英国に戻ると、90年代の英国で仲良くなった

 

韓国人の友人たちのことを思い出します。

 

1960年代生まれの彼らとは、

 

割と何でも話し合える間柄でした。

 

ほとんどが女性で、中には日本語を話す人もいました。

 

特に仲良くなった2名の男性の一人は兵役を免除されるほどの科学者K氏でした。

 

もう一人はアメリカから渡って来た人物で、英国人女性と結婚していたP氏。

 

3人で酒を飲む間柄でしたが、ネット社会になる直前の付き合いというのは、

 

誰かが居場所を変えると突然疎遠になってしまうことも少なくありませんでした。

 

つまり、彼らとは20年以上の音信不通が続いています。

 

純粋な韓国人Kと、韓国、アメリカ、そして英国を体験して韓国人Pとの両者ですが、それぞれが英国での永住権が与えられていました。Pは英人と結婚していたからでしょうけど、Kの場合はよく判りません。科学者や技術者には相当に優秀であったり、英国に貢献していたりすると、稀に特別な居住権を与えられることがあります。

 

彼らとの語り合いで最も印象的だったのは、科学者Kが述べたこと。

 

「我々、東アジアではナショナリズムは盛んだが、パトリオティズム(愛国主義)がその背景にあるわけではない」

 

当方は、当時次のように反応したと記憶しています。

 

「ナショナリズムには広義で愛国主義も含まれるけど、Kが言う意味は、愛国主義者でなくても、ナショナリズムを主張するということだな?」

 

Kの応えは、

 

「そう、そのとおりだ。ナショナリストたちの背景になる考えは、自分の共同体を他者から守ることだ。民族主義とか、国家主義とか、国民主義とか聞こえの好い言葉を使う人たちは、実際には別の利益を考えて人々を先導していると思う。だけど、そういう奴らは、自分の国のことが必ずしも好きではない。好きになる本質的な理由があって、何々主義的な活動をすると、言うのであれば愛国主義者かもと言ってやっても良いけどな…」

 

Pの反応は、

 

「俺は韓国生まれだけど、韓国に戻りたいと思わない。たまに帰るけど、いつも疎外されているような気分になる。いや、むしろ俺の方が韓国を避けたいと願っているのかもしれない。アメリカでも韓国社会には同化しなかったし…。でも、俺のアイデンティティには韓国文化も含まれていると感じるよ」

 

何度か述べたことですが、日中韓の東アジア人同士は外国で知り合うととても仲良くなります。その背景にあるのは、我々には自国に対する愛国心が無いことかな?と、考えることがあります。あるいは、自国文化の呪縛から放たれた解放感を英国などの外国で享受している。

 

当方が英国生活を始めた80年代、自分は英語が話せても、日本のことを何も知らないなあ。と感じました。日本のことと言えば、当時の職業柄のせいか、経済摩擦や円の強さばかりが話題になっていました。そして、「マネーだけの空っぽの国だ」と、ある有名な英国人アナリストに揶揄されたことが悔しくて、理論武装するために日本について学び直そうと思ったと記憶しています。

 

その悔しさとは愛国心から滲み出たのではないか、と思っていましたが、日系企業に勤める以上、日系共同体を守るという理由では愛国心には繋がらないような気もしていました。でも、自分を育ててくれた国が、何も知らない奴に貶(けな)されるのは耐えられません。

 

日韓以外の国に居てこそ、判って来る国の姿もあるのですね。現在韓国に棲んでいて、多くの民主デモを眺めている限り、韓国人には権力や外圧への反発や反感を抱えた国粋主義はあっても、その深みには愛国心が感じられないのは、当方だけでしょうか? 当方の知る限り、外国で知り合った日中韓人は総じて言います。「出来れば、自分の国に帰りたくはない」しかし、韓国にしか居住権の無い人たちはどうでしょうか?

 

例えのひとつとして、高度な自死率などの背景から、彼らは自分の国での将来を見失っているようにも思えます。逆に言えば、この国に属する以上は、民主的にこの国を良くしないといけないという激しい義務感はあっても、この国からオサラバできるのであれば、そんな義務感は持ちたくない…のかもしれません。

 

当方の述べるところは、在韓の各国外交政治部でも話題に登ることのようです。

 

つまり、韓国の行政や議員からも愛国心に欠けた国粋主義を感じるそうです。

 

そして、個々人がどんなに頑張っても世の中を変えられないという諦観がとても危険に感じるとのことです。

 

当方に言わせれば、日本も含めて、韓中の東アジアの人々は、頑張る方向性ややり方が違うんではないか、という気がしています。

 

ともかく、今のKとPに会って彼らの意見も聞きたいです。

 

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