介護のグチ話～母と私の静かなるバトル～

パンツ脱ぎ防止のカバーのことを、
母は、『金縛り』と言う。

前後逆に履かせ、
母の手を完璧にブロックしてくれるので、
私にとっては、
とても有難い物である。

「この金縛り、取れなくて・・・」
ごめんね、
トイレの時は、お手伝いするから。

「脱げないと、間に合わなくなるんだよ。」
間に合わない時は、
中でして。大丈夫だから。

「・・・・・・」

夜、
最後の介助の後、お決まりのお願いを。
お母ちゃん、
もう寝るからね。
「後は、起きなくていいから。」

朝になったら、お手伝いするからね。
それまでは、中にしてね。

「わかったよ。」
と、頷く母。

だが、
夜中に “金縛り” と格闘している。

何を、どうわかっているのだろう。

今のところ、
“お呼び出し” も無く、
騒ぎもしないので、
気配を感じても、そのまま寝ている。

いずれ、
金縛りが取れないと、
騒ぎ出す日が来る、かも。

その時は、
また大騒ぎして、対処法を見つければいい。