末が、ちょうど、固定資産税(償却資産)申告書の締め切りとなる自治体が多い(納期限も自治体により、異なっています。)ので、ここで、固定資産税(償却資産)申告書の記入で、誤りやすいポイントを示していきたいと思う。
実地調査で固定資産税(償却資産)の基本ロジックを説明すると、多くの頭脳明晰な企業の経理・総務担当者は理解していただける。
しかし、ほとんど、実地調査のはじめの段階では、法人税、所得税のロジックで、質問には、担当者は回答される。
企業経理担当者、税務のプロである税理士でも同じなのです。
国税のロジックで話がはじまります。
「法人税では、こう考えるはずだ・・。」
「なぜ、減価償却していない資産が、課税対象になるのだ。」
「簿外資産は、申告対象外だろう。」などなど
これは、たぶん、会計ソフトの多くが固定資産税(償却資産)申告を固定資産台帳から作成される仕組みになっていること、そして、償却資産プログラム作成時に誤った処理がされてしまうこと、そして、基本的な法令を理解していないことから生まれることだと思います。
その中でも、とくに重要な固定資産税(償却資産)の基本ロジックは、
地方税法341条の(固定資産税に関する用語の意義)に集約されています。
この地方税法341条だけで、私は一日かけて、自治体で研修を行っています。
この条文には、すべてが集約されているのです。
この条文は実は破綻のない、とても美しく完璧な文章なのです。「法人税法」、「所得税法」ではなく、「地方税」のここをきちんと読みこなさなければ、固定資産税(償却資産)申告書は作成できないのです。
だから、研修でも、この短い文章に一日をかける必要があるのです。
それをこれから、順に説明していきます。
(参考)地方税法
第三百四十一条 固定資産税について、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 固定資産 土地、家屋及び償却資産を総称する。
二 土地 田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野その他の土地をいう。
三 家屋 住家、店舗、工場(発電所及び変電所を含む。)、倉庫その他の建物をいう。
四 償却資産 土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産(鉱業権、漁業権、特許権その他の無形減価償却資産を除く。)でその減価償却額又は減価償却費が法人税法 又は所得税法 の規定による所得の計算上損金又は必要な経費に算入されるもののうちその取得価額が少額である資産その他の政令で定める資産以外のもの(これに類する資産で法人税又は所得税を課されない者が所有するものを含む。)をいう。ただし、自動車税の課税客体である自動車並びに軽自動車税の課税客体である原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車を除くものとする。」