兄に欲情しています2−1

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 ずっと兄の受験が終わるのを待っていた。終わったら絶対に夜這いしてやろうって思ってた。
 部屋を分けた後、兄と抜き合えるのは週末だけだった。しかも親が揃って出かけなければ、そのわずかなチャンスさえ貰えなかった。
 平日は親が居なくたってダメ。夜は親がいるからダメ。
 明かりを消した部屋の中、二段ベッドの上で兄のオナニーを聞きながら興奮していた日々が、部屋を分けた途端に一転してしまった。部屋が同じなら、また俺にエロいことされるの考えながらオナってるのって笑いながら、その妄想を実現してやれるのに。
 あの時部屋を分けなければ、自分たちの今の関係はないとわかっていても、もっと早くに行動を起こしていれば良かったと、悔やむ気持ちは日々大きくなっている。隣の部屋の姉に声が漏れ聞こえないようにと、声を上げてしまうのを我慢しながら、実の弟相手にちんこ弄られて喘ぎ善がる兄を想像するだけで堪らない気持ちになる。
 せめて二人で抜き合う時以外は抜かないでくれれば、週末もっと濃厚な時間を過ごせると思うのに、オナニーするの我慢してよと言っても無理の一言で終わりだった。ムラムラしっぱなしで勉強なんかしたくないって事らしい。
 あれもこれも、こっちの希望なんてちっとも受け入れてくれない。いっそオナニーできないようになればいいのに。おかげで男性用貞操帯だの射精管理だの、高校一年生男子には多分あまり縁がない単語ばかり、検索履歴に並んでいる。
 もちろん、そんなものを入手できるわけもなく、仮に手に入れたってそれを兄に装着できるわけもないのだけれど。
 相手は受験生で、受験を盾に取られると、こちらも強くは出られない。オナニーしなきゃ勉強に身が入らないなんて言われたら、諦めるしかなかった。
 だからずっと待っていたのだ。そしてやっと先日、兄は希望した大学の合格通知を手に入れた。
 その日から、昼間多めに昼寝して、夜は眠ったふりで隣の様子を伺う日々が続いている。もう寝るよの合図で壁をトントンと二回叩いた後、超古典的な手段で壁にコップを当ててみたりしながら、兄が寝るよと壁を叩くまでは起きていた。
 兄がオナってるタイミングで、部屋の中に乗り込んでやりたい。ムラムラしてるちょうどその時に、兄に触れたい。
 週末抜き合うのが嫌なわけじゃない。カーテンを閉め切って電気を消してたって相手の表情がわかる程度に明るいし、親が居ない安心感でか、感じ入った兄は可愛らしい声を惜しむことなく聞かせてくれる。
 でも少しずつ、反応が鈍ってきた気がするのだ。弟の手や口で抜かれる事に慣れて刺激が足りないのかも知れないし、オナり過ぎでムラムラするタイミングがずれてるのかも知れない。
 触れれば勃つし、扱けば喘ぐし、アンアン言いながら最近はお尻を振って誘うような真似までするくせに、なかなかイカなくなってしまった。こんな関係になってから暫くは、何度射精したってちょっと触れればまたすぐ硬くなって、もっとしてって言葉でも態度でもはっきり示してくれてたのに。今はイクまでに時間が掛かるせいか、一度イッただけで終わりになってしまう事が増えた。
 そんな兄相手に、自分ばっかり何度もして貰うのも気が引けて、結局自分も頻繁にオナニーを繰り返してしまうのだけど、その時のオカズは大概、まだ部屋を分ける前の兄だった。暗い部屋の中、声を殺してひっそりと、そのくせ時々こちらの名前を呼びながら、オナニーを繰り返していた頃の兄の姿だ。そんな兄のオナニーを手伝う妄想で抜いている。
 感じていることを隠すことなく、キモチガイイと喘ぎ甘えてくれる兄だって堪らなく可愛いのだけれど、弟に弄られる妄想でオナる兄をオカズにオナっていた日々が長かったせいか、そんな姿をまた見たいと思ってしまう。俺にどんなことされる妄想しながら気持ちよくなってるのって聞き出して、その通りに兄に触れてやりたいと思ってしまう。オナニーを続けていることを知っているから尚更だ。
 薄い壁のすぐ向こうで、ゴソゴソと動く気配を感じる。もしかしてと思いながら、いつも以上に息を潜めて隣の気配を窺う。壁にそっとコップを押し当てて、隣の音を拾おうと耳を澄ます。
「んっ……んんっ、はぁ」
 微かに喘ぐ声が聞こえた気がした。
「ぁ、ぁあっ」
 ああ、間違いない。今、この壁の向こう側で、兄がオナっている。しかもちゃんと、自分の名前を呼んでくれてもいるようだ。兄のオカズは、今も変わらず実の弟なのだ。
 オナニーを続けているのは知ってても、その内容までは知らなかったから、反応が鈍ったのは、もしかしてもう自分相手には満足してしまって、別の誰かを想像しながらオナる方が良くなってしまったのかもという不安はゼロではなかった。
 良かったと安堵しながら、ベッドを降りて静かに部屋を出た。もちろん、向かう先は隣の部屋だ。

続きました→

 
 
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