ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその209-NME C81

2016年02月12日 | パンク&ニューウエイヴ
ニューウエイヴ華やかなりし頃の貴重な音源。

1980年代初期、イギリスを中心に音楽界に革命が起こった。
「ニューウエヴ」である。
その影響は全世界に広まり、1980年代中期にその幕を下ろすまで、あまたのアーティストをこの世に送り出した。
その中心となったのが、イギリスのインディーズレーベル「ラフ・トレード」である。
ラフ・トレードとは、イギリス人のジェフ・トラビスが1978年に創設したレーベルで、有名どころでは「ザ・スミス」などが在籍した。
彼がラフ・トレードを創設したときは、イギリスでパンクムーヴメントが起こり始めた時代で、初期のラフ・トレードにはパンクバンドも在籍していた。
その後、ニューウエイヴムーヴメントが起こり、弱小だったアーティスト達は、大手レーベルと契約できなかったため、自然にラフ・トレードに集まるようになった。
今回紹介する物は、通称「NME C:81」と呼ばれる、ラフ・トレードが1981年にリリースした「ヴァリアスカセット」である。
NMEとは、イギリスの週間音楽雑誌「ニュー・ミュージカル・エクスプレス」の略で、その影響はイギリスのみに留まらず、全世界に及んでいる。
このカセットは、1981年当時、NMEが編纂し、ラフ・トレードからリリースされたものだ。
主だったアーティストを紹介しよう。

スクリティ・ポリッティ、ペル・ウブ、オレンジジュース、キャバレー・ヴォルテール、バズ・コックス、ロバート・ワイアット等々。

後にメジャーデビューする、ニューカマーから、ベテランのロバート・ワイアットまで幅広く揃えた選曲である。
中でも「ヤング・マーブル・ジャイアンツ」解散後のメンバーが結成した「ザ・ジスト」の「Greener Grass」は、このカセットの中の白眉と言っていいだろう。
どのアーティストの楽曲も、ソリッドでシンプル、実に素晴らしい仕上がりの楽曲ばかりである。
以前このブログで「ビートルズ=ニューウエイヴ?」と言う記事を投稿したが、やはりこのカセットを改めて聴くと、その楽曲のシンプルさ、メロディの良さは初期のビートルズを彷彿させる。
ビートルズが登場したとき「ブリテッシュインヴェンション」ともてはやされ、彼らに影響を受けたアーティストが続々登場した。
このブリティッシュインヴェンションが生み出したアーティスト達は、主にメインストリームで活躍し、ヒットチャートを賑わせたが、ニューウエイヴのアーティスト達は、カウンターカルチャーとして当時の音楽界を賑わせた。
私は他にもラフ・トレードのヴァリアスレコードを何枚か持っている。そのアルバムに収められた楽曲もソリッドでシンプルな物ばかりだ。
しかし、時代の流れとともに音楽界は変化をする。
前述したとおり、1980年代も中期を迎えると、音楽に様々な「ジャンル分け」が行なわれるようになり、自分たちの音楽性よりも、ジャンルに影響されれた楽曲を制作する傾向が現れ、アーティスト達の「個性」が徐々に失われていった。
ニューウエイヴ発生前夜、1970年代の音楽は混沌とし、方向性を見失っていた。
そこに登場したニューウエイヴは、古くからのアーティストにも影響を与えた。あの「ポール・マッカートニー」や、先日逝去した「デヴット・ボウイ」でさえ、ニューウエイヴに影響されたアルバムをリリースしている。
しかし「ジャンル」を重んじた楽曲制作、そのジャンルに影響されたアーティスト達の作品がリリースされることにより、ニューウエイヴの良さは姿を消していった。
私が「ワールド・ミュージック」に熱中する前、夢中になって聴いていたのが、初期のニューウエイヴのアーティスト達である。
もしこのカセットを、中古レコード市場で見つけたら是非購入していただきたい。
初期のニューウエイヴの良いところばかりを聴かせてくれる、貴重な一品である。


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