「どや!!」という強烈なファーストインプレッションを残す(のみの?)
アブシンベル神殿を満喫し、
再びアスワン市内までの怒涛の300キロ移動を終え、
ヨロヨロになりながら、やっと街に戻ってきました。

…その矢先、例の中国人カップルが
「ヌビア人の村を見たい! 今から行かないか?」
と言い出した(笑)。

確かにヌビアンビレッジは有名な観光名所。
肥沃なナイル川に浮かぶ島にあります。
しかし、ドナドナワゴンに詰め込まれての往復600キロの移動を終えたすぐ後に、
ナイル川クルーズとは
かなりタフガイでないか?

という一瞬の迷いを振り切り、
四人ですぐにまた船着き場のヌビア人商人のところへ向かい、

値段交渉アゲイン(笑)!!


前回のブログで値段交渉ノウハウは十分書いたので割愛しますが、
今回も壮絶なバトルがあったことだけ謹んで申し上げておきます(笑)。

とにかく、船に乗り込み、第一目的のヌビアンビレッジと、
いくつかの名所に連れていってもらうことに。

ナイル川クルーズ


しかし、船が岸を離れた後、船頭が突如
「ヌビアンヴィレッジは遠くて時間がかかるから近い島だけ案内する」
と言い出した!!

また、出た!!

おーい、話が違うやんけ!!

それも、岸を離れてからそんな話を切り出すのは、後出しじゃんけんより始末が悪い!
全員で抗議したけれど、怠惰な船頭は意志を変えず、勝手に違う方向へと船を進めていきます。

しかし、タイム イズ マネー。
ひとまず時間がもったいないので、着いた島を散策することに。

そこはキッチーナ島の植物園(笑)。

偶然の産物で立ち寄った植物園

キッチーナ植物園。光パワー凄い


気味の悪い植物とキス

そんなにエジプトで植物が見たいわけではない、と思ったけどやむなし(-_-;)
まぁまぁごく普通の植物園でありますが、それより凄いのは子供たちの飽くなき好奇心。

私たち外国人を見ると、瞬時に黒山の人だかりになってしまいます!

まるでハリウッドスターの如し。

「一緒に写真とってください」
「うちのお母さんともお願いします」
「次は弟と(一緒に一枚で収めたらどうなんだ?)」

…と、写真撮影会に終始して、まったく植物を見ること出来ず。

子供たちに捕まるの図


次に降り立った島は一応ヌビアンヴィレッジらしいのですが、
現地民がそのとき誰もおらず、地元の人と温かい交流は望めなさそうだったので
2分ですかさず船に戻り(島の入り口ではバフシーシ待ちの親父が仁王立ちしていたし…)、

結局、子供たちと写真を撮影した思い出と、ナイル川の美しい夕焼けの風景だけを
胸にナイル川プチクルーズは終了(笑)。

美しきナイル河の風景

景色は本当に素晴らしい

夕暮れのナイル川


そんなこんなの後、一つのチケット問題が勃発。
私たち夫婦は翌日にルクソールへ列車で移動しようとざっくり計画していたのですが、
例の中国人カップルがアスワンールクソール間の二等座席切符をすでに持っていることを知りました。

はい、その話の何が問題かと?

実は、外国人は当日の列車のチケットしか購入出来ない、
とまことしやかな噂が流れていたのです。
すなわち、前売りの列車チケットが購入出来ないと…。

「えー! どうやって明日の列車の切符を購入したの?」

と尋ねると、

「駅で…」(寡黙なカップルのため)

と(-_-;)

ごく普通に前売り切符を購入出来るならそれに越したことはない!

だって、ここはエジプト!!

巨体のアラブ女性や自分よりでかい荷物を何個も担いで
どんどん列車に乗り込んでくる親父たちは目に見えています。

っつうことは、座席の確保には、前売り切符を購入するに限る!

よし、善は急げ! とばかりに、
中国人の友人と別れ、急いでアスワン駅に向かいました。

弱る足腰を奮い立たせて、いざチケット争奪戦へ!!

が、アスワン駅に着くと、対面式の切符売り場には長蛇の列が!

腹を減らせて米の配給を待っている庶民の如し。

仕方なく適当な窓口に並び、待って、待って、待ち続け…。

やっと順番が来ました。

「あの~、
外国人の友人がここで明日のルクソール行きの列車切符を購入したので、
私たちも買いたいんだけど!」

と尋ねると、

「外国人は当日、列車内で買ってください。そういう決まりです」と(-_-;)

「でも、他の外国人たちが買っていますよ!! どうやって手に入れたんですか?」

「知りません」

「手のひらから自然発生したわけでもあるまいし。とにかく明日のチケットを売ってくれ!!」

「明日、列車の中で買ってください」

…と永遠に不毛な会話が続き、もうあかんと思い、外国人専用窓口というところで再チャレンジ。

結果は…
同じでした(・・;)

未だに理由は不明ですが、私たちは結局翌日の列車のチケットを購入出来なかったのです。
でも、列車に乗り込み、車内で切符を買えばよいだけの話。

悲観するほどのことはない! 

そう、旅とは予測不能のアクシデントを楽しむのが醍醐味! 

ケツの穴の小さいことをジトジト思い悩んでいても始まらない!

むしろ、アクシデントウェルカムなのです(笑)。

はい、そして翌日。

中国人カップルも予約した早朝7時のルクソール行き列車(約3時間)を狙い、
早々にホームでスタンバイ。

問題の列車が来ました

むちゃくちゃ混雑のホーム

彼らはすでに座席指定されているので彼らが座った座席の前2席に(勝手に)座り込みました。

しかし、どんどん後から後から乗客が入ってくる(・・;)

予想通り…。

「ここは私たちの席よ!」

「はい、すみません」

すごすごと荷物を背負い、座席を移動します。

「ここは俺たちの席だ。ほら、この番号見てくれよ」


「見なくてもそうでしょう。はい、移動します」

こんな繰り返しに消耗し始めた頃、やっと車掌が車内に来ました。

「すいません!! 二名分の二等席を買います!!」

車掌から買った2等席二枚分は前売りより少し高額だったけれど、
これで席が確保されたと信じていました…。

何か汚い字で番号も書いてあるし、きっと、これが座席番号なのね。

…、と信じていました。

しかし、そいつは大きな誤り。
要するに我々が購入したのは運賃であり、座席の指定どころか、保障なし(笑)。
空いている席があれば座ってもよろしい、くらいの話だたのです(-_-;)


で、どうなったか。

その日は金曜日の週末。エジプト人たちの帰省ラッシュなのか、
むちゃくちゃに混雑し、空席なぞありゃしない。

さらに行商の親父さんたちは自分よりデカい荷物を2つも3つも背負っているため(&本人も肥満気味)、
人間の数よりも10倍増の混雑です(当社比)。

仕方なく、私たちは座席を諦め、
蛇腹(列車の連結部分)に行き、そこに居を構えることに。
考えようでは、トイレもそばだし、壊れた窓ガラスから風はびゅーびゅー入るし、

すべてよし! 三方よし!

チケットはあるが、
座席はないという不可思議な事態を受け入れ、
執着や常識を手放せば、
いいことばかりが見えてくる(笑)。

蛇腹部分には当然エジプト人しかおらず、
ある種のアットホームなたまり場と化していました。

車掌が来ると、突然いなくなる乗客もたくさんいたので、
恐らく、無賃乗車の輩もウヨウヨいたと思われます。

しかし、皆、すご~くよい人たちで、一緒に車座になり、
心が一つになり(笑)、まるで昔からの家族のようです。

結果、蛇腹に座っての3時間は最高でした!!

素敵なエジプトの方

蛇腹仲間と大盛り上がり!

子供も出てきました


現地の人たちと友達になり、
言葉の壁があってもハートで通じ合い、
笑い合い、人生の中で同じ時間を共有する。

これに優る旅の醍醐味を私は知りません。

いやぁ~、雨降って地固まる。

むしろ、蛇腹に座り込んでの移動でよかった!


自由にホームにも降りれる


追記ですが、中国人カップルの男性の方(ミャンミャン)が列車の中で突如血まみれに…。
どうやらあまりに揺れが激しいためか、転倒してしまい、指をザックリと思い切り切ってしまったらしい。

で、私の旦那さんが日本から持ってきた包帯やらバンドエイドやらを上げて手当してあげたのです。

気の毒なミャンミャンは顔面蒼白、ただでさえ腺病質な風貌がより細く蒼くなってしまいました(-_-;)

そんな二人と記念写真を撮る旦那さんもどうかと思いますが、ペアルックで可愛らしい二人にご注目。

けがをして意気消沈の彼


(注)その後、ルクソールでミャンミャンも復活し、元気に旅を続けていたのでご安心ください。

さ~、いよいよ、次は、古代エジプトへの扉を開く天王山、ルクソールに到着!
この場所は遺跡の宝庫。一ヶ月いてもよいくらいに色々な名所があります。
私の大好きなハトホル神殿も登場しま~す。