人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

N響C定期でベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」「交響曲第4番」を聴く~90歳の名伯楽ブロムシュテットと今年で公開演奏から引退するマリア・ジョアン・ピレシュによる充実の演奏

2018年04月22日 07時48分04秒 | 日記

22日(日)。わが家に来てから今日で1298日目を迎え、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、核実験と大陸間弾道ミサイル試射の中止、核実験場の廃棄を宣言した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      「核を廃棄する」とは明言してないな わが家の地雷はいつ撤去するんだろうか

 

         

 

昨日、NHKホールでNHK交響楽団第1883回定期演奏会(Cプロ)を聴きました 前日夜が読響定期公演と重なったためこの日に振り替えたものです。プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番ト長調」、②同「交響曲第4番変ロ長調」です ①のピアノ独奏はマリア・ジョアン・ピレシュ、指揮はヘルベルト・ブロムシュテットです

ピレシュは1944年7月、ポルトガルのリスボン生まれで、1960年にリスト・コンクールで優勝、1970年にブリュッセルで開かれたベートーヴェン生誕200年記念コンクールで優勝し国際的な注目を集めました N響定期への出演は3度目で、1992年にブロムシュテットとモーツアルトの「ピアノ協奏曲第17番」で共演して以来の登場とのことです 昨年10月、2018年限りで演奏旅行と公開演奏から退くことを発表しています

一方、ブロムシュテットは1927年にアメリカで生まれ、その後、両親の祖国スウェーデンに移住しました ストックホルム・フィル、オスロ・フィル、スウェーデン放送交響楽団、デンマーク放送交響楽団、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団の首席指揮者、北ドイツ放送交響楽団音楽監督などを歴任し、1998年からライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスターを務め、昨年7月に90歳の誕生日を迎えました

 

     

 

振り替え先の席は1階C15列1番、センターブロック左通路側です

オケのメンバーが配置に着きます。弦は左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴォイラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります。コンマスは伊藤亮太郎です

1曲目はベートーヴェン(1770-1827)の「ピアノ協奏曲第4番ト長調」です それまでのピアノ協奏曲は、モーツアルトの同作品の多くに見られるように、主役のピアノがなかなか登場せず、長い序奏を経て女王のように登場する形が普通だったわけですが、この曲は冒頭からピアノ独奏で開始されます 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「ロンド:ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

ブラウン系統のシックな衣装を身に着けた小柄なピレシュが 背の高いブロムシュテットとともに登場、ピアノに向かいます ステージには指揮台がありません。座って演奏するピレシュの目線と、背の高いブロムシュテットの目線とが離れすぎないようにという配慮でしょうか。ブロムシュテットはタクトを使用せず、両手で指揮をします

全体的に かなりゆったりしたテンポで音楽が進められました   ピレシュは一音一音を慈しむように丁寧に音を紡いでいきました 遅めのテンポはピレシュが求めたのでしょうか 彼女のピアノは高音がとても綺麗で一音一音が粒だっています ブロムシュテットはN響からどっしりしたドイツ的な音楽を引き出し、ピレシュを支えます

大きな拍手とブラボーに、ピレシュはベートーヴェンの「6つのバガテル」から「第5曲ト長調」を慈しむように演奏しました 「6つのバガテル」は、ベートーヴェンが作曲した最後のピアノ曲として知られています ピレシュから日本の聴衆への最後のメッセージだったのでしょうか   聴衆から温かい拍手が送られました

私はピレシュの演奏ではモーツアルトが好きです 下の写真は1974年1月~2月にイイノホールで収録されたモーツアルト「ピアノ・ソナタ全集1」のCDです 当時はマリア・ジョアオ・ピリスと表記されていました

 

     

 

下の写真は上のCDから15年後の1989年2月にハンブルグで収録されたモーツアルト「ピアノ・ソナタ全集1」のCDです

 

     

      

本題に戻ります。プログラム後半はベートーヴェン「交響曲第4番変ロ長調」です この曲は1806年に作曲されましたが、この年には「弦楽四重奏曲第7、8,9番」や「ヴァイオリン協奏曲」などの傑作が次々と作曲されました  第1楽章「アダージョ~アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

ブロムシュテットの指揮で第1楽章が開始されます この楽章は第7交響曲と同じようにリズムが主体となっていますが、ブロムシュテットの音楽作りへの瑞々しい感性に驚きます これが90歳の人間の為せる業なのか 彼の両手から紡ぎ出される音楽は若者の音楽です。オーボエ、フルート、ファゴット、クラリネットといった木管楽器群が若者の音楽に花を添えます

演奏後、会場からはもちろんのこと、オケの面々からも大きな拍手を送られて嬉しそうな表情のブロムシュテットを見ると、長年培ってきたN響との絶対的な信頼関係が 自発的な素晴らしい演奏を可能にしているのだな、と思いました

N響の定期会員の平均年齢は相当高いと思われますが、ブロムシュテットは軽くそれを上回っています 90歳にして立ったまま矍鑠たる指揮ぶりを見せるブロムシュテットの姿を見て、多くの聴衆は敬意の念とともに大きな拍手を送らざるを得ないでしょう

ところで、私が初めてプロのオーケストラを聴いたのは、若杉弘指揮読売日響の「第九」(新宿厚生年金会館・1970年代)でしたが、海外のオケを初めて聴いたのはブロムシュテット指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団のR.シュトラウス「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」他(昭和女子大 人見記念講堂・1980年代)でした   当時は東ドイツのオケだったドレスデン国立歌劇場管弦楽団の いぶし銀のような独特な響きに魅せられて、その後 何年か 来日するたびに聴きに出かけました FM放送でブラームスやR.シュトラウスの曲が流れて来た時などは、「これはドレスデンの音だ」と当てることが出来るようになりました

ブロムシュテット指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団による演奏では、やはりモーツアルトが好きです 下の写真は1973~1976年にドレスデンで収録されたモーツアルト「ディヴェルティメントK.136、K.137、K.138」「オーボエ協奏曲」「アダージョとフーガ」のCDです

 

     

 

下の写真は1982年9月にドレスデンで収録されたモーツアルト「交響曲第38番K.504」「交響曲第39番K.543」のCDです

 

     

 

ブロムシュテット+ドレスデン国立歌劇場管弦楽団によるモーツアルトは最高です

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