■まずは応援歌
まずは応援歌を書いてみましょう。どちらかと言えば書き易い方でしょうか。では誰に対しての応援なのか?
応援歌を内別すれば
1) 自分自身(自らのグループ、ぼく、わたし、精神的内面)への応援歌
2) ファン(みんな、あなた、恋愛の対象としてのあなた)への応援歌
3) 世の中(世間、日本、世界、平和、景気)への応援歌
きれいに対一人称、対二人称、対三人称に分かれますが、実際には上記が微妙にミックスされて、結果「どのようにでも受け止められる」様になっている場合が多いです。
日本人は昔から応援歌が好きですから、どの時代にもその時代を象徴する大ヒット応援歌があります。それをここに書き始めると長くなるのでまた別の機会にしたく思います。
私自身の応援歌の数は他の作詞家さんに比べると少ない方です。加護亜依さんがまだ所属していた頃のGirls Beat!!の歌詞コンペに
『前向きな歌なんていらない』(音源化はならず) を書いたくらいですから…。
■お手本神曲
●PiiiiiiiN『開園DASH』
【ここにPVを挿入 2015年3月29日(日) 3ピース青春祭 '15 Spring ~サクラサク センニンザクラ~ の動画がいいです】
作詞は原あやのさんです。
■テイスト
このグループにはロックテストの前向きな歌詞が多くこの曲も多分に漏れない作りとなっています。可愛いもさる事ながら、兎に角「格好良さ」が売りです。ブレない指針があるなら歌詞も書き易い事でしょう。
私が思うに、次世代のメタルやロックの歌詞はまだ不熟なイメージがあります。
未だに「闇を切り裂け 鎖をちぎれ」系の歌詞を歌っているグループが人気あったりするのですから。チャンスはこの辺にもあるのではないでしょうか。
■応援に曖昧さは要らない
サビの「走り出せ!」→「今、全力 輝く未来へ」のワンフレーズに全ての無垢な思いが込められています。五感全てが同じ方向(未来)を向いて統一されているかの様、曖昧な表現が一切ない実にサビらしいサビです。
Aメロ、Bメロ、サビとややメリハリ緩いメロディーラインなので、歌詞がよく入って来ます。「伝えたい事がある!」との意思表示が潔いです。その潔さが格好良さにも繋がります。
■主語が
ZARDの『負けないで』が爆発的にヒットし、今もなお歌い継がれているのは、あのひたむきで前向きな歌詞があったからだと思います。『負けないで』の主語は「あなた」です。
『開園DASH』の主語は「私たち」です。イントロのラップ「踏み出した一歩 ~ We’are PiiiiiiiN 乗り込んで行くぞ」は歌(アイドル)の世界に飛び込んで行く彼女たちの決意表明です。
「手と手を重ね合わせ」、「この歌で届けるよ」、「夢を叶えるから」のフレーズはやや既視感のあるものばかりです。ただし、応援歌であるならばある程度、描写の限界内に言葉が収まらないと駄目(応援の状況が受け手から外れてしまう恐れがある)なのでこれは許容範囲なのでしょう。
人は頑張る人、対象を自然と応援したくなるので、この歌詞はそこに焦点を絞って書かれたのではないでしょうか。ロック調にはロック調に添う応援があります。
最後に、とても力強く勇気溢れるこの曲、結果的なヒットの有無は拡散量の違いだったかも知れません。