癌と共に生きる　手術→放射線治療→化学治療

母が母らしくない体臭を放つようになったのは
母の病気（肺がん）が発覚した年か、
その前の年だったと記憶している。
正しくは、気がついた時・・・だが。

母のその体臭は、上手く言い表せない。
加齢臭のキツイ父からも感じなかった。
母だけがその臭いを放っていた。
口臭でもなかった。

物凄く臭い訳でもなく、ただ、母らしくない匂いに
少々の戸惑いを感じたことは覚えている。

そのことについては、それ以上でもなく
それ以下でもなく、そういうこととして記憶に
とどめてあった。
何がどうというわけでもなく・・・。

今日、会社に出入りしている清掃業者さんの一人が、
その体臭を放っていた。
母のそれよりもきつかったが、
匂いの種類は同じだった。

その人は男性で、御年は・・・65前後・・・
だろうか・・・定年引退後のパートかアルバイト
といった感じだと思う。

瞬間的に感じたこと・・・
この人肺がんかも・・・だった。
なんの根拠もないし、そんな話聞いたことも無い。
なんでそういう発想になったかもわからない。

ただ、母と同じ体臭だということと、
母が肺がんだったということがリンクしたのだろう。

その、母と同じ体臭を放っていた方が、
女性ではなく、男性であったことにも違和感を感じた。

気になっていた母の体臭の記憶が
一気に蘇った瞬間だった。

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