モルヒネは「なりすまし」で作用する

投稿者: | 2016年9月24日

 

前回、ニューロンの情報伝達をについて、ちょっと書きましたので、もう少し続けてみましょう。

武永隆の脳ブログ「コカインは回収口を塞いで異常をもたらす」2016/9/14

 

脳にはたくさんのニューロンという細胞があり、複雑なネットワークを組んで情報処理します。

神経伝達物質が送り手のニューロンから放出されそれが、受け手ニューロンの受容体にくっつくことで情報が伝達され、余った神経伝達物質はすぐさま送り手ニューロンに回収されます。

コカインは、その回収(再取り込み)の邪魔をして神経伝達物質である、ドーパミンをニューロンの接続部に漂わせ続けるのが問題だったのでした。

「回収」は漂わせない強力な仕組みの一つですが、別な少しマイルドな手段に「分解」があります。

今回は、その分解に関わるお話。

 

神経伝達は「鍵」と「鍵穴」で

ニューロンから放出された神経伝達物質は、受取るニューロンの細胞表面にある「受容体」という構造物にくっつく、と書きました。

でも、これ、適当にくっつくのではなくて、ピタッとはまります。

神経伝達物質(分子)の形が大事で、伝達物質=鍵、受容体=鍵穴 に例えられます。

ここで、トリックが起きます。

体内で作られた分子は大丈夫なのですが、体外で作られた、そっくりさんが問題。

分子の形が少し違っていても、なりすまして鍵として作用してしまうのです。

乱用薬物には、このなりすましを使って作用するものがあります。

中毒を起こす乱用薬物はよくないですが、実は、似たものが脳の中で作られています。

それは、脳内麻薬。

エンドルフィンやエンケファリンです。

これらの神経伝達物質は、放出されても、すぐに分解されるのでちょっとの間だけ効いて、問題はありません。

 

なりすましで作用するモルヒネ

ところが、エンドルフィンなどに似ていて、体外で生成されたそっくりさんの薬物で、なかなか分解されないものがあります。

それが、モルヒネ。

モルヒネ(Wikipedia)

分子構造がエンドルフィンなどと似ているため、それら専用の受容体にくっついてしまい、過度に鎮痛や陶酔感をもたらしてしまいます。

体内で作られた分子と異なってり、分解が遅く、シナプスの接合部に長時間に渡って漂います。

 

この性質を使って、がんなどの慢性的な痛みを緩和するためにも使われています。

 

今回のポイントは2つ。

1)神経伝達物質は、余ったとき、「回収」の他に「分解」されるものもある。

2)神経伝達物質に似た構造で作用する薬物があり、なかなか分解されない。例えば、モルヒネ。

ということでした。

 

脳科学でビジネスライフを快適に!

では、また!

 

(了)

 

||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

 

武永隆の脳ブログ 「脳科学と心理学の違い」

武永隆の脳ブログ 「類人猿分類でコミュニケーションをステップアップ」

武永隆の脳ブログ 「対人関係改善に、岡田斗司夫の4タイプ分類」

武永隆の脳ブログ 「脳と腰痛の意外な関係」

武永隆の脳ブログ 「フェデラーに学ぶ雰囲気作り」

武永隆の脳ブログ 「イルカは音を「見て」いる」

武永隆の脳ブログ 「計画倒れは自分と向き合うことで解決!」

武永隆の脳ブログ 「お肉とウォーキングで、すっきり気分!」

武永隆の脳ブログ 「笑顔は信頼の証しでもある」

武永隆の脳ブログ 「危機的状況はスローモーション?」

 

無料メルマガ 武永隆の【1分脳コラム】
ご登録はこちら ↓↓↓↓↓
https://i-magazine.jp/bm/p/f/tf.php?id=businesscom

 

ブログランキングに参加しています!
にほんブログ村 科学ブログ 脳科学へ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村

脳科学 ブログランキングへ