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脳卒中回復、リハビリ効果高める化合物特定

2018-04-22 10:42:27 | 
脳卒中によって手足などにマヒが生じた患者のリハビリ効果を高める新薬につながる化合物を、横浜市立大学と製薬企業の富山化学工業のチームが、動物実験で突き止めたと発表しました。

脳卒中は脳の血管が破れたりつまったりして、手足にマヒが生じたり、話せなくなったりします。国内で年間30万人が発症しますが、リハビリ効果を上げる薬はありませんでした。

研究チームは、アルツハイマー型認知症治療薬として同社が開発中の化合物「エドネルピク」という薬に着目しました。これはT-817MAというコード番号で開発されている薬で、強い神経細胞死抑制作用を持つ化合物です。

アルツハイマー型認知症の原因と考えられるアミロイドβタンパクおよびリン酸化タウタンパク質蓄積による神経障害モデルにおいて、神経細胞障害を抑制し、神経突起の進展を促進する作用も有しています。そのため認知症の進行そのものを抑制できる薬剤として期待されているものです。

研究チームの実験では、脳の一部を壊してマヒさせたマウスに、1~2日後から化合物を飲ませ始め、脚で餌をとる訓練を続けた結果、損傷から約50日間で損傷前と同じ動きができるようになりました。

一方、化合物の代わりに水を飲ませたマウスや、化合物を与えても訓練させなかったマウスは回復しませんでした。つまりこの化合物は投与することによって神経細胞を回復させるよりも、訓練の効果を高める働きがあるようです。

また、脳の一部を壊して半身不随となったカニクイザルに、損傷直後から化合物を注射したところ、約30日の訓練で小さな筒からエサを指でつまんで取る細かい作業ができるまで回復したようです。

研究チームによると、リハビリによる刺激を受けると、脳内にあるタンパク質が働いて、脳の神経回路などが変化します。今回の化合物は、このタンパク質の働きを促し、損傷した部分の周りに新たに神経回路ができるなどして、脳機能が回復した可能性があるとしています。

この開発については、リハビリだけでは回復しない患者を対象に治験を実施したい意向のようです。富山化学によると、アルツハイマー病の治療薬として行われた臨床試験では、今のところ重い副作用は出ていないようです。

この臨床試験の結果がどうなったかわかりませんが、こういった認知症の治療薬として開発中の薬剤を、新しい用途を見つけ出し面白い結果を出すというのは、薬剤の世界でも珍しいケースといえます。この化合物の安全性試験などは終了しているはずですので、早い開発を期待しています。


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