【雪に纏わる怖い話】隣に寝ていたのが◯体だった…

春夏秋は登山者が多いけど、雪が多くて登り難い割に氷壁とかの派手さがなく、冬にはほとんど人のいない2000m弱の山によく行く。そこには無人小屋がある。小屋の中は、扉のない土間廊下続きの大小二間に分かれ、それぞれ二段の木張り床になっている。小屋の扉の目前は大部屋で部屋が見渡せ、左の小部屋のほうは覗き込まなきゃ見えない。これはある年、二泊三日の縦走に出かけた時のことだ。

二日目、途中雪で遊びすぎて小屋到着が遅くなってしまった。すでに20時過ぎで山の感覚では真夜中だ、万が一にも人がいて驚かせたらいけないので元気な声で「こんばんは、入ります」と声をかけ扉を開ける・・・と左の小部屋に人の気配。しかし返事はない、静かな寝息のようにも聞こえるし、もう寝てしまったのだろうとそのまま小部屋は覗かず大部屋の右隅を使い、静かに晩飯を食ってこちらも寝た。夜中に呻き声のようなイビキのようなのも聞こえたが、疲れていたので気にせず睡眠、朝、ちょっと寝坊して起きたら既に小部屋には気配なし。扉が開いたのにも気づかなかったがもう出発したか、あちらも朝起きたら人がいて驚いたかな、など思いながら朝食を食べて小屋を後にした。

深い雪の中を歩いてると途中で数人、警察と、ふもとの消防団らしき人たちが向かってくる。すれ違うときに、どなたか遭難ですか?と聞いたけど、逆にどちらからと聞かれ、おととい入ったルートを説明し○○小屋に泊まったと答える。警察の方は微妙な顔をしつつ、あーそうですか、いや大した事じゃないので、お気をつけて、と。あんまり公にできないことなのかなー、と思い詮索せず出発前に泊った宿に帰ると、女将さんが「あー、あんたは無事やったかー!よかったー!」という。何でも、自分と同じ日に、逆の方向から入山した二人連れの一人が小屋の近くで、理由は知らないが急死、仕方なくもう一人が小屋に遺体を置いて警察に連絡に戻ったそうだ。えーと、それはつまり・・・っていうか、じゃあ、あのイビキのような音はなんだったんだよ・・・

山を降りて地元戻ったらすぐに出張。3ヶ月+海外出張だったので、時間ができて調べたときにはニュース検索しても判らなかったんだよね。もともと遭難は多い山域なので数だけ見ても判らないし、そのあと自分が交通事故で大怪我して、まだちょっと登山はできないので、現地にも行けずで聞く機会を逸してるけど、知らない方がいいのかなぁとも考えたり・・・。微妙な気配を感じたら覗き込まないほうがいいことってあるかなぁと思いました。

>>
似たような話を聞いたことがあるよ。
その話では、仕切りのない山小屋で、先客は寝袋に入って横たわっていたので、声を掛けずに出来るだけ明かりもつけず、素早く食事して眠った。朝、まだ寝袋の中にいる先客に声をかけると「人を待っている」と答たので、じゃあお先に、と出発したら実はその人はもう…って話だった。これもやっぱり雪山の話で、山小屋に入ったのも夜だったみたい。

>>
それは亡くなった方の心の声が聞こえた・・・?実際、3000m級の山なんかでは気象条件が悪くて下ろせない遺体を冬季閉鎖中の山小屋に置くことはあるのよね。まさか、寒波でも来なきゃ舗装路には雪も殆どない登山口から数時間で上がれる小屋で、そんなことがあるとは思わなかったけど。

>>
ロマンの無い考え方すると、イビキやうめき声みたいのんは、死体の体内に残っていた空気やガスが漏れ出る音だったのかもね。でも、死体って「物体」なのに、気配というか存在感を発してるよね。そこに死体があるって知ってるなら、それも無理ないかもしれないけど、全く知らないでも

>>
宿の女将さんいわく、一日目夕方亡くなられ、一晩ご遺体と一緒に過ごし、連れの方が下山。登山口に止めた車の鍵は亡くなった人が持ったままだったので麓の町到着が夕方(この夜、自分がご遺体と同宿w)暗いうちは危ないということで夜が明けて降ろしにいらっしゃった、と。小屋はほぼ氷点下だけど、亡くなって一日ぐらいでそうなるもんなのかなあ。しかし朝はほんと、もういないなって思ったんだよね。まあ夜中は「沈黙の音がする」「暗闇の色が見える」くらい無人小屋って研ぎ澄まされるけど、朝の山小屋って一人でいても「静かなのに賑やか」って感じだからかなあ、自分鈍感だし。

メールアドレスが公開されることはありません。