人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

モーツアルト「証聖者の荘厳晩課 K.339」、「レクイエムK.626(ランドン版)」を聴く~マヨラ・カナ―ムス東京第5回定期演奏会

2018年02月26日 07時57分23秒 | 日記

26日(月)。わが家に来てから今日で1244日目を迎え、2020年東京五輪代表選考会出場権がかかる東京マラソンが25日に開かれ、ホンダの設楽悠太が日本新記録の2時間6分11秒で日本勢最高の2位に入り、2002年10月に高岡寿成選手がマークした2時間6分16秒を更新、日本記録突破報奨金1億円を獲得した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                       今年に限って 東京マラソンは平昌冬季五輪に負けてね?  ニュースバリューで

 

        

 

昨日、紀尾井ホールでマヨラ・カナ―ムス東京の第5回定期演奏会を聴きました 「マヨラ・カナ―ムス」とはラテン語で「さあ、大いなる調べを歌おう」という意味です。このグループは2012年9月に設立された合唱団体・音楽団体で、オリジナル楽器を使用する併設のプロオーケストラと共に演奏活動を行っています

この日のプログラムは①モーツアルト「証聖者の荘厳晩課K.339」、②同「レクイエムK.626(ランドン版)」です 出演はソプラノ=中江早希(東京藝大大学院在籍)、テノール=渡辺大、アルト=平山莉奈(ケルン音楽大在学中)、バス=西久保孝弘、指揮・音楽監督=バッハ・コレギウム・ジャパンの合唱メンバー渡辺佑介です

 

     

 

全自由席なので、2階C3列18番、センターブロック右通路側を押さえました 紀尾井ホールで2階席に座るのは、かなり前にアリシア・デ・ラローチャのピアノを聴いて以来です。会場は7割以上は入っているでしょうか

男女混声合唱メンバー45人とオケのメンバーが配置に着きます。コンサートミストレスは「バッハ・コレギウム・ジャパン」のヴァイオリニスト、荒木優子さん、チェロは同じく山本徹氏、ティンパニは藝大フィルハーモニアの井手上達氏です オケの配置は、チェロ2、ファゴットをセンターにして ヴァイオリン3+ヴィオラ2が左右に分かれる対向配置を取り、左後方にナチュラル・トランペット2、ティンパニ、右サイドにナチュラル・トロンボーン3、オルガンがスタンバイします

1曲目は「証聖者の荘厳晩課K.339」ですが、「証聖者」とはカトリックの聖者のうち殉教者でない者のことで、ここでは、ザルツブルクの聖人ヒエルニムスのことを指し、彼の祝日9月30日を祝って書いたのが2曲の「証聖者のための晩課」K.321(1779年)とK.339(1780年)だということです

この作品は①主は言われた、②主よ、あなたに感謝しよう、③主を畏れるものは何と幸いか、④僕(しもべ)たちよ、主をほめ讃えよ、⑤主をほめ讃えよ、⑥マニフィカト、の6曲から成ります この日の演奏は、モーツアルト当時の典礼に準じて、各曲の前後にアンティフォナ(交唱)というグレゴリオ聖歌が斉唱され、全体の冒頭と最後にも導入と結びの聖歌が歌われます この方式は、十数年前にNHK音楽祭で演奏したアーノンクール指揮ウィーン・コンツェルト・ムジクスによるモーツアルトの宗教曲(K.321かK.339だったかも知れませんが、思い出せない)で採用されていました

この作品の第4曲「僕たちよ、主をほめ讃えよ」は、第89回アカデミー賞作品賞を受賞した2016年 アメリカ映画「ムーンライト」で 少年たちがサッカーで遊んでいるシーンで流れ、2016年 チェコ・イギリス合作映画「プラハのモーツアルト  誘惑のマスカレード」のエンドルールで使用されていたことは記憶に新しいところです

そもそも私がこのコンサートを聴こうと思ったのは、この曲を生で聴いてみたかったからですが、結論から言えば、聴いて良かったと思います 素晴らしい演奏でした 特に注目していたのは第4曲「僕たちよ、主をほめ讃えよ」におけるソプラノ独唱です 中江早希さんはオルガンと弦楽器の伴奏に乗せてモーツアルトに相応しい透明感のある美しいソプラノで神の賛歌を歌い上げました   アルトの平山さん、テノールの渡辺さん、バスの西久保さんも申し分ありません

この演奏で特に素晴らしいと思ったのは渡辺佑介氏の指揮です   テンポ感も良く、音楽が弛緩するところがありません。オケからは古楽器特有の柔らかい音色を、合唱からは美しくも力強い歌声を引き出していました

 

     

 

プログラム後半は「レクイエムK.626」(ランドン版)です  この曲はヴァルゼック伯爵がプロの作曲家に作らせた曲を自作として自慢するためにモーツアルトに作曲を依頼したものですが、病床にいるモーツアルトは完成させることが出来ませんでした モーツアルトのペンは8曲目の「ラクリモーサ(涙の日)」の8小節で止まっています 彼の死後、妻コンスタンツェがモーツアルトの友人アイブラーに完成を委託しましたが途中で断念したため、結局弟子のジュスマイヤーが補筆して完成させた版が出版されることになりました これについては、後世の音楽研究者が研究を進め、バイヤー版(1971年)、モーンダー版(1987年)、ランドン版(1989年)、レヴィン版(1991年)などが発表されていますが、この日の演奏はアメリカの研究者ロビンス・ランドンが、アイブラーによる部分を復活採用し、不足部分ジュスマイヤー稿などで補った「ランドン版」によって演奏されます

作品は①イントロイトゥス(入祭唱)、②キリエ、③セクエンツィア(続唱)、③オッフェルトリウム(奉献唱)、④サンクトゥス(聖なるかな)、⑥ベネディクトゥス(ほむべきかな)、⑦アニュス・デイ(神の子羊)の7曲から成ります

この曲でも、渡辺氏の指揮はテンポ感の良いキビキビしたもので、聴いていて心地良さを感じます 第3曲「セクエンツィア」におけるソリストたちのソロは冴えていました。バスが歌う「驚くべきラッパが」に付けたトロンボーンの演奏は素晴らしいものがありました 現代のトロンボーンではなくシンプルな構造の楽器なので演奏が難しいと思いますが、しっかりした音程を維持し見事な演奏でした また、「想い起こしてください」におけるソプラノの中江早希さんの歌は会場の隅々まで沁みとおる素晴らしい歌声でした 「ラクリモーサ」を聴くと、いつも胸が張り裂けそうになります。透明感のある合唱が素晴らしい。モーツアルトの「僕は まだ生きていたいんだ」という慟哭が聴こえてきそうです この後、曲の後半が続きますが、私にとって、「レクイエム」は「ラクリモーサ」で終わりです

正直言って、このコンサートは あまり期待していませんでしたが、大当たりでした 指揮者も良い、オーケストラも良い、ソリストも合唱も良い、こんなに条件の揃ったコンサートは滅多にありません また次の機会にも是非聴きたいと思います

 

     

 

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