そこに、白山達がやって来た。 そして麻衣子達を見て言った。
「なんで、お前たちが生きてここにいるんだ。」
驚き言った白山に、野々村が
「すぐに、城の中を見に行ってこさせましょう。 」
と言い、村人達の3人に
「お前達、今すぐ城を見に行ってこい。」
と言った。 3人の村人達は、急いで城へ向かった。白山は黒沢を睨み付け
「お前、やってくれたな。何てことだ、あの力がどれほどの物か分かっているはずだろうが。」
そう言う白山に、黒沢は
「ええ分かっております、あなた達があの力を利用して、今迄どれだけ卑怯な事や、卑劣な事をしてきたのかも全て知っております。」
白山は舌打ちをして、
「分かっていながらなぜこいつらを逃がすのだ、2人の力を長らえさせる為のエサだったのだぞ。」
「エサ…」
と麻衣子が呟くと白山が
「あの求人は、吸血鬼である2人の為のエサを集めるために村ぐるみでやっていたのだ。」
と言った。麻衣子はたまらず、白山に言った。
「エサって…人の命をなんだと思ってるの❗️
2人をあんな風にしたのは、こんなふうに終わるしかなかったのは、ぜんぶあなた達のせいよ。自分達の欲望の為に、ずっと2人を利用してきたんだから。」
白山はそんな麻衣子に
「それがどうした、やつらは化け物なのだ!!
そんなやつらを、ワザワザ村に住まわせてやって、結婚相手まであてがいここまで存在を隠してやった。そのうえ餌まで用意してやったのに、感謝されはしても恨まれる筋合いなどない!」
と言った。すると実加が
「そうですね、あなた達の協力がなければ、この村に住む事はなかった。そして、宿命に縛られて生きる事もなかったはずですから。」
そう言い白山達を睨み付けた。そんな実加の言葉に続けて、黒沢が
「ヴァルカスキー家は、自国でも力を利用され化け物と蔑まれ続けてきました。
海を渡りこの国に辿り着いたが、行く宛など無い…そんな自分達を快く受け入れてくれた村の皆さんに、少しでも恩返をしたいという思いで、未来を操る力を提供してきたのです。
でも、あなた方は裏切った。いつの間にか、全てを手にいれようとした。それが過ちの始まりだと気付かずに」
すると野々宮が
「あまりの言いようですね、あなたもそのお陰で生きてこられたはずでしょう。何を今さら」
と言った。すると黒沢は
「そうですね、その通りです。だからこそ、私はもう二度と過ちを繰り返しません。」
と言い、野々宮を真っ直ぐ見た。その目に怯んだ野々宮に、白山が
「どれだけ話しても平行線のままだ、さっさとこの村から出るぞ。
もうやつらには力も残っていまい、ここに住む必要はなくなった行くぞ。 」
と言い、村人と共に歩き出した。
「はい」
と言い、野々宮は黒沢を睨み付けた。そして、白山の後について歩き出した。そんな村人達に広人が
「まてよ、あんた達がやった事はどんな理由があれ許される事じゃない。
今は地位も名誉もお金も、人脈もあるんだろうな。でも、2人を失った事の大きさは分かっているはずだ。
こんな事があっても悔い改める気のないあんた達が、これからどうやって生きていくのか、俺は…いや俺達はずっと見続けてやる。」
と言った。
白山達は、広人を睨み付け去っていった。
そんな村人たちを見ながら、麻衣子が呟いた。
「2人は、2人は最後まで人間だった、悪魔はあの人達よ。二人はあんな人達のために…」
そう言い肩をおとす麻衣子に奈月が
「あのさ、またみんなでここに来よう、2人に会いに来ようよ。
今度は笑って会いに来たよ~って、色々話に来たよ~って言って。
だって、せめて私たちくらいは人としての2人を忘れないようにしたいじゃない。」
と言った。麻衣子が
「そうだね、うん…2人に会いに来よう、絶対に約束する。」
と、言った。実加も
「そうだね」
そして広人が、
「ああ、必ずみんなで来よう。」
と言ったあと黒沢を見て、
「黒沢さんあなたもですよ、あなたも一緒にここに、2人に会いに来てください。」
広人の言葉に、黒沢は
「私も…わかりました。はい必ず。」
と答えた。5人は、館を振り返りつつ森から去っていった。