You're in my heart. | け?

け?

「こんなに馬鹿だと思わなかったからさ」

 

 

「ガタンッ」

 

小さな衝撃で目が覚めた。

文庫本が床に落ち、両耳のイヤフォンでロッド・スチュワートが『You're in my heart』を歌ってる。

にもかかわらず頭の中が、

 

「おしりをだしたこいっとうしょういいないいなにんげんていいな♪」

 

負けるなRod。

 

 

俺寝てたのか。

顔を上げるとギャレーの所に座ってるCAさんと目が合う。

 

「あのおっさん起きやがった」

 

今そー思っただろっ?!

このCAさん非常口脇に座った俺に、

 

「こちらの席にお座りのお客様には非常の際お手伝いをお願いしております」

 

はい。

 

「離陸前にシートポケットの説明書を「か・な・ら・ずっ」お読みください」

 

(子供か俺は? どーしてそこに力を入れる? 去年の9月1日に夏休みの宿題ぜーんぶぶっ飛ばして真っ黒日焼けニコニコ笑顔で登校して来た小学生か? え。俺そんな言うこと聞かなそう?)

 

やーだよ。

もしもの時は上の棚からCanon降ろして『お祭り状態』の機内を撮ってとっとと逃げます。

 

 

眼下は幕張。

遠くに夏霞みの晴海〜丸の内〜大手町の高層ビル。

デトロイトか? ハリウッド映画のオープニング?

さっきの「がたん。」は脚が出た衝撃だったのか。

小さな機の4列シート、反対側の窓へ目をやると、少し離れた空にANAの機体。

ふーん。ANAねぇ。JALばっかりだからねぇ。

 

え。

飛行機?

結構近いぞ。

同方向同高度同速度だぞ。

いいのかこれ?

「ごっちんー」とかしない?

 

そっちの窓側全員、

ANAに向かって中指立てろや。

 

 

うわー

連休中日、午後のこの時間でも駐車場待ちしてるんだ。

俺もう少し出るのやめよっかなー

明日の朝3時までは予約内だしなー

29時間停めて予約料金込みで4,900円。

見習え東京駅っ

 

 

九州某所から羽田 1時間35分。

羽田から俺ん家 1時間45分。

車で都内に遊び来んなっ

来てもいいけど、ちゃっちゃ走ってくれ。