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(BL小説)風のゆくえには~嘘の嘘の、嘘 21-2(諒視点)

2017年02月15日 07時21分00秒 | BL小説・風のゆくえには~ 嘘の嘘の、嘘


*今回R18です。具体的性表現があります。苦手な方ご注意ください*



 彼が最後までしてくれないことを、ずっと気にしていたオレに、侑奈がとんでもない情報をくれた。

「泉、諒がエッチ上手だって話を聞いちゃったらしくて、すっごい気にしてるんだよ」
「………え」

 な、なんだ、それは?! 誰だそんなこと言ってるの! って、したことある女子なんて何十人もいるから分からない……っ

「話聞いたの、9月のことらしいんだけど……」
「…………」
「泉のことだから、それからビビってやれてないんでしょ?」
「…………」

 侑奈、何でもお見通し……

 でも、この約4ヶ月、彼はオレの前ではそんな素振りを見せたことは一度もない。小学生の時みたいに甘やかしてくれて、大切に大切にしてくれていた。

 侑奈の友達に告白されたときも、大喜びはしたものの、きっぱりはっきり断ってくれたし。

 一昨日も「美容師になる」って言ったオレを心配して桜井先生のところに駆け込んでくれたし……

 挿入はしないまでもイチャイチャはたくさんしてくれて、それで一緒に気持よくなったりしてて……上手いとか下手とかそんなの……

「こないだ、私にまで『諒って何分くらいもった?』なんて聞いてきてさ……」
「え……」
「それ気にするってことは、泉、すごい早いの?」
「…………」
「…………」
「…………」

「あ、ごめん」
 侑奈は真面目な顔をして手を振ると、

「聞きたくないから言わないで」
「………うん」

 言わない。
 早いか遅いかと言われれば、早い、のかもしれない。けど……。

「まー、泉、基本的に単純だからさ。泣き落としでヤルまで持ち込んで、終わったあとに、すごい良かったってめちゃめちゃ誉めてあげれば、大丈夫になるんじゃない?」
「…………」

 さんざんな言われようだ……
 侑奈は楽しげに言葉を継いだ。

「明日はクリスマスイブだし、誘ってみたら~?」
「………侑奈は明日は?」
「さあ?」

 思わせぶりに、うふふ、と侑奈が笑ったところで、チャイムが鳴った。彼だろう。

「はーい」
 楽しげに侑奈が玄関に向かうのを眺めながら、ボヤッと思う。

 誘ってみたら……か。
 ちょうど、明日から3日間、両親は帰ってこないと言っていた。あの人たちは、毎日忙しくて、家にいることは少ないのだけれども、変な時間に帰ってきたりするので、迂闊に彼を泊まらせることはできないのだ(いや、普通に泊まるのは全然大丈夫なんだけど、するのは危険……)。でも明日は大丈夫……

「諒」
「………ん」

 入ってくるなり、こたつに座っているオレの頭を撫でてくれる彼。甘やかされてるな、と思う。

「あれ? お兄さん」
「こんにちは」

 続けて入ってきたのは、優真のお兄さん。

「侑奈ちゃん、これお土産」
「わ、ありがとう~」

 侑奈が嬉しそうに箱を受け取って、そのまま台所で話しこんでいる。そういえば、こないだ4人で遊園地行った時も、侑奈とお兄さん、仲良かったもんな………。

(もしかして、明日の侑奈の予定って……お兄さん?)

 そうだとしたら嬉しい。優真のお兄さんなら安心だ。
 侑奈の楽しそうな声を聞いていたら、勇気がわいてきた。

(よし。オレもがんばろう……)

 勇気を出して、誘おう。

「優真……っ」
「ん?」

 心が挫ける前に一気に言う。

「明日の夜、泊まりにきて。うちの親いないからっ」
「あ、そうなんだ。ラッキー。いくいく」

 こちらの緊張をよそに、彼はケロリと言う。

(こういう言い方するっていうことは、しないってことか……)

 そう思ってガッカリしていたのだけれども……

「明日、クリスマスイブだし。せっかくだから最後までやろうな?」
「え………」

 侑奈達に聞こえないように、耳元でコソコソっと囁いてくれた彼……

「ジェルついてるゴム買ったから、持っていくな?」
「…………っ」

 自分でも、赤くなったことが分かった。

「いい?」
「…………うん」

 うなずくと、彼も照れたように笑って、こたつの中で繋いだ手にぎゅっと力をこめてくれた。



***


 翌日……

 一緒に夕飯をとって、ケーキも食べて、それぞれシャワーも浴びて、準備もして……

「ちゃんとするの、久しぶりだな」
「うん」
「上手く出来なかったらごめんな」
「そんなこと……っ」

 抗議の声をあげようとしたけれど、抱きすくめられ、言葉をとめた。肌と肌が溶け合ってしまいそう……

 たくさんのキスの嵐の後、彼が「入れていい?」と直球で聞いてきたので、こっくりとうなずいて、ゴムを着けてあげた。わざわざ買ってきてくれたなんて、嬉しい………

「諒……」
 ぐっと太股の裏辺りを掴まれ、押し上げられ、緊張感が走る。でも、そうとは見せないように細心の注意を払いながら、彼にうなずいてみせる。

「……入れて?」
「…………」

 遠慮がちに、熱いものが入り口にあてがわれ……そのままズブズブと入ってきた。

「………っ」
 約4か月ぶりの熱……。初めてした後からは、自分でする時に指の数を増やしてするようにしていたので、太さの対応はできていたつもりだけれども、本物はもう少し太くて、それになにより熱くて、長さもある。内臓を抉られる感じがする。でも、このお腹の中に入っていく感じが、彼自身を受け入れている、と思えて、胸がいっぱいになって、やっぱり涙が出そうになる。

「諒……痛い?」
「ううん」

 本当は痛いけど、平気なふりで首をふる。

「優真の、気持ちいい」
「……そっか」

 笑ってみせると、彼はホッとしたように息をはき、

「……動かしてもいい?」
「うん」

 ぐっとオレの腿を持つ手に力が入った。そのまま、律動がはじまる。

(………っ)
 彼のものが固く力強くオレの中を行き来する。彼と一つになっている実感が持てる。こらえるように、眉を寄せている彼の表情にもそそられる。痛みですら喜びに代わる。

 それからしばらくの律動の後……

「………んんっ」
「……っ」

 中の熱量が更に高まり、小さな呻き声と共に、彼がブルッと震えた。

(ああ良かった……イケたんだ)

 彼が絶頂を迎えた様子にホッとする。確かに早いかもしれないけれど、そんなの、早いってことはオレですごく感じてくれてるってことなんだから、嬉しさしか湧いてこない。オレの中でイってくれる彼が愛おしくて、愛おしくて、たまらない。

「優ちゃん……好き」
「諒……」

 彼は繋がったまま、オデコにキスをくれた。ああ、幸せ……

「あ……っ」
 ズルり、と引き抜かれ、声が出てしまう。本当に本当の正直を言えば、もっと繋がっていたかったけれど……、でも、体の負担を考えたらこれで充分だと思う。中で感じるのは、まだ無理だ。そう、思ったのに……

「諒」
「ん?」

 彼がなんだか思い詰めたような顔でこちらをみている……

「優ちゃん? どうし……、んんっ」

 言葉を続けられなかった。彼の左指がオレの中におもむろに侵入してきたからだ。

「あ……んんっ」

 変な感じ。中で蠢いている、彼の、指……。声が勝手に出てしまう。

「諒……」
「優ちゃ……っ」

 切ないような、彼の瞳……。じっとこちらを見たまま、指を抜き差ししていて……

「気持ちいいとこ、ある?」
「え……あ、んんっ」

 探るように指を動かされ、ビクッとなる箇所でこらえきれずに声を上げてしまう。

「ここ?」
「分……かんないっ」
「そっか」

 そう言いながらも、彼の指は動き続けていて……

(………あ)
 そして、気が付いた。いつの間に、彼は自分のゴムを取りさっていて、そして……

(……っ)
 その光景に、全身の血が一点に集中して、自分のものが立ち上がってしまった。

(優真……自分で、してる)

 左手はオレの中を擦り続けていて……
 右手は一度放出して力を失った自分のものを、扱いて力を持たそうとしている。
 少し細めた瞳は、オレのことをジッとそらさず見ていてくれて……

(あの時……)
 オレと侑奈がやっている音を盗み聞きながら、隣の部屋で自慰行為に耽っていた彼の姿を思い出す。あの時天井を見上げていた彼が、今はオレを見ながらしてくれてる……

 震えてしまう。この光景……オレの倒錯的な妄想を現実化したもの、そのものだ。……もうこれだけでイってしまいそうだ。

(優真……)
 優真が欲しい。その手にしているものを、入れて? オレの中に入れて……

「優ちゃん……」
「諒……もう一回、いい?」
「………っ」

 うんうん、と激しく肯いてしまう。
 彼はオレから目も手も離すことなく、器用にコンドームの袋を口を使って開け、右手だけで自分のものにかぶせた。そして、左手を引き抜くと同時に、その熱いものを中に押し込んできた。ジェル付きのゴムのおかげもあって、すんなりと中に入っていく。

「………あ……っ」
 さっきよりも、さらに、熱い。たぶんオレの中もすごく熱くなってるんだ。

「諒……っ」
「んっ」

 緩やかに律動をしながら、右手がオレのものを扱いてくれる。中からも外からも、刺激が強すぎて頭に血がのぼってくる。

「優ちゃ……っ」
「すっげえ、ダラダラ……」

 オレの先走りでクチャクチャといやらしい音がする。優真、嬉しそう……

「気持ちいい?」
「ん……んんっ」

 うなずくことしかできない。彼は満足したように肯くと、思いきり腰を打ち付けてきた。

「あ……っ」
 痛さと快感と、彼の熱と、彼の嬉しそうで気持ち良さそうな顔と、色々なものが混ざりあって、快感がこわいくらいの勢いで迫ってくる……っ

「優……っ、も、ダメ……、イクッ」
「うん」
「優ちゃ……っ」

 思わず、彼の左手をぐっと掴む。彼はそれを握り返してくれながら、優しく言ってくれた。

「諒……イって?」
「あ……優……っ」

 その声に促され、奥まで突きあげられ、手でも扱きあげられ…………、追いたてられるように理性を手放した。

 あああああ……っと抑えきれない声と共に、白濁が彼の腹にブチまかれる。

(気持ちい……っ)

 今まで何度となく経験してきたのに、それと比べ物にならないくらいの快楽の頂点。彼のものを咥え込んだところがドクドクと波打っている。

 と……

「諒……もうちょっとしていい?」
「え……あ、んんんっ」

 彼が再び律動を開始する。そのまま後ろを刺激され続け、頭が真っ白になっていく。

「諒……」
「優真……っ」

 そのまま何度も名前を呼び、彼にしがみつき……もう一度絶頂を迎えたような気がするけれど、何がなんだかわからなくて、覚えていない。ただ、ものすごく気持ちよくて……そして、彼がものすごく嬉しそうだったことは覚えている。


***


 目を覚ますと、彼の腕の中にいて……彼が愛おしそうにオレのことを見ていることに気が付いた。

「優ちゃん……?」
「うん」

 チュッと額にキスしてくれ、優しい手が頭を撫でてくれる。

「ちょっとだけ寝てたな。もうすぐ12時だけど、風呂入るか?」
「うん……でも、ちょっと待って……」

 キュッと彼に抱きつく。素肌の触れ合いが気持ちいい。

「足とか、なんか、ダルくて……」
「そっか。大丈夫か?」

 ギュッと抱きしめ返してくれる。ああ……こんな幸せ、あっていいのかな……

「優ちゃん……」
「ん?」
「すごい気持ち良かった」
「……そっか」

 それなら良かった、と安心したようにうなずいた彼。
 その後、一人言のように「ホントだったな……」とつぶやいたので、「何のこと?」と聞いたところ……

「いや、桜井が……」
「桜井先生?」
「うん………」

 別に言わなくてもいい話なんだけど……っていうか、言わない方がいいのか……? そう、ブツブツ言ってから、驚くべきことを教えてくれた。

 彼は自分が早いことをことをずっと気にしていて……先月、桜井先生に相談、したのだそうだ。そうしたら、オレに男同士のやり方を教えてくれた時と同様に、先生は淡々と対処法を教えてくれたらしく……

「よくそんなこと教えてくれたね。さすが天然先生……」
「大学の時にそういうのに異常に詳しい友達がいて、その人から色々聞かされてたんだって」

 欠点は、テクニックでカバーしろ、というのがその人の口癖で、早いのなら、指と回数でカバーしろ、と言っていた、という……

「もしかして、優真、練習、した? 片手の……」
「………」

 イタズラそうに笑った彼。肯定ということだ。すごくスムーズに片手でゴムをつけられたのは、練習の成果だったんだ……

「あー、呆れてるな?」
「そんなことないっ。感動してるっ。おかげで、すごくすごく気持ち良かったよっ」
「そっか」

 くすぐったそうに笑った彼が愛しくてたまらない。
 オレが、なんでしてくれないんだってイジイジとしていた間、彼はオレを満足させるために練習までしてくれてたんだ。嬉しい。嬉しすぎる。

「まあでも、まだまだこれからだ。まだまだ頑張る」

 彼がそう言いながら、首筋にキスをくれた。したばかりなのに、ズクリと体の中心が熱くなる。

「オレのライバルはお前だからな」
「なにそれ……んっ」

 ゆるゆるとまた扱きはじめられ、声が出てしまう。オレも手を伸ばし、そっと彼のものを掴む。

「女ども、こぞって、お前は上手だって言ってたぞ」
「……そんなことないのに」
「…………。あるかどうか、分かんないからさ……」

 彼は真面目な顔になり、ボソッと言った。

「あと4年たったら……お前やってみるか」
「? 何を?」

 4年? 何の話?

「あのー……お前、初体験、中1の夏だろ?」
「うん」
「オレは、高2の夏。だから4年」
「んんん???」

 意味が分からない。

「だから4年って?」
「だからー、4年後なら、オレとお前は同じになるだろ?」
「……?」

 経験値、という意味かな?

「うん。そう……だね?」
「だから……4年たったら、同じになるから、その頃までにはオレもお前と同じくらい上手くなってる予定だから」
「うん」
「だから、その時、比べてみようって話だよ」
「?? んんん?」
「だからー……」

 彼の顔がみるみる赤くなっていく。
 4年たったら、お前やってみるか……って言ったんだよな……。やってみる。やってみる。お前やってみるって……

「……え」

 やってみるって……、オレが、やるってこと?!

「ええええええっ」

 途端に彼の手の中にあるオレのモノが、熱を持ってぐんっと立ち上がってしまった。
 いや、そりゃ、オレも男だから、やりたい欲求がないと言えば嘘になるし、そういう妄想を今までしたことがないわけじゃないけどっっ

「あ、すっげーヤル気じゃん、お前……」
「だ、だって……っ」

 慌ててしまう。彼にそんな気があるなんて露とも思わなかったから……っ

「優真、嫌じゃないの? だって……」
「別に嫌じゃねえよ。っつーか、お前と侑奈がやってるとき、オレ、いっつもやられる妄想してたし」
「え?!」

 そ、そんなの初耳……っ ますます元気になってしまう。

「家でシコってる時は、やってるイメージなんだけどな」

 彼はニッと笑うと再び手に力を入れはじめた。

「まあ、とにかく4年後な。今だと勝ち目がないからヤダ」
「そんな、勝ち負けなんて……、あ、んんっ」

 グチャグチャと音を立てながら扱かれて、もうたまらない……

「桜井と渋谷さんも、両方してるって言ってたっていうからさ」
「ん………」
「オレたちも、そういうのいいかもって思って」
「うん……」

 目と目を合わせて、時々唇を合わせながら、お互いのものを高め合う。

 男同士だから、とか、背が高いから、とか、そういう見た目のことなんか取っ払って。
 今、ここにいる、彼を求めたい。彼に求められたい。嘘のない本能だけで。ずっと。ずっと……

「優真……好き。大好き」
「諒……」

 愛してるよ。

 彼は優しく言って、瞳にキスをしてくれた。


--


お読みくださりありがとうございました!
長々と失礼しました~。諒視点最終回でございました。
もうこの二人に関しては「お幸せに♥」って言葉しか出てきません。

勘の良い方は、お気づきだったかもしれません。この二人、はじめからリバになる予定でした(^-^)
きっと4年も待たずにリバになってるかと思われます。泉×諒が8割、諒×泉が2割、ってとこですかね。
あ、ちなみに、桜井先生(浩介)と渋谷さん(慶)は、浩介×慶固定です。諒を励ますためについた嘘が否定されないまま続いているだけです。浩介×慶固定ですが、襲い受け率高めです。

なんて、諒視点、思いっきり下ネタで終わってしまった~~っ。……まあいっか。
明後日、浩介視点で最終回、の予定です。どうぞよろしくお願いいたします!

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