法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

新人営業の教科書 (1)- 自分の「型」を作る!

2024-04-14 11:24:39 | 新人営業の教科書
いつも同じ時間の電車に乗って通勤していますが、4月に入るといつも見かけていた人がいなくなったり、真新しいスーツのいかにも新入社員といった出で立ちの人が増えたりします。

新入社員の方々は、新人研修や現場実習があり、しばらくは、慣れない環境でお疲れなことと思います。

配属先が営業だった人には、希望通り営業になれた人と、「えー、営業!向いてないのに」と本人の希望とは異なる営業部になって困惑している人もいるかと思います。

また、新入社員でなくとも新年度から会社の都合で営業に「異動させられた人」など様々な立場の人がいることでしょう。

私はかつて自分から希望して転職し、エンジニアから営業に「変身」しました。正確に言うと、エンジニアからマーケティングに転身し、その後、営業も行うようになりました。

<新人営業にもいろいろある>


私には営業の師匠に当たる人はいませんが、自分なりに営業を研究しました。そのとき用いた資料の一部が、このブログの一項目である「営業関連書籍」です。

エンジニアやマーケティングの研究とは異なり、学問的・科学的なアプローチで営業を研究することは容易ではありませんでした。

それでも、研究と経験を重ね、自分なりの営業手法を確立し、成果をコンスタントに出せるようになりました。

自分なりの営業手法(営業戦略を立案・実行する手法)、それは「自分の型」とも言えます。

「型」は、扱う製品やサービスにより異なる部分もありますが、「芯」になる部分は同じだと考えています。

トップセールスの頭の中には、営業としてのしっかりした考え方が出来上がっています。

それをどうやって観察し、盗み、自分のモノにし、「自分の型」を作っていくのか。それが新人営業に求められています。

「学ぶ」はもともと「真似(まね)ぶ」のことです。

よ~く先輩を観察して営業手法をまね、自分のものにし、更に良いものに仕上げましょう。

次回以降に説明することも参考にしながら、「自分の型」を作り、営業で成功してください。

もちろん、営業手法がすでに確立している会社もあるはずです。

その場合は、まずは、それを完全に吸収し、更に研究と経験を重ねて、もっと効果的なもの、どこでも通用するもの、「いつでも転職できる」くらいのレベルに仕上げてください。

どんなに良い製品・サービスがあっても、営業なしで売れるものはありません。営業は、どのような会社にも必須で、クリエイティブでやりがいのある職業です。

<「型」もいろいろあるが、自分にあった「型」を確立し勝負する!怖い顔は不要。スマイルで>



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契約は始まりに過ぎない(5) - 「顧客リレーションシップ」マネージメント成功のキー

2024-03-31 09:07:36 | ・・契約は始まりに過ぎない
「売ってさよなら」の「ない」、「できない」コンプレックスセールス。もう一度、その定義を確認してみましょう。

このコンプレックスセールスとは、以下の特徴を持つ営業です。

・高額の商談や技術的に複雑な商談
・顧客の課題の把握、解決策の紹介から受注、受注から納品に至るまで長期間、複数の商談が必要
・複数の担当者、複数の関連部門による意思決定
・意思決定は商談の場以外のところ
・納品後のフォローも重要

受注までは「理詰めの営業」を活用し、戦略的に行動しても、一旦、注文書を受け取ると営業の気持ちは別のところに行ってしまうことがあります。

営業と顧客の間の同床異夢の始まりです。

では、受注後も緊張感を維持するにはどうしたらよいでしょうか。

コンプレックスセールスの特徴を理解し、「契約は始まりにすぎない」ことを認識し、『理詰めの営業』を活用して案件を定期的に振り返ります。

そのとき顧客の微妙な変化を敏感に感じ取り、自社が解決すべき自社自身の課題と自社の利益になるチャンスを察知します。

また、顧客との依存関係が望ましい状況にあるか、顧客はどう思っているか、買い手の心理に配慮できているか、等をベースに自社の顧客リレーションシップの現状を振り返ります。

グループ営業の場合、あるいは、長期に亘る案件の場合、売上だけではなく顧客とのリレーションシップ構築の「強度」で、グループあるいは個人を評価することも必要です。

気づき、振り返り、顧客リレーションシップの強度から経営資源の割り当てを行い、顧客リレーションシップを良好にするためのコミュニケーションの確立と顧客とのコミュニケーションの習慣化が大事になります。

これにより有意義な顧客とのコンタクトが行われ、顧客リレーションシップという無形資産の増加を図ることができます。

さて、このような「顧客リレーションシップ」マネージメントをCRMシステムやSFAで後押しすることはできるでしょうか。

今のところ、私は有効なシステムを見つけ出せていません。読者の中で、適切なシステムをご存知な方がおられましたら、是非、コメントをお寄せいただければと思います。



営業に疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>
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契約は始まりに過ぎない(4) - 相互依存関係深化のポイント

2024-03-24 09:00:52 | ・・契約は始まりに過ぎない
先週お知らせしたように、顧客リレーションシップという無形資産を増減させる行動で、一番懸念しているのは顧客とのコミュニケーションです。

「こちらから電話をかける」vs「顧客からの電話に折り返すのみ」とありますが、現状は
「こちらからメールする」「顧客からのメールに返信するのみ」ではないでしょうか。



実際、顧問先の協力会社(顧問先にサービスを提供する側)の営業を観察していると、メール以外のコミュニケーションが非常に少ないことが分かりました。
メールでの問い合わせには、きちんと回答してきます。しかし、言葉を交わすのは、月次定例会時の30分程度です。
しかも、質問・提案・アドバイス等はほとんどなし。

来年度の投資に対する提案など、下調べしなければならないことはたくさんあるはずですが、なにも聞いてきません。
こちらが詳細を伝えるのを待っているようです。
この協力会社を見限り他のベンダーと商談を進めていたらどうするつもりなのでしょうか。

「営業のやるべきことが分かる」-第四段階「競合分析・選定基準の明確化」で書いたようにRFPが発行された時点で、すでに顧客の意中の企業は決まっているのです。

たしかに、メールの活用によりコミュニケーションの頻度や情報量は増えています。
しかし、顧客リレーションシップの「深化の度合い」はいかがでしょうか。


いまさらですが、メールには以下のようなメリット、デメリットがあります。

・メリット
- 自分の都合で送信・受信できる
- 相手も自分の都合で確認、返信できる
- 複数の相手、社内、社外にも同時に送信できる
- 添付機能やURLを使い、多くの情報を伝えられる
- 履歴が残せる

デメリット
- 感情や思いが伝わらない
- 相手がいつ確認するかわからない
- 複雑な内容や微妙なニュアンスを伝えるのが難しい
- 送信者の意図とは違った意味合いで受け取られることがある
- 誤った情報でも履歴として記録が残る

「履歴が残る」ことをメリットとしてあげましたが、状況によってはデメリットになります。
「非公式情報」はメールでは送れません。先週書いた、下記の質問にメールで応える人はいないでしょう。

・中長期投資計画、本年度の投資計画は。
・現在の問題・課題は。
・顧客の事業は今後どのように展開していくのか。
・それが今後の購買にどう影響するか。
・競合他社はどのような製品戦略を持っているか
・競合他社の製品への満足度は。問題点は。
・我々の製品は顧客のニーズに十分応えているか
・我々の製品は顧客の課題・問題を解決しているか。
・意思決定プロセスは、キーパーソンはだれか。
・新任の事業部長の経歴や評判は。
・なぜ、A氏は我々の製品が嫌いなのか。

メールのデメリットの部分を面談等、他の方法で補っているか、顧客の期待に本当に答えているか日々、考えて行動する必要があります。
メールで事が順調に進んでいると思わないことが大切です。

コンプレックスセールスに必須の上記情報を得るためには、相互依存関係の深化が必須です。
その上で適切なコミュニケーション手段の選択が必要です。

相互依存関係深化のためには、下記の3点を日々、顧みることが肝要です。

・どの顧客と接点があるかではなく、個々の顧客からどう思われているか。

「担当エンジニアも課長も部長も事業部長もその上の役員も社長も知っている」ことはすばらしいことですが、
その人たちにどう思われているか考えて見ましょう。「頼りになる営業」と思われているでしょうか。

・売り手と買い手は、どれくらい依存しあっているか、あるいは、依存しあっていると感じているか。

あなたが依存していなければ顧客も依存していないかもしれません。
いやいや「彼女は俺にべたぼれ」とうぬぼれて振られたことはありませんか。
自分の製品がないと顧客がどれだけ困るか具体的に考えてみましょう。顧客の選択肢は?

・売り手が買い手個人をどれだけ知っているか、買い手の心理に配慮できているか。

手始めに『理詰めの営業』の「関係顧客分析」を埋めてみましょう。
この段階でつまずいているようでは、顧客リレーションシップの構築がまだできていないというしかないです。

深いリレーションシップを築けるかどうかは売り手次第です。
営業だけでなく、開発、製造、サービスのエンジニアにも参加してもらい、複数の人的な依存関係の構築、マルチチャネルの情報収集を行いましょう。





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契約は始まりに過ぎない (3)- 「顧客リレーションシップ」という資産は増減する。

2024-03-16 18:28:57 | ・・契約は始まりに過ぎない
顧客との関係が密になれば、いままで入手しにくかった様々な貴重な情報が、嘘のように手に入るようになります。

たとえば、顧客は以下の資料にあるような質問に直接的・間接的に答えてくれるようになります。

『理詰めの営業』の分析に必要な情報が容易に入手できるようになります。




競合他社に案件を取られたり、販売の予想が外れたり、「え、どうして」と相手の行動に不意を突かれたりするのは、
リレーションシップが弱体化し、隙間風が吹いているからです。

顧客から苦情が来ないのは、リレーションシップに軋みが生じている兆候の最たるものです。
顧客が言葉に出さないのは、信頼が薄れていたり、リレーションシップに陰りが表れたりしている証拠です。

あなた自身も顧客として体験したことがあるはずです「言ってもしょうがない」

「顧客リレーションシップ」は無形資産です。資産ですのでその価値は増減します。
資産を増加させる行動と減少させる行動をまとめてみました。



私が一番懸念しているのは顧客とのコミュニケーションです。

一覧表に、
「こちらから電話をかける」vs「顧客からの電話に折り返すのみ」
とありますが、現状は
「こちらからメールする」vs「顧客からのメールに返信するのみ」
ではないでしょうか。

メールの活用によりコミュニケーションの頻度やボリュームは増えているかもしれません。
しかし、顧客リレーションシップの「深化」はいかがでしょうか。


次回は、インターネット時代のコミュニケーションとCRMについて考えてみます。

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契約は始まりに過ぎない (2)- 相互依存関係

2024-03-09 17:18:46 | ・・契約は始まりに過ぎない
「契約完了。さて次の案件」とは簡単にいかないのがコンプレックスセールス。納入までの長い道のり、納入してからの更なる苦難の道が待っています。

また、契約の内容も売って終わりではなく、長期を前提としたレンタルやアウトソーシング、長期間に渡り納品を継続する契約、納入後のメンテナンスを含む契約、など、長期的な取引を前提とした契約形態が増えています。相互依存が原則となる取引条件の増加です。



私が扱っていた生産財の場合、メーカーは「協力会社の設備(部品・材料も同様)がなければ製品を作れない」、協力会社は「メーカーに購入してもらうために設備(部品・材料も同様)を作っている、転用先はない」状況にあり、相互依存どっぷりの関係にあります。もちろん、コモディティ化した部品や製品はありますが。

このようなことから長期に亘る相互依存関係を原則とした契約の場合、顧客とのリレーションシップを深め、「信用」という無形資産を守り育て続けることが大切です。

ともすると、売り手は、契約が取れると「目標達成だ。次だ、次だ」と思い、緊張感が緩み、リレーションシップは縮小してしまいます。それは、競合に付け入るスキを与えることになります。というのも、買い手の評価は終わっていないのです。それどころか、期待通りの結果が出るか、関心を持ち続け、緊張は一層高まり、コミットメントを深めまようとします。



また、買い手の立場に立てば、「いくつかの競合の中から選んであげた」すなわち「貸しをつくった」「恩を売った」と買い手は思っているのです。
このため、謙虚な売り手であれば「選んでいただいた」「借りがある」と思うはずです。

この売り手の立場を素直にとらえて、リレーションシップを築き直し、発展させていく必要があります。


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契約は始まりにすぎない (1)– 営業と顧客の同床異夢

2024-03-03 20:12:50 | ・・契約は始まりに過ぎない
以前から何回かこのブログでコンプレックスセールスを例に、
顧客が製品やサービスを購入する一連の流れと営業の「やるべきこと」を明確にしてきました。
また、どの段階が「営業にとって勝負所か」をみてきました。

ちなみに、コンプレックスセールスとは、

・高額の商談や技術的に複雑な商談で、
・顧客の課題の把握、解決策の紹介から受注に至るまで長期間複数の商談を行う必要があり、
・複数の担当者、複数の関連部門による意思決定が必要とされ、
・意思決定は商談の場以外のところで行われる営業です。

例えば、プラント建設やITシステム導入、生産設備の購入、オートメーションの導入、ビル管理、不動産の購入、大規模な移転などは好事例でしょう。





受注が決まると営業はホッとします。「やった、目標達成だ」「さて、次は」と次の案件に目を向けます。

発注した顧客も、「(事業部長の説得に時間がかかったが)やっと、発注できた」と一瞬、安堵しますが、
「予定通りに完成できるか」「課題は本当に解決できるか」と新たな不安が始まります。

手離れの良い製品であれば、「さて、次」は可能でしょう。
しかし、コンプレックスセールスに「売ってさよなら」はないのです。



私が携わっていた半導体向け計測機器の場合、受注から納入まで1年、それから立ち上げ、
顧客エンジニアのトレーニング、運用サポート、修理や定期メンテなど数年の付き合いが続きます。

顧客との付き合いの中から次のビジネスのネタを得ることや、逆に次期製品の開発依頼を受けることもありました。

すなわち、コンプレックスセールスには、長期にわたる第七段階の「納入の推進」があります。
そして、「購買行動と営業活動」の記事では省かれていますが、第八段階として「納入後の成果のフィードバックと評価」があります。
長期間に渡る付き合いの中での評価が次のビジネスにつながります。

「長期にわたる顧客との強い絆をどう維持していくか」>が、「契約は始まりに過ぎない」のテーマです。



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『ZERO TO ONE』(6)- 営業力の装備が成功の絶対条件!!

2024-02-18 11:59:21 | ・・ピーター・ティールの営業
2015年ビジネス賞大賞を受賞した「ZERO to ONE(ゼロ・トゥ・ワン)」(ピーター・ティール著)。
スタートアップを目指す人々を勇気づける本だが、営業の重要性を第11章「それを作れば、みんなやってくる?」で説いています。

前回はコンプレックス・セールスについて述べたが、もっと価格の安い商品のセールスについてもピーター・ティールは語っています。

「個人セールス。・・・・・ほとんどのビジネスは、コンプレックス・セールスに適さない。
一件当たりの平均販売額が一万ドルから十万ドル程度なら、CEOがすべてを自分で売り込む必要はない。
そうしたセールスの課題は、特定案件をどう売り込むかではなく、適正規模の営業チームを使って幅広い顧客層に商品を売り込むプロセスをどう確立するかだ。」


(何となく日本語訳が今一。今度、原文で読んでみよう。11章だけ!?)

「もっと価格の安い商品のセールス」とはいうものの、販売価格が約100万円から1000万円。家庭用品雑貨や家電製品ではなく、車のセールスといったところでしょうか。

さて、「理詰めの営業」は、コンプレックス・セールスをターゲットにした営業手法なので、個人相手のセールスには適しません。
しかし、営業プロセスをマネージする、関係顧客を分析する、といったことには役立ちます。
もっとも個人相手の場合、関係顧客は本人、配偶者およびその他の家族くらいになりますが。

さて、ピーター・ティールは、この章の最後で以下のように述べています。

「誰もが売り込んでいる。・・・・
おたくたちは、販売のことなんて考えたくもないし、営業マンをほかの惑星に追放できればいいのにと願っていることだろう。
僕たちはみんな、自分は何者にも影響されずに判断し、営業に惑わされることはないと思いたがる。でも、それは間違いだ。
誰もが売り込みに影響される。」


エンジニア(おたく)は営業が嫌いです。私もそうでした。営業のように口が立つエンジニアも嫌いでした。

でも今は自分も営業です。口で勝負というよりじっくり戦略を練って攻める営業です。なんせ、コンプレックス・セールスは長丁場ですから、急ぐ必要はありません。

本当にすごい営業は、顧客に自分の口で(こちらが提供するリューション)を語らせる営業です。

いいもの作っても営業がいないと売れません。

スタートアップの企業といえども、スタートアップの企業だからこそ営業力が必要です。

自社の製品やサービスに適した営業戦略を立案し、営業力を装備することが成功の絶対条件です。


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『ZERO TO ONE』(5)- コンプレックス・セールスに営業はいらない!!

2024-02-11 20:44:45 | ・・ピーター・ティールの営業
2015年ビジネス賞大賞を受賞した「ZERO to ONE(ゼロ・トゥ・ワン)」(ピーター・ティール著)。スタートアップを目指す人々を勇気づける本だが、営業の重要性を第11章「それを作れば、みんなやってくる?」で説いている。

コンプレックス・セールスは『理詰めの営業』の主要な適用領域です。

コンプレックス・セールスとは、

・高額の商談や技術的に複雑な商談で、
・顧客の課題の把握、解決策の紹介から受注に至るまで長期間複数の商談を行う必要があり、
・複数の担当者、複数の関連部門による意思決定が必要とされ、
・意思決定は商談の場以外のところで行われる営業です。
・また、受注から納品・引き渡しまでに時間がかかり、
・その後もフォローが必要な案件。

という特徴のある営業です。



例えば、プラント建設やITシステム導入、生産設備の購入、ビル設備管理、不動産の購入、大規模な移転などは好事例でしょう。

では、コンプレックス・セールスは、この本でどのように取り上げられているでしょうか。

「コンプレックス・セールス。・・・・・すべての案件について隅々まで念入りに一対一の注意を払わねばならない。

顧客と良い関係を築くのに何か月もかかることもある。

売込みに成功するのは一年か二年に一度だろう。

販売が終わっても設置やサービスなど、長期間にわたってアフターケアを行なわねばならない。

骨の折れる仕事だけれど、高額商品を売るには、こうしたコンプレックス・セールスを行なうしかない。
・・・・・
コンプレックス・セールスは、営業マンがいない方がうまくいく。

・・・高額案件になると、買い手は営業部門の副社長ではなくCEOと話したがるものだ。」


「営業マンがいない方がうまくいく」は言い過ぎだと思いますが、
(顧客に語らせずに自分だけがしゃべる営業マンがいて「いない方がいい」と思ったことがありますが)
コンプレックス・セールスを成功させるには、営業マンの個人的な顧客との関係だけではなく、
事業部長レベル、トップマネジメントレベルといった会社のあらゆる階層での良好な関係の構築が必要です。

もちろんトップレベルのマネジメントこそ営業的なセンスを磨き、顧客と強固な関係を構築できるようにする必要があります。


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『ZERO TO ONE』(4)- 「あの会社の営業は一味違う」と顧客に言わせる営業

2024-02-03 23:05:43 | ・・ピーター・ティールの営業
2015年ビジネス賞大賞を受賞した「ZERO to ONE(ゼロ・トゥ・ワン)」(ピーター・ティール著)。
スタートアップを目指す人々を勇気づける本ですが、営業の重要性を第11章「それを作れば、みんなやってくる?」で説いています。

「どう売るか。・・・・・

差別化されていないプロダクトでも、営業と販売が優れていれば独占を築くことはできる。

製品がどれほど優れていても、たとえそれが従来の習慣に合うもので、一度、利用すれば気に入るような製品だとしても、強力な販売戦略の支えが必要になる。」


どんなに優れた製品でも営業戦略を間違えるとNo.1にはなれなません。

映画『陽はまた昇る』や『プロジェクトX〜挑戦者たち〜』(NHK)でも取り上げられた家庭用ビデオレコーダーの規格争い、『VHSとベータマックスのデファクトスタンダード戦争』は、その事例の代表です。玄人筋には好評で技術的にも優れていたとされるソーニーのベータマックス。それと対抗した日本ビクターや松下電器産業(現、パナソニック)。結果はVHSの勝利。勝因の一つが営業戦略にあるとされています。

稲盛和夫の著書「アメーバ経営」の中に、以下のような件があります。

技術的な優位性というのは、永遠不変ではない。だから、企業経営を安定させようと思うなら、たとえ技術的にさほど優れていなくとも、どこでもやれるような事業を優れた事業にすることが大切である。つまり、誰もがやれるような仕事をしていても、「あの会社はひと味違う」というような経営をすることが、その会社の真の実力なのである。

家庭用ビデオレコーダー開発の時代は、まだ、ハード的な差別化が可能でした。
しかし、最近はハード面での技術革新が少なくなり、差別化のポイントの少ない製品や目に見えない差別化の製品・サービス(例えば、ITシステム構築、販路の差別化など)の営業が求められています。

技術革新のような圧倒的な強みにはなりませんが、「あの会社の営業は一味違う」と顧客に言わせるような、営業自体が差別化要因になるような競合他社にはない営業の戦略的な育成・強化が重要です。


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『ZERO TO ONE』(3)- 一流の営業はいつのまにか顧客に語らせる

2024-01-27 22:40:09 | ・・ピーター・ティールの営業
2015年ビジネス賞大賞を受賞した「ZERO to ONE(ゼロ・トゥ・ワン)」(ピーター・ティール著)の続きです。

一流の営業はそれとわからない。・・・・・

営業マンはみな役者だ。彼らの仕事は売込みであって、誠実であることではない。セールスマンという呼び名が中傷にもなるのはそのせいである。でも僕たちがネガティブな反応を示すのは、ぎこちないあからさまな売込み、つまり優秀じゃないセールスに対してだ。

一口に営業と言っても能力はピンからキリまでだ。・・・・・セールスの超達人もいる。超のつく達人を知らないとすれば、それはまだ出会っていないからではなく、目の前にいながら気付いていないからだ。・・・演技と同じで、売込みだとわからないのが一流のセールスだ。・・・・・

どんな仕事でも、営業能力がスーパースターと落ちこぼれをはっきり分ける。ウォール街では新卒は数字をはじくアナリストからスタートするけれど、最終目標はディールメーカー(M&Aにおける仕掛人や主要プレーヤーで営業能力は必須)になることだ。・・・・・法律事務所のリーダーは大手クライアントを獲得できるレインメーカーだ。・・・・・・

エンジニアの究極の目標は、何もしなくても売れるようなすごいプロダクトを作ることだ。でも現実のプロダクトについてそうだという人がいたら、うそになる。・・・・・何か新しいものを発明しても、それを効果的に販売する方法を創り出せなければ、いいビジネスにはならない。それがどんなにいいプロダクトとだとしても。」

『理詰めの営業』で説いているように、顧客があたかも自分で考えたように、顧客の口で「必要なソリューション」を語らせている営業。それが一流の営業でしょう。



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『ZERO TO ONE』(2)- 営業なんていらねえよ。

2024-01-21 14:10:26 | ・・ピーター・ティールの営業


2015年ビジネス賞大賞を受賞した「ZERO to ONE(ゼロ・トゥ・ワン)」(ピーター・ティール著)。
スタートアップを目指す人々を勇気づける本だが、先週、述べたように営業の重要性を第11章「それを作れば、みんなやってくる?」で説いている。

以下は、その件(くだり)です。
「シリコンバレーのおたくたちは、広告やマーケティングやセールスに懐疑的だ。
というのも、それが薄っぺらで不合理に見えるからだ。・・・・・・
エンジニアの領域では、ソリューションは成功するか、失敗するかのどちらかしかない。
仕事の評価も同じように簡単で、見栄えは対して重要じゃない。

セールスはその反対で、本質を変えずに見栄えを変えるための組織的なキャンペーンだ。
(広告については、「すぐにモノを買わせるためにあるわけではなく、後に売り上げに繋がるように巧妙な印象を刷り込むもの」としています)

エンジニアにとってそれはくだらないことだし、基本的に不正直だとさえ思っている。・・・・・
科学やエンジニアリングは見るからに難しそうなので、人はそれを実際以上に過大評価している。

だけど、セールスを簡単に見せるのがどれほど大変かを、おたくたちは理解していない。」


生産財の営業には、技術的な知識やエンジニアとの協業が必須です。もしあなたの会社のエンジニアが上記のような考えだったら、営業活動は旨くいきませんね。

もとIBMのハードディスクの開発エンジニアであった私にはエンジニアの考え方・気持ちは分かります。

しかし、営業もエンジニアの仕事に劣らず創造的な仕事です。

『理詰めの営業』で説いているように、顧客があたかも自分で考えたように、顧客の口から「そのソリューションが必要だ」と語らせるには、創造力と戦術が必要です。

いくら良いと思うものを作っても、顧客が必要と思わない限り売れないのです。


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『ZERO TO ONE』(1)‐ ピーター・ティールって?

2024-01-14 01:27:28 | ・・ピーター・ティールの営業
Coffee Break。最近、コーヒーミルも買って旨いコーヒーを飲んでリラックスする時間が楽しみになってきた。豆はフィリピンの「Barako Coffee」。

そんな時間を使って『イーロン・マスク』(ウォルター・アイザックソン著、井口耕二訳、文藝春秋)を読んでいたらピーター・ティールの名前が出てきた。

ピーターはイーロンと一緒に仕事をし、喧嘩することもあったよが、資金面では支えたりもしたようだ。

以下、ピーター・ティールの『ZERO TO ONE』の再掲。



ネット上に膨大な情報があるにも関わらず情報の選別に疲れたのか、最近、古い本を取り出して読み返しています。その一つが、2015年ビジネス賞大賞を受賞した『ZERO to ONE(ゼロ・トゥ・ワン)』(ピーター・ティール、ブレイク・マスターズ著、滝本哲史日本語版序文、関美和訳、NHK出版)。

前回は著者の経歴を十分に知らずに読んだが、改めて著者の略歴を調べて読むと一段と興味が膨らみます。

(以下、ウイキの要約)
ティールはスタンフォード・ロー・スクールを1992年に卒業後、合衆国控訴裁判所で法務事務官として働く。1年後、合衆国最高裁判所の法務事務官となるために面接を受けたが、不採用となる。その後、ニューヨークに移り、法律事務所サリヴァン&クロムウェルの証券弁護士として働くが、7ヶ月で離職する。そしてクレディ・スイスの通貨オプショントレーダーとして働いた。その傍ら、元教育長官ウィリアム・ベネットのスピーチ・ライターを務めた。

1996年にベイエリアに戻り、インターネットとパソコンが急速に発展し、経済を変化させていることに気付く。そして友人や家族から100万ドルの資金を調達し、ティール・キャピタル・マネジメントを設立。ベンチャーキャピタリストとしてのキャリアをスタート。発足当初に友人ルーク・ノゼックのプロジェクトに10万ドルの投資をしたが失敗。しかし、1998年、そのノゼックの友人であるマックス・レヴチンと共にコンフィニティ(Confinity)を創業。

1999年、コンフィニティが電子決済サービスPayPalを立ち上げる。2002年2月に新規株式公開(IPO)したPayPalを、その年の10月に15億ドルでeBayに売却。ティールが保有していた3.7%の株式は買収時に5500万ドルの価値となった。

その後、ベンチャーに投資する会社を設立。Facebook初の外部投資家となったほか、航空宇宙、人工知能、エネルギーといったさまざまな分野に革新的な提案をする新しい企業に投資を続けています。

ちなみに、ティールをはじめとするPayPalの創業メンバーは、現在も投資家として活躍し、YouTube、テスラモーターズ、LinkedIn、スペースXといった価値あるベンチャー企業をいくつも起ち上げています。IT業界に大きな影響力を持つ彼らは「PayPalマフィア」と呼ばれており、ティールは、その「PayPalマフィア」の中心的な存在です。

この本はスタートアップを目指す人々を勇気づける本ですが、スタートアップ企業における営業の重要性を第11章「それを作れば、みんなやってくる?」で説いています。

「営業は誰もが行っていることなのに、ほとんどの人はその大切さが充分にわかっていない。・・・・

商品のセールスに必要なことを十把一絡げに販売と呼んでいるけれど、その重要性を僕たちは軽んじている。・・・・

営業マンやそのほかの「仲介者」は邪魔な存在で、いい製品を作れば魔法のように販路が開かれると勘違いしている。

特にシリコンバレーでは『フィールド・オブ・ドリームス』的な発想(「それを作れば、みんなやってくる」)が一般的で、エンジニアは売ることよりもクールなものを作ることしか考えていない。

でも、ただ作るだけでは買い手はやってこない。

売ろうとしなければ売れないし、それは見かけよりも難しい。」

スタートアップこそ営業が大事。



営業に疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>

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会議設計 - 営業以外の日常業務に活かす(7) - 自社のポジションを探る

2024-01-08 17:27:33 | 会議設計
ここでは「日常業務にどう会議設計を活かすか」をお話していますが *****以下の文章は。以前ご紹介したコンプレックス営業を対象にした会議設計の記事です。

会議設計のコンセプトを営業以外の日常業務に活かす場合、「自社のポジションを探る」はどのようなことに相当するでしょうか。

対外的な話であれば、ビルのテナントとしての「自社」、あるシステムのユーザーとしての「自社」などが考えられますね。

テナントの場合、大家さんの収入に占める割合が高ければ強気の交渉が可能でしょう。

あるシステムのユーザーの場合も、大規模システムを借りていれば強気の交渉が可能と言えますが、他社のシステムに移行できず、現在の会社への依存度が大きくなってしまった場合は、逆の立場になりかねません。

日常業務を見渡して自社、自分の部署、あるいは、自分自身がどんなポジションにいるのか考えて見るのも面白いです。

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客先での自社の現時点のポジションを整理し、「良好」「問題あり」の判定を行います。

例えば、「キーパーソンと課題を共有できている」「過去の納入実績は他社の2倍」「サービスサポートについては高く評価されている」「財務的に安定(無借金経営)」などはプラスに評価できます。

一方、「前回の投資では失注している」「オペレーターが弊社のサービスエンジニアを嫌っている」などはマイナスに評価されます。会議の直近に起きた故障もマイナスです。私自身も、実際、顧客訪問の直前にシステムダウンが起き、新製品の売り込みに苦労したことがあります。

いずれにしても、「顧客基礎情報分析」「問題・課題・ニーズ分析」「関係顧客分析」「競合分析」「自社分析」から出てきた強み・弱み・課題を整理し、会議に影響のある項目を記入します。

その中で、営業ステップを前進させるために何をどうこの会議で活用し、何をどうリカバーするか検討します。すなわち、自社の強みを活用し、弱みをリカバーする方法を考えます。

例えば、サービスサポートを顧客が高く評価しているのであれば、プレゼンに自社のサービス体制や実績を加え、他社との差別化のポイントにします。
逆に前回の投資で失注しているのであれば、失注原因を明らかにしてそのリカバーができていることを明確にします。例えば、前回は他社にあって自社にない機能があったが今は十分に対応できるとプレゼンすることです。

今回の例であれば、納入実績はプラス要因ですが、「山形事業所でのトラブルによる装置の安定性への疑問」や「原宿部長が競合メーカーの高雄工業を高く評価」はマイナス要因となります。これらを踏まえて、どのように会議を設計するかを考えます。

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会議設計 - 営業以外の日常業務に活かす(X) - 今年はこれにて!来年は1月7日から掲載開始。

2023-12-23 18:12:45 | 会議設計
ここでは「日常業務にどう会議設計を活かすか」をお話していますが、今年はこの辺で。続きは1月7日に。

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会議設計 - 営業以外の日常業務に活かす(6) - 相手の期待を予想する

2023-12-10 20:09:39 | 会議設計
ここでは「日常業務にどう会議設計を活かすか」をお話していますが *****以下の文章は。以前ご紹介したコンプレックス営業を対象にした会議設計の記事です。

ここでいう相手の期待というのはポジティブなものばかりではありません。

実は、明日、ISO14001の会議を招集しています。今月、社内の予行練習、来月本番のオーディットがあるためです。

しかし、出席者の気持ちは、

「めんどくさいなぁ。本業と関係ないじゃん」
「齋藤さん、まとめてやってよ」

というのが本音だと思います。どう話を持っていけば、分担して作業をやってもらえるか、上司にどう言ってもらえば良いか、などをこの週末考えています。

毎週話しているお父さんのお小遣い値上げの話も同様です。

「ちょっと話があるんだけど」

と行った時、奥さんはなに期待しているでしょうか。

普段会話のない夫からかしこまって言われると警戒心が百倍に膨らむのではないのでしょうか。

この場合は、相手の期待を予想できても対策が立てられない!!かもね。

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2020年もまもなく終りですね。

売上に余裕のある営業は、今月無理に注文を取らないで来年に持っていこうと考えていることでしょう。

一方で、売上未達成の営業は、あと4週間でなんとかクローズしなければなりません。売上未達成では、営業を外されるかもしれません。外資系にいた私も、四半期ごとのプレッシャーはかなりありました。

各案件は、『理詰めの営業』で最初に作った営業ステップのどこにあるのでしょうか。あと4週間でクローズできる案件は、最終ステップに近いものに限られるでしょう。それを見極めた上で、

・手持ちのリソース(社長、役員、上司)を最大限に活用して顧客を説得。
・顧客の最終意思決定者にダイレクトにコミュニケーションを取り、決裁してもらう。そのために、短時間で琴線に触れるプレゼンを準備。決裁と同時に関係部署に発注の手続きを取るように指示も出してもらう<これをSkypeなどでやらねばならないことが昨今の難しい点>
・今月中の発注を条件に値引き。そのためにはある程度値引きの余地を残してあることが前提。
・発注が決まっていて顧客の事務処理が遅い場合は、納期に影響を与える等伝えてプッシュ。例えば、生産のキャパが限られているので今ある製品は他の顧客に回ってしまうなど。

などのアクションを取りましょう。

これらができるか否かは、各案件の状況を社長・役員・上司等が共有化していて、かつ、関係顧客を十分に理解し顧客と良好な関係が構築できているかにかかっています。

『理詰めの営業』の各種分析とそれに対するアクションが取れているかどうかなのです。

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さて、本日のテーマは、「相手の期待を予想する」です。

その前に、ここまでの流れを整理してみます。

まず、「会議のゴールを設定」します。
そして、そのゴールを達成するための具体的な「シナリオを作成」します。
ここから、目標達成に必要な「必須出席者(顧客および自社)の確認」、「確認事項・不足情報の洗い出し」を行うというものでした。

次に、顧客の各出席者がどのような期待・考えを持って会議に来るのかを予想します。

今回の事例では、顧客から打診があった翌週に顧客V社と打ち合わせを行います。目的はRFPへの参加の可否決定に必要な詳細情報の収集および参加する場合の戦略立案に必要な情報の収集です。

その打ち合わせのための「会議設計」です。

先週の記事では、「V社との打ち合わせでは、V社の担当者だけがいいのか、上司にも出ていただいた方がいいのか、どちらが詳細情報を聞き出せるか、営業の判断が求められます」とありましたが、

今回はV社の担当者とだけ面会(または電話会議で打ち合わせを)すると仮定しましょう。

V社の担当者の期待はどうでしょうか。

今までのV社との関係の密度や経過により、想定される内容は異なりますね。

例えば、

a.(現在のベンダーには不満)、是非、代わりのベンダーがほしい。ついては、この会社のことをもっと知りたい。
b. この会社のことは良く知っているので、是非、RFPに参加してもらい、選択肢の一つになってほしい。
c. この会社のことは良く知っており、是非、RFPに参加してもらい、この会社に任せたい。
d. 大阪支社はこの会社に任せているが、担当者やリーダーが頻繁に変わるようだ。大丈夫だろうか。とりあえずRFPに参加してもらおう。
e. 三社に見積もりを成立させるため、参加して欲しい。本命は現行ベンダー。

この事例は、ビル管理ですが、上記のシチュエーションは、他の業種でも当てはまるでしょう。さて、あなただったらどう対応しますか。

相手の期待を予想することにより、打ち合わせに必要な資料や話の内容、順番、役者の選択などを適切に行えるようになります。



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