人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラでヴェルディ「アイーダ」を観る~アイーダのイム・セギョン、ラダメスのナジミディン・マヴリャーノフ、アムネリスのエカテリーナ・セメンチュク、ゼフィレッリの絢爛豪華な演出にブラボー

2018年04月06日 08時04分03秒 | 日記

6日(金)。わが家に来てから今日で1283日目を迎え、フィットネスクラブ大手のライザップ・グループが、サッカー J1湘南 を経営傘下に収めることが分かった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      優勝するまで選手は体質改善を強いられるかも「結果にコミットする」会社だから

    

         

 

昨日、夕食に「肉じゃが」と「生野菜と生ハムのサラダ」を作りました 「肉じゃが」を作るのは今回が2回目です。初めての時はジャガイモを煮過ぎて溶けてしまったので、今回は気を付けました

 

     

 

          

 

昨夕、初台の新国立劇場「オペラパレス」でジュゼッペ・ヴェルディの歌劇「アイーダ」を観ました 新国立劇場は20年前の開場記念公演で この「アイーダ」を上演しましたが、今回の公演は「新国立劇場開場20周年記念特別公演」として上演されるものです

出演はアイーダ=イム・セギョン、ラダメス=ナジミディン・マヴリャーノフ、アムネリス=エカテリーナ・セメンチェク、アモナズロ=上江隼人、ランフィス=妻屋秀和、エジプト国王=久保田真澄、伝令=村上敏明、巫女=小林由佳、合唱=新国立劇場合唱団、バレエ=東京シティ・バレエ団、児童バレエ=ティアラこうとう・ジュニアバレエ団、管弦楽=東京フィル、指揮=パオロ・カリニャー二、演出・美術・衣装=フランコ・ゼフィエッリです

新国立劇場におけるゼフィレッリの演出による公演は、1998年(初演)、2003年、2008年、2013年、そして今回の2018年と5年ごとに開かれていますが、私は2008年のノルマ・ファンティ―二がアイーダを歌った公演から観ているので、今回は3回目となります

 

     

 

1869年11月、長い年月をかけたスエズ運河が完成し、エジプトはその世界的な意義を記念し祝うために首都カイロに「カイロ国立劇場」を建設し1869年11月1日にオープンしました エジプト側は杮落しの作品の作曲をヴェルディに依頼しましたが 断られたため、次善の策としてヴェルディの「リゴレット」を上演しました しかし、エジプト側はリグレットの思いが強かったのでしょう。再度アプローチした結果、ヴェルディは重い腰を上げて作曲に取り掛かり、予定されていた1871年1月の初演には間に合わなかったものの、同年11月にはほぼ完成し 12月24日のクリスマス・イヴにカイロ国立劇場で初演されたのがこの「アイーダ」(全4幕)です この公演は前評判も高く成功を収めましたが、その2週間後のスカラ座におけるイタリア初演は、ヴェルディが毎日リハーサルに立ち会い 細部にわたり指示を出した結果 大成功に終わり、ヴェルディは32回も舞台に呼び出されたと言われています

舞台は古代エジプト。エジプトの若き将軍ラダメスは、王女アムネリスに仕える敵国エチオピアの王女アイーダと密かに愛し合っている しかし、アムネリスもラダメスを愛していた。ラダメスはエチオピア軍に勝利し 凱旋するが、捕虜の中にアイーダの父アモナズロがいた アイーダは、父王の密令によってラダメスから軍事機密を聞き出し、ラダメスは謀反人として捕らえられる アムネリスはラダメスに自分を愛せば命を救おうと迫るが、彼は決然として応じない。地下牢で独り死を待つラダメスの前に、牢に忍び込んでいたアイーダが現われ、二人は永遠の愛を誓いながら死を待つ

 

     

 

人気オペラの初日公演のせいか、会場はほぼ満席です スキンヘッドも鮮やかなイタリア・ミラノ出身のパオロ・カリニャー二がオーケストラピットに入り、さっそく前奏曲の演奏に入ります

幕が開き 古代エジプトの首府メンフィスの王宮内の広間が現われますが、全体に靄がかかったような、色彩がソフトになっているような印象を受けます 目を凝らして良く見ると、舞台の手前に薄い膜が全体に張られていて、聴衆はそのスクリーンを通して舞台を観る仕掛けになっているのです 客席から観ると、舞台上の出来事が遠い過去の物語を観ているような、写真で言えばセピア色の画像を見ているような印象を受けます それが演出上の狙いなのだと思いますが、このプロダクションの大きな特徴と言えます

アイーダを歌ったイム・セギョンは、ウィーン国立歌劇場、ヴェローナ野外劇場などで活躍する韓国出身のソプラノですが、小柄な身体からよくもあんなに合唱を乗り越えて届くドラマティックな声が出せるものだと感心するくらい声量もあり力強くもあります

ラダメスを歌ったナジミティン・マヴリャーノフは、2010年からモスクワのスタニスラフスキー歌劇場の専属歌手を務めるウズベキスタン出身のテノールですが、甘くも力強いテノールで発声に無理がありません

さて、今回最も強く印象に残ったのは、アムネリスを歌ったエカテリーナ・セメンチェクです 最近ではザルツブルク音楽祭や英国ロイヤルオペラなどで活躍しているロシア出身のメゾソプラノですが、「ドラマティック・メゾソプラノ」という言葉があるとすれば、まさにピッタリの底力のある(ぶっちゃけた言い方をすれば”ドスの効いた”)歌唱力の持ち主です 彼女の良い所は、嫉妬深く、求める男を得るためなら何でもやる というアムネリスの性格を、卓越した歌と演技力によって体現しているところです

アモナズロを歌った上江隼人は自国の国民を助けるために娘アイーダに厳しくあたるエチオピア国王を見事に演じ 歌いました ランフィスを歌った妻屋秀和はどんな役をやってもサマになるバスで、存在感抜群でした


     


さて、ゼフィレッリの演出による「アイーダ」の大きな特徴は、スケールの大きさと絢爛豪華な舞台美術です そのハイライトは第2幕第2場における凱旋の場面です 舞台上に吹奏楽器(アイーダ・トランペット)で凱旋行進曲を吹く楽手を先頭に、エジプトの戦士たちが続々と現われ、国王の前を通り過ぎ、やがて舞妓たちによる舞踏(バレエ音楽)となります そして武具、神器、神像などが続いていきます。この場面では兵士、高仕官、巫女ら総勢300人を超える出演者が登場し舞台を横切っていきますが、壮観な大スペクタルは唯一無二のパフォーマンスです ステージに アル・イオパレーナとダンディ・ルースターが登場した時は、満場の聴衆の驚きの表情が見えるようでした あっ、これは馬の名前です。騎手を乗せた馬が2頭登場し舞台上でぐるりと回って去って行きました すぐそばで大きな音が鳴り響いている中、全く動じることなく粛々と役割を果たす彼らを見て 良く訓練されているものだと感心します この場面で馬が興奮して暴れ出したら ホースアウト です

バレエと言えば、第2幕第1場の「小さなムーア人奴隷の踊り」を踊ったティアラこうとう・ジュニアバレエ団のパフォーマンスも良かったし、第2幕第2場でバレエを踊った東京シティ・バレエ団のパフォーマンスは本当に素晴らしく 感動を覚えました オペラの中で踊られるバレエで これほど拍手がなかなか止まない公演も珍しいでしょう グランド・オペラならではです

最後に、今回指揮をとったカリニャー二を挙げないわけにはいかないでしょう どこまでも歌手に寄り添い、また、時にはオーケストラにアイーダの切ない想いを、ラダメスの無念の想いを、アムネリスの嫉妬心を語らせていました 東京フィルの面々も指揮者の要求にしっかりと応えていました。また、いつものごとく、新国立劇場合唱団の合唱は天下一品でした

新国立劇場でのゼフィレッリ演出による「アイーダ」は上記の通り5年ごとに上演されています。予定通りいけば次回の上演は2023年になるはず その時に生きている自信のないオペラファンは、是非今シーズン中にご覧になることをお薦めします 上演スケジュールは4月8日、11日、14日、17日、20日、22日の6回で、20日(18時開演)以外は14時開演となっています 上演時間は3回の休憩を含めて3時間50分です。今なら終演後に スポンサーから モコタロが舐めようとしているビールがもらえます

 

     

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