世相の潮目  潮 観人

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北朝鮮は米国と中国の弱点を突いて瀬戸際政策を続ける

2017年12月04日 | 現代
米国と北朝鮮の軍事的衝突は起きるのか、それは金正恩朝鮮労働党委員長の行動で決まることであり、外の誰もが知らないことです。但し、過去の経緯を振り返ってみると、その可能性の手がかりはあります。

先ず第一に、北鮮の核ミサイル開発に対して 今年9月11日国連安全保障理事会国連が満場一致で制裁を決議したことです。石油禁輸が中国、ロシアの反対で盛り込まれなかったので効果はないとの批判がありますが、内容よりも満場一致の決議の意義は大きいものがあります。過去の例でも、国連決議は何回か繰り返され、やがて有志連合軍が結成されで軍事行動を起こしています。

更に、トランプ大統領は、今回の国連決議は小さな第一歩といいましたから、これから米国独自の追加制裁が始まります。ムニューチン財務長官は国際金融面から北朝鮮の金融取引を締め付けると言いましたが、その制裁の効果が大きいでしょう。

朝鮮半島で軍事衝突が起きれば甚大な被害を受ける日本も、北鮮の核ミサイル開発を米国と共同で阻止しなければなりません。安倍首相は、国連演説で北鮮核開発一点に論点を絞り、北鮮はこれまでの理不尽な行動で核開発を進めたことを分かりやすく説明し、北朝鮮を擁護してきた中国、ロシアなども北鮮に圧力をかけるよう要請しました。

しかし、依然として中国、ロシアは北朝鮮を背後から支えています。中国が北鮮を支える理由は、第一に緩衝地帯として北鮮の存在が中国に欠かせないからであり、北鮮が崩壊して自由主義国になることは、安全保障の観点から絶対みとめられないのです。

第二に、中国は共産主義独裁国家として北鮮に親近感を持っているのです。何故なら、共産主義国としての独裁体制は、中国と北鮮は同じ体質であり、しかも独裁への反対運動を制圧することに関しては、北鮮は中国より成功しているのですから。

ロシアは、第二次大戦後、金日成が北鮮独立したとき手を貸した国であり、その後も極東での権益確保の拠点として北鮮を支援してきました。更に、現在、ロシアは米国とクリミア問題で対決しているので、北鮮に手こずる米国を困らすために北鮮の支援を止めないのです。

しかし、今回中国を訪問したトランプ大統領は、北鮮の核ミサイル開発を阻止する際の米中両国の役割について、習近平主席の間で何らかの合意がなされた疑いがあります。それは米中会談では、中国が北鮮問題で米国に協力する代わりに、米国は南シナ海問題に言及しないという取引があったと疑うのです。メディアが喧伝する両国の大型商談は、この米中の重大な合意を隠すカモフラージュに過ぎません。

では、北鮮問題解決での米国と中国の約束とは具体的に何なのか?
それは米国が北鮮の核施設を破壊する攻撃を加えたとき、中国と北鮮の軍事同盟にも拘わらず、中国は米国と北鮮の戦争に参加しないということです。

米中結託は、北鮮の最も恐れる事態です。米国が北鮮を攻撃したとき中国も北鮮の体制転換に加担されては堪りません。

北鮮は二ヶ月余り沈黙の後、11月29日大陸間弾道弾の発射実験を行いました。米国全域が射程内に入るミサイルを開発したとの脅迫は、米国が北鮮をテロ支援国家に再指定したことへの報復という意見もありますが、同時に米中結託にも屈しないとの意思表示でもあり、中国の足下をも見透かした行為です。

北鮮がここまで強気なのは、数百万人というソウル市民を北鮮は人質にとっているので、米中結託で中国の参戦がなくても、米国は北鮮を軍事攻撃出来ないと見ているからです。

米国は、米韓共同軍事訓練に最新、最強の兵器を投入して北鮮に圧力を掛けています。年末から年初にかけて、北東アジア情勢は急展開するかもしれません。
(以上)
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