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BEASTERS 6

前巻にて拐われたウサギのハルを無事救出した主人公レゴシ。
しかし助け出したのはいいけれども既に時は深夜。寮へ帰るための電車も終わっている。仕方なく二人は翌日まで時を過ごすためにホテルに泊まる。
そしてそこでレゴシは告白をする。といっても好きだという気持ちではなく一巻にてハルを捕食しようとしてしまったことだ。
が、ハルは自分を捕食しようとしたのがレゴシであることには薄々と気がついており、レゴシを許す。
お互いの気持が一つになったのだが、肉体的に結ばれるのかというとそうはうまくはいかない。
ここで作者は面白い概念を持ち出すのだ。
捕食者である肉食動物には捕食する側としての本能が存在する。それは肉を食べたいという気持ちだ。一方で非捕食者である草食動物にも非捕食者としての本能があるというのだ。それは食べられたいという気持ちである。
そんなバカなと思うのだが、二人が結ばれようとした時、ウサギのハルは自らレゴシの口の中に飛び込もうとする。

食べられたい。

逃げられない状況に陥った時に、生きていたいという意識が消え、食べられたいという意識に切り替わることで死の苦痛から逃れるというふうに考えれば、そういう世界なのだから不自然なことでもないのだが、これは生殖行動のメタファーでもあるのだろう。
ということで相変わらず気持ちと本能との間に苦しむ二人だが、少しずつ距離を近づけていく。
一方でもう一人の主人公ともいえるアカシカのルイはというとこちらも肉食動物との別な形での共存を結ぶ。
それによって今まで学園という中だけの物語だったことが学園の外にも広がっていくこととなる。




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