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万病のもと「慢性炎症」

2018-05-08 10:45:44 | 健康・医療
生活習慣病やガンを含む加齢関連疾患に共通するメカニズムとして「慢性炎症」が注目されています。

炎症は本来体を守るためのメカニズムですが、そのコントロールがうまくいかなくなると組織の破壊、そして臓器の機能低下や発ガンにつながることが分かってきました。

炎症というのは、医学的には内的・外敵ストレスに対する生体防御反応のことです。炎症が起こるということは、正常に免疫機能が働いていることを意味します。つまり本質的には、炎症というのはストレスに対する正常な保護的な適応的な反応といえます。

この炎症は、その経過から「急性炎症」と「慢性炎症」に分けられます。急性炎症は、細菌やウイルスへの感染や外傷などにより誘導され、典型的な症状として発赤、腫脹(腫れ)、発熱(熱感)、頭痛が現れます。

一方の慢性炎症は、急性のような症状を示さないものが多く、くすぶるように炎症が慢性化している状態を指します。ヒトの体は組織の異常(ウイルス感染やガン化細胞))に対して、さまざまな反応を起こします。

その一つに、異常部位から炎症性サイトカインと呼ばれる炎症シグナルが出て、免疫細胞をその部位に集める反応があります。集まった免疫細胞は、活性酸素を用いて異物を攻撃します。その後は繊維芽細胞と呼ばれる細胞が集まって、欠損した組織を修復するために、コラーゲンなどの繊維を分泌し壊れた部分を埋めていきます。これを足場として毛細血管や元の細胞が再生してくるのです。

この免疫細胞をコントロールするメカニズムに異常が起きると、慢性炎症が発生します。急性・慢性を問わず、炎症が起きた場所では組織修復が起こりますが、慢性炎症では炎症のブレーキが利かず、免疫細胞が活性酸素を出し続けてしまうのです。

本来活性酸素は異物を除去するために必要なものですが、これが出続けると周囲の組織を破壊してしまいます。さらに組織障害と同時に前述の修復サイクルが続くことによって、組織の線維化(コラーゲンの沈着)や細胞増殖が異常に進行し、最終的には不可逆的な臓器機能障害がもたらされてしまうという結果に至ってしまうのです。

これを組織リモデリングと呼び、慢性炎症が様々な病気を引き起こす元凶の一つと考えられています。また再生される細胞も、活性酸素によりDNAに異常が起こりやすくなり、ガン化する原因の一つとなっています。

慢性炎症の経過は非常に長く、急性炎症のように症状がないだけに病気になるまで気付かないことも多いようで、まさに「くすぶる」という表現がぴったりな病態です。この原因や予防もある程度わかっていますので、長くなりましたので次に続けることにします。

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