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乾燥に強くなるペプチドを発見

2018-04-29 10:45:17 | 自然
理化学研究所と東京大学、徳島大学の研究グループが、乾燥状態に置かれても簡単には枯れない「乾燥ストレス耐性」を高める植物ペプチドを発見したと発表しました。

このペプチドが根と葉の間で情報伝達の役割をして、乾燥ストレス耐性を高めているようです。地球温暖化により干ばつや乾燥地域が増えると予想されていますが、研究グループはこの研究成果が乾燥に強い農作物の栽培に役立つ可能性があると期待しています。

この記事は最近見たものですが、この研究については3月初めにあった財団の贈呈式のおり、徳島大学の先生が発表されておりいろいろと話をしました。やはりペプチドというのは分子サイズにもよるようですが、かなり単離同定が難しい物質のようです。

ペプチドとは、2つ以上のアミノ酸がペプチド結合によってできた化合物で、動物植物を含む生物体内でさまざまな生理活性を持っています。研究グループは、アブラナ科の一年草で全ゲノムが解読されているためにモデル植物になっているシロイヌナズナ由来の培養細胞を作製しました。

乾燥ストレスを模したストレスを与えて分析したところ、培養液に「CLE25ペプチド」と呼ばれる植物ペプチドが放出されることが判明しました。

さらに人工的に合成したCLE25ペプチドをシロイヌナズナの根に吸収させたところ、このペプチドは葉に移動して「アブシジン酸(ABA)」と呼ばれる植物の乾燥ストレス耐性を高める働きをする植物ホルモンを歯に蓄積させていることが分かりました。

ABAは乾燥ストレスを感じた植物の葉で合成され、葉の気孔の閉鎖を促して植物体内から水分が失われるのを防いでいます。このABAが葉に蓄積したのは、このペプチドがABAの合成に主要な役割を果たす酵素の遺伝子発現を上昇させたためと解析しています。

研究グループは、次にゲノム編集技術を使ってこのペプチドができないようにしたシロイヌナズナを作成して乾燥ストレス耐性を調べたところ、葉にABAが蓄積せず、乾燥状態に弱いことが分かりました。

土壌中の水分が減って植物が乾燥ストレスを根で感じたのちにどのようにABA合成が促進するか、その詳しいメカニズムは未解明でした。今回乾燥ストレスによって根の細胞がこのペプチドを作り、それを導管に放出し、これが葉に移動してペプチド受容体に結合してそのシグナルがABA合成を開始させる合図になっていることが分かりました。

こういった植物においても、ペプチド類がヒトでのサイトカインのように、情報伝達物質として利用されているというのはなかなか面白い知見と言えます。


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