罰ゲーム後・先輩受18

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 動いてないと寝落ちしそうだから先に後始末をしたいと言う相手に、寝ちゃってもいいからまだ側に居てとねだる。
「体、気持ち悪くないんすか?」
 冷房は低めに設定してあるけれど、それでも汗はかいたし、さっぱりしたい気持ちもわからなくはない。でも、じゃあ一緒にシャワーに行こうかって言える程、こちらの体力と気力が残っていなかった。
「さすがにもーちょいぐったりしてたい。シャワー行く元気ないし、ざっと拭いてあとは明日で良いかなって。お前は? どーしてもシャワーしてから寝たい感じ?」
 どーしてもと言われたら、行っておいでと言うしかないのはわかっている。相手は夜更かしがあまり得意じゃないから、普段ならとっくに寝ている時間の今、寝落ちしそうの言葉に一切の嘘はなく、もう相当眠いはずだった。余韻が欲しいなんて言ってベッドに引き止めて、不快なまま寝落ちさせてしまうのは申し訳ない。
「ぐったりしてて良いっすよ。濡れタオル、あっためて来ますから」
「あれ? もしかして、後始末って、俺の?」
「余裕あったら、シャワーもして来たいすけど。でも取り敢えずは先輩の方すね」
 それを聞いて、思わずふふっと柔らかにこぼれた笑いは、幸福感からだった。
「お前はホント、どこまでも俺を甘やかすね」
「甘えたがりの恋人を出来る限り甘やかすのなんて、当たり前じゃないすか?」
「本気トーンでそれをさらっと口に出すところがもう、デロデロに甘やかされてる感じしかない」
 くふふとこぼれ出るまま笑い続ければ、もちろん狙ってやってますよと言いながら、相手もふふっと柔らかに笑う。
「で、ほんとにこのまま眠るんでも平気なんすね?」
 軽く頷けば、じゃあここで出来る範囲だけと言って、下に敷いたバスタオルを剥がしたり、下半身の酷い汚れを拭き取ってくれたりと、なんだかんだ甲斐甲斐しい。
 疲れた体を労るように世話を焼かれて、これは癖になりそうだと思う。このふわっとした幸福感に包まれ続ける感じがたまらない。
「抱かれた後でお前に甘やかされるの、なんか癖になりそ」
 ぽそりと零した呟きに、相手は嬉しそうに、癖になっていいっすよと笑う。
「お前ホント、俺を甘やかすの上手すぎ」
「まぁ必死に先回りして甘やかすのは、それなりに下心もあるからっすけどね」
「あ、これ、お前、必死に先回りしてやってんの?」
「必死っすよ。モテル男のノウハウ系とかも、あれこれざっくり読みましたし」
「マジでっ!?」
 とうとうぶはっと吹き出すほどに笑ってしまったけれど、肯定する相手は変わらず柔らかに笑ったままだった。
「笑っていいすよ。必死の努力は順調に報われてるっぽいんで、笑われても止めませんけど」
「そんな必死に努力しなくても、言えば叶えてやるかもよ? 俺もお前を甘やかしたいんだって、知ってるだろ? で、お前の下心って何?」
「言ったら甘やかされてくれなくなるかもなんで内緒っす」
「え、なにそれ怖い。隠されたら今後安心して甘えられなくなるかも。てわけで、はい言って」
 しまったという顔をされたけれど、もちろん逃してやる気なんかない。だって気になる。もう十分すぎるほど甘やかされているし、叶えられるものなら叶えてやりたい。
「先輩に、もっともっと、俺にメロメロになって欲しいんすよ。それだけっす」
「え……っと、そろそろちょっとまずくない? ってくらい、既にお前にメロメロしてるけど。それじゃ足りないって言ってる?」
「全然足りないす。というかっすね、先輩を手放したくないんすよ。先輩が、卒業した後も」
「ふぁっ!?」
 は? と声に出したはずが、慌てすぎたのか驚きすぎたのか妙な音になって漏れた。
「甘やかして、愛情注ぎまくったら、身近で都合よく触れ合える相手を新たに探すより、俺と付き合い続けるほうがいいって思ってもらえるかもって思ってて」
 年齢だけはどうしようもないので、卒業後の二年間をどうするか本当に悩んでてと言う相手は、本気で卒業後もこの関係を続けたいと思っているようだった。

続きました→

 
 
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