世相の潮目  潮 観人

世相はうつろい易く、その底流は見極めにくい。世相の潮目を見つけて、その底流を発見したい。

北鮮の挑発で日本人の低い防衛意識は変わるか

2017年08月17日 | 政治

防衛省内に設置されている弾道ミサイルを大気圏内で迎撃するパック3地対空誘導弾発射装置

太平洋戦争の敗戦から72年、毎年のように深い反省と戦禍の再来のないことを祈る8月です。そのたびに不思議に思うのは、反戦を唱える人々が、戦争を防止し平和を確立する政策について論じることに冷淡であり、そのため彼等は戦争が起きる国際情勢に大変無知であり、その結果戦争を未然に防ぐことに無力だからです。

国家間の過酷な対立の現実を直視することを避けて、更にはその現実に対処することを論じることも嫌い、ひたすら相手との対話が大事だとだけ言うだけの平和論者を多く見かけますが、彼等こそが結局、国際紛争を戦争に追いやる人達なのです。

現実を知ること及びその対策を論じることは、反戦感情を弱めると彼等は恐れているでしょうか。悪意にとれば彼等の反戦運動は隠れた利敵行為かも知れません。嘗て米国の原爆は汚い死の灰を降らすが、ソ連と中国の原爆はキレイで安全だと言っていた政党がありました。

北鮮の核ミサイルがグアム島に届くと言って米国人が騒ぐのなら分かります。しかし日本人が大騒ぎして、そのミサイルが宇宙空間を飛ぶのに、日本上空だから危険だ、何とかしろと政府にに迫りましたが、北鮮は既に日本攻撃用のテポドンを実戦配備しているのに、それに対しては日本人の多くは少しも騒がないのです。(今回政府は地域住民の不安を緩和するために防衛能力に疑問のある対空迎撃ミサイルのパック3を配備することにしました。 写真はパック3)

戦後の日本人が、これほど防衛意識が希薄になっているのは、平和憲法の所為かもしれません。敗戦で米軍の占領下に置かれ、講和条約締結後も米軍に一方的に防衛を依存し続けて、平和憲法があるから平和なのだと考える日本人が多いのです。だから相互に防衛し合う集団的自衛権を認めるのに躊躇してきたのです。日本人の防衛意識の低さの原因は平和憲法への依存心にあります。

集団的自衛権で戦争に巻き込まれるのは日米双方とも同じリスクを負うことです。日本がリスクを嫌えば米国も嫌います。アメリカ・ファーストのトランプ政権が、日本発の国際紛争で米国がリスクを負うのを嫌えば、米国が軍事支援を躊躇するこよもあると覚悟した方がよいのです。

その場合に備えて、日本も自分の防衛はできるだけ自分で行うよう努力すべきです。折しも近日中に日米安全保障協議委員会(防衛外交2+2)が米国で行われます。日本側は河野外務大臣と小野寺防衛大臣の新陣容で臨みます。

核弾道ミサイル開発を巡り米朝の舌戦が激化している中、日本が自前で北鮮の核攻撃への対抗力を強めるべきだとの議論もでるでしょう。

既に自民党安全保障調査会では敵基地攻撃能力の保有を政府に提言済みです。それを取りまとめたのは就任前の小野寺新防衛大臣でした。その内容は、防衛省は敵国の弾道ミサイル発射基地などを攻撃する兵力を保有する必要があるとして、艦載巡航ミサイル・トマホークの配備と、戦闘機の空対地ミサイル装備を挙げています。

敵基地攻撃というと、平和憲法護持の反戦論者からは専守防衛の憲法に違反するとの声が揚がりますが、戦後の早い時期(1956年)、鳩山一郎総理は日本への攻撃を防ぐのに他に手段がない場合、座して死を待つよりも、敵のミサイル基地をたたくことは自衛権の一部だと国会答弁しています。今更問題にもなりません。

皮肉な見方をすれば、北鮮の金正恩の行動は、日本人の防衛意識を高める契機になるかもすれません。不幸中の幸いです。
(以上)
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