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日本人の腸内環境

2018-06-14 10:39:11 | 健康・医療
様々な食事の消化や吸収の役割を担うのが消化管ですが、その中に存在する「腸内細菌」の役割の重要性が注目されています。

近年の進歩により、腸内細菌の機能の解明が飛躍的に進み、各国の人たちの腸内細菌を網羅的に解析する試験も行われ、日本人の長寿との関連性も示唆されています。

消化管は口から肛門までの食べ物の通り道で、食道から胃、十二指腸、小腸、大腸と消化管がつながっており、全長は9メートルにもなるようです。食べ物はこの管を24~72時間かけて通り抜け、小腸で栄養が吸収された後最後は便になります。

この消化管は身体の中を貫いている「1本の管」であり、口と肛門も外につながっているため、消化管の中はいわば体の外といえる構造となっています。消化管には食べ物と共に病原菌や有害物が絶えず入って来るため、こういった外からの刺激や細菌の感染を防ぐ仕組みを持っており、腸は最大の免疫器官とよばれるほど免疫機能が発達しています。

また腸壁の寿命は短く、わずか1日ほどで剥がれ落ち、新しい細胞に入れ替わっています。この細胞は有害物を排除しつつ、必要な栄養素を吸収するという重要な役割を担っているために常にフレッシュな細胞でなければならないようです。

食べ物の栄養素と水分の約8割は小腸で吸収され。残りかすは大腸に送られます。大腸はそれを一時的に蓄え、余分な水分を吸収してほど良い硬さの便を作ります。便は消化しきれなかった残りかすでできているというイメージがありますが、約60%は水分で、20~25%は剥がれ落ちた腸壁細胞、10~15%が腸内細菌の死がいなどで、食物の残りかすはわずか5%にすぎません。

消化管には約1000種類、数百兆もの細菌叢が存在するとされています。特に大腸には多くの数や種類の細菌が存在し、小腸で消化吸収されなかった残りかすを利用しています。

この分解の過程で、多くの物質が作り出され、生体に必要なビタミンなど有用物質をつくったり、感染防御や免疫になどにもかかわるもののいます。これらの代謝物質が体内に吸収され、ヒトの健康に影響を与えていることが明らかになってきました。

さらに腸内細菌叢は肥満や糖尿病、炎症性腸疾患などと関連することも明らかになっています。

現在メタゲノム解析という、便から腸内細菌のDNAをすべて取り出し、網羅的に解析することが行われています。その結果日本人の腸内細菌叢は、代謝機能などの生体に有益な機能を持つものが多く含まれていることが分かりました。

このことが、日本人の平均寿命の長さや肥満率の低さに関連するのではないかと示唆されています。しかし食事情報と腸内細菌叢のデータの関係は一致せず、食事以外の要因も大きいようです。

今後腸内細菌叢の研究は進んでいくと思われますが、消化管は単なる消化吸収のための器官以上の働きをしているといえます。


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