癌と共に生きる　手術→放射線治療→化学治療

今日も病院へ行った。

父の顔を見に・・・顔を見せに・・・

父は起きていた。

丁度、血中の酸素濃度を測定してもらっていた。

テレビカードの残量をチェック・・・まだ度数はある。

父はテレビのリモコンさえもコントロールできない。

回復の兆しの無い衰弱と肺炎。

父は私の顔を見つめ・・・泣いた。

表情が泣いている。

声は出ない、でも泣いていた。

涙はうっすらと滲んでいた。

悲しい・・・悔しい・・・それとも惨めだから・・・

父が何を思い、何に対して涙しているのか・・・。

父の泣き顔。

いろんな想いの詰まった父の泣き顔。

何を言えばいいのかわからないまま・・・

時間だけが経過していた。

気づいたら、父はスヤスヤと眠りについていた。

テレビをつけて、イヤホンを片耳に装着してあげて十数分後の事だった。

父の泣き顔が、寝顔に変わったことで

何だかホッとした。

その直後、私はそっと病室を後にした。


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