セントバーナードのキングスウッヅ犬舎雑感

犬種の正しいタイプを求めて46年
世界に通用するセントバーナードの作出と啓蒙

立姿、四肢そして写真の撮り方

2016年10月02日 11時40分47秒 | 繁殖の手引き

北海道のドックショーも今年は、すべて終了し我が家のエースとして頑張ってくれたパウルも今シーズンは、グループ戦に一度も勝てずに終わり、彼のショーキャンペインも今年を最後に終了した。

今年の彼の成績の反省点は、いくつかあるが「敗軍の将、兵を語らず。」という故事もあるので別の機会にお話ししたいと思う。
今年は、私の身体的理由から自分で犬をひけなかったので知人の方にお願いしたがセントバーナードをハンドリングするのは、初めての方なので出陳前の朝、簡単に立姿の姿勢と走りのスピードを理解してもらった。

今日の主題の一般論の話に入ろう。
この2~3年初めてセントバーナードを飼育される方が増えてきた様なのと永年飼育されておられる
愛好家でも自分の愛犬をしっかり美しく立ち姿を見せることができない人が多い。
人間だって記念写真や、公式な写真を撮る時などピシッと着飾り入念なお化粧をして真面目な顔をしたり、笑みを浮かべて少しでもよく写るように写真を撮っている。
なのに、愛犬を家族の一員として飼育しているとご自慢の愛犬の写真を撮る時には、(スナップの写真等は、ここでは、触れない。)不細工な、愛犬の持って生まれた骨格構成上の美しい良い所を見せつけることのない
写真が多い。

それは、セントバーナード犬種の「立姿」というものを理解していないからに他ならない。
下の図は、JKCの標準書セントバーナード標準の項に描かれている犬種図である。と言うことは、セントバーナードの立姿は、こうですよとも言っているのである。

更にAKCの犬種標準書を図解説明してある解説書がSaint Bernard Club of America(アメリカセントバーナードクラブ)から出版されておりそれをもここに掲載するので本犬種の立姿とは、こういうものだと理解をしていただきたい。ここに示したのは、本犬種の外見上の各部分の名称を理解することをも目的に描写されているのでこれからの日本セントバーナード界を引っ張て行こうと意気軒昂な方は、日本の犬界も国際化してしていきつつあるのでこの程度の犬用語(英語、日本語を問わず)ぐらいは、学習してほしい。愛玩犬、ペットとして飼育される愛好家は、別としてショー愛好家や真摯な繁殖者と自称するのであるならば、なおさらである。

また、「うちの犬は、可愛い可愛いで家族の一員として飼っているのでショーに出すわけでもないし必要ない」
と言われる方もいるだろう。

では、逆に質問するが家族の一員だとその溺愛ぶりを吹聴されてる愛犬家の方は、自分の子供や孫には、着飾って写真を撮られると思う。同じ家族の一員と公言するなら愛犬は、晴れ姿を撮らない、理由は、なんだろう?勿論ドッグショーに出すような立姿は取れないというのは、解るが少なくても自然体でで立つときの姿程度には、立てらるはずである。
         

最近は、フェイスブックという情報発信源を多くの愛好家は、利用されておられるが、投稿記事の中に時々台の上に子犬を載せて立姿の練習をしたりリードを付けて歩行する練習をしている写真やヴィデオが掲載されているのでそれらを大いに参考にして欲しい。この練習は、決してショードックのための練習でなく大型の家庭犬として当然のことであるという自覚のもと練習している。
私は、大型犬の立姿の写真を見ると目を画面にすりつけるようにして眺めている。

仔犬時から人間の命令をきちんと守らせ犬の我儘飼い主が押さえつける強い指揮命令関係にないとセントバーナードは、「ブレイキの壊れた大型バス」である事を飼い主は、しっかり自覚して躾に励んでもらいたい。
先日ある投稿で”ゴロンストライキ”なる言葉に出くわして理解に苦しんだ。よくその投稿を読んでいるうちにそれは、散歩に連れ出すときや散歩中に歩くのを嫌がって犬が横になってしまい動かなくなることを指す言葉のようだと理解できた。うまい造語を作り出すものだと苦笑したが”飼主さんもっとしっかり躾をしろよ”とも思った。

ここで改めてセントバーナード愛好家および関係者に発表する事がある。
私は、それらの方々が混乱するといけないと思い余り公にしたくなかったことであるがセントバーナード犬種が
温厚、従順というのは、人間が作り上げた偽善的な言葉であって発生
史的には、襲撃性の高い勇猛果敢な番犬であり牛馬に代わり農耕作業に従事した作業犬でありモロシアンマスチーフ(意味は、モロシア地方の犬)短毛種の末裔であることをしっかりと頭に入れておいて欲しい。
アルプスの峠にあるセントバーナード寺院に本犬種が連れてこられた理由もここにある。
1500年代から1600年代にかけて火災による消滅から再建されたセントバーナード峠に有る寺院は、ローマ側スイス側を行き交う重要な休息地(ホスピス)でもあった。巡礼が活発になり巡礼者が増えると巡礼者の金品を狙い強盗団がたびたび寺院を襲撃しその防御策として強盗団に立ち向かえる犬には、当時存在した数犬種の中から攻撃性の高い勇猛果敢な「谷間の犬」として知られていた本犬種が選ばれたと言われている。
温厚、優しいと言われるようになったのは、強盗団の襲撃も一段落して200年近くも修道院の修道士のキリスト教精神に基ずく慈愛と博愛の精神で育まれ優しく育ったからである。

話は、横道にそれたが
立姿に戻ろう。

FBで特に身近な人の犬の立たせ方には、興味を持って拝見いる。
おおむね皆さん方の立姿は、きれいにそれなりに立たせていると感心している。
それなりにとは、ペットをスナップ的に撮られている写真やドッグショーに出陳して審査員の評価の対象にするかのような立たせ方というように。

いずれの立姿の写真を見てもほとんど前肢は、正確に垂直に立って両足も真直ぐ平行に前方を向いているのだが、残念ながら審査員の評価の対象になるような立姿の写真を撮られている犬の写真の中には、後肢の立たせ方と位置がこうすればもっときれいに正確に立たせられるのにと思う立姿の写真が多い。

下の写真は、AKCの後躯の図説解説書

それでは、お前が俺の犬をきれいに立たせられるか如何かやってみろ!
と言われても無理な場合もあればできる場合もある。と言った方が現実的であろう。

下の写真をご覧いただきたい。犬は、Quaker Jack(クエイカージャック8か月時)初めてのドッグショーで繁殖者のところに預けっぱなしで6か月の狂犬病の抗体検査が終了したので日本に連れて帰ろうとしたときに思い出のために1回ぐらいは、アメリカのドッッグショーに出してみようと3日間の連続単犬種展に出陳した時の写真である。結果は、6か月9か月のクラスで2席3席2席と振るわなかったが、審査員の前では、なだめすかしてやっと立姿を取った時の写真である。このショーの最終日に西海岸で一番の売れっ子ハンドラーのMartin Gloverが繁殖者のオリバーと話しているのを聞き彼が「この犬は、恐らく西海岸でもかなりの成績を残せるのでチャンピオン完成までこちらに置いていったらどうだ」とオリバーに話して私に如何だ?と聞くので預けることになりアメリカチャンピオンを完成して翌年10月に当犬舎に仲間入りしたものである。

そして下の写真は、アメリカチャンピオンを完成すべくキャンペインをしている時の写真である。
ハンドラーは、繁殖者のBill Oliver(ビルオリバー)氏
大腿部が直線にならずきれいなカーブを描き飛節の流れと一直線になっては、棒立ちとなり標準書の規定から見ても

概貌(ジェネラル)
筋肉質で、適度な角度がついている。後望すると、前後肢は平行で近すぎない。
大腿(アッパー・サイ)
力強く、筋肉質で、幅広である。
下腿(ローワー・サイ)
傾斜しており、かなり長い。
飛節(ホック・ジョイント)
角度はわずかで頑丈である。
中足(リア・パスターン)(メタターサス)
後望すると、真っ直ぐで、平行である。
足(ハインドフィート)
幅広く、頑丈で、引き締まり,指趾はアーチしている。デュークローは動きに影響を与えない限り、許容される。
後躯のセットの仕方を棒を斜めにしたような立たせ方(棒立ち)は、標準書から言っても角度のある立たせ方をしないと標準書から外れる後躯の姿では、欠点と見なされる。
飛節からのパスターンは、必ず地面に垂直に立たせるというのが犬を美しく正確に立たせるための重要なポイントとなる。
多くの犬は、自然体での立姿でも角度のある後躯を見せるのに人間が立姿のポーズをとる時角度をなくして棒を斜めにした後躯(棒立ち)にしかできないのには、その理由がいくつか考えられるが少なくても飛節からパスターンにかけては、地面に垂直に立てれば角度も出るのできれいな立姿に見えるはずである。

左の写真は、当犬舎の25か月の若オスカポネの自然体の立姿である。私の目からは、欠点だらけの犬であるが後躯は、スタンダードの要求には、外れていない。

最後に犬の写真を撮ることの注意点を申し上げたい。
スナップで犬の表情を撮る時は、別にして犬の全体像を紹介したり良さを印象付ける写真の場合は、犬のまずるの高さか背線の高さと平行にカメラを構えるのが最もよい姿勢で撮れる秘訣である。一般的には、レンズの習性から高い位置から撮ると頭でっかち短足の写真となり低い位置からだとその逆になるのは、知られたことである。
こんな素人同士のQ&Aで{犬の目線}でカメラの位置を構えると良いと答えているのを読んだが思わず噴き出した。犬の目線なんて360度くるくる動くのに目線に合わせると撮る方も360度回転しながら撮らなくてはならないということだろうか?まるで宇宙遊泳だ。
おそらく回答した人も犬の目の高さだと言わんとしたのだろうがそれならば全く間違いではない。

写真は、撮れば撮るほど上達していく。
まず静止している犬の写真ならしっかりピントを合わせることである。私も初期のころは、ピンボケ写真ばかりであった。その為あだ名を≪ピンボケ親爺」としたが最近では、ホンボケ親爺となってし待った。
次に自分で撮った写真が自分のイメージ通りに撮れているかどうか検証する事も上達の秘訣ではなかろうか。ある人の写真は、幼稚園に上がる前の子供がお絵かきでぐしゃぐしゃに塗りたくったように写真に画像ソフトで色を付けている写真を見るが上達には、つながらない。また、ご自分で撮った写真だから他人がとやかく言う筋合いではないかもしれないが画像に漫画を読むようにセリフを入れているのをよく見かけるがもったいないと思うと同時に低俗な漫画と変わらないとして無視している。

写真には、瞬間瞬間のドラマの記録がありヴィデオとまた違った評価ができる。一枚一枚を大切に撮りその時の撮る方撮られる方の歴史遺産として大事にしたいものだ。

 



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