沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

広域組合を設立するための中北清掃組合に対する浦添市の条件を考える

2016-10-24 08:58:47 | ごみ処理計画

ゲストの皆様へ  

このブログは、当分の間、下の資料にある問題を解決するために管理をして行く予定です。 なお、この問題を県が放置していた場合は、県に対する県内の市町村、そして県民の信頼を著しく損なうおそれがあると考えています。  

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平成28年度も、あと5ヶ月程度になってきました。そこで、今日は広域組合を設立するための中城村北中城村清掃事務組合(以下「中北清掃組合」という)に対する浦添市の条件を改めて考えてみることにします。

まず、下の画像(3つ)をご覧下さい。

これは、市町村が行うごみ処理施設の整備(新設、長寿命化、更新等)に対して国が与える財政的援助の条件を整理した資料です。 

この資料は、平成17年度に創設された循環型社会形成推進交付金の定義と地域計画の作成に関するものですが、平成28年4月1日から、地域計画を作成する場合は「廃棄物処理法の基本方針」だけでなく、「循環型社会形成推進基本計画」と「廃棄物処理施設整備計画」との整合性を確保することが条件として追加されています。

(注)ごみ処理に関して市町村が作成する計画は「一般廃棄物処理計画」に従って作成することになっているので、地域計画と「一般廃棄物処理計画」との整合性も確保しなければなりません。

この資料は、平成25年度に政府が閣議決定している「循環型社会形成推進基本計画(第3次)」と「廃棄物処理施設整備計画」における最終処分場の整備とごみ処理施設の長寿命化に関する部分を抜粋したものです。この資料で重要なのは、市町村に対する国の財政的援助が廃棄物処理法第5条の4の規定を根拠にして行われていることです。つまり、環境省だけでなく防衛省等も、市町村の計画がこの2つの計画に適合しない場合は、財政的援助を与えることができないことになっています。なお、沖縄県は中北清掃組合に対して平成25年の5月以降に溶融炉の休止と焼却灰の民間委託処分を容認する技術的援助を与えているので、県はこの2つの閣議決定事項を無視していることになります。

(注)沖縄県の場合は、ごみ処理施設の整備に当って防衛省の補助金を利用できる市町村が数多くありますが、防衛省であっても閣議決定事項を無視して市町村に財政的援助を与えることはできません。

この資料は、平成13年度に公表された廃棄物処理法の基本方針と、その後の変更内容を整理したものですが、地域ごとに必要となる最終処分場を整備することは、はじめから決定していました。そして、平成22年度からはごみ処理施設の長寿命化を図ることが追加されています。

(注)沖縄県は、中北清掃組合に対する技術的援助に当たって、この廃棄物処理法の基本方針も無視しています。 

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下の画像は、地方公共団体に対する国家公務員の技術的援助と財政的援助に関する「掟」を整理した資料です。


このように、国家公務員は地域ごとに必要となる最終処分場の整備やごみ処理施設の長寿命化を放棄している市町村に対して財政的援助を与えることはできないことになっています。

(注)都道府県は市町村に対する国の財政的援助に関する事務を第1号法定受託事務として遂行しているので、国の補助制度の内容(趣旨及び要件等)を市町村に対してできる限り正確に周知する責務があります。

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下の画像は、前の記事でも使用した浦添市と中北清掃組合が溶融炉を整備したときからの最終処分量の違いを整理した資料です。 

このように、浦添市は溶融炉を整備してからずっと廃棄物処理法の基本方針に適合するごみ処理を行っていますが、中北清掃組合は溶融炉を整備してからずっと廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理を行っていることになります。そして、沖縄県はその中北清掃組合に対して廃棄物処理法の基本方針を無視した技術的援助を与えています。なお、浦添市は平成24年度(供用開始から11年目)に溶融炉の長寿命化を実施していますが、中北清掃組合は沖縄県の技術的援助に従って長寿命化を実施しないまま平成26年度(供用開始から12年目)に溶融炉を休止しています。

(注)市町村にとって溶融炉は最終処分場の代替施設という位置付けになります。このため、中北清掃組合は平成15年度に国の補助金を利用して整備した最終処分場の延命化を図るために一部の廃棄物を民間に委託して処分していたことになります。そして、平成26年からは最終処分場の運用を放棄して全ての廃棄物を民間に委託して処分していることになります。 

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下の画像は、国から見た場合の浦添市と中北清掃組合に対する評価を整理した資料です。

このように、浦添市と中北清掃組合は、どちらも焼却炉と溶融炉を整備している自治体であり最終処分場を整備していない自治体になります。しかし、既存施設の管理や運用、そして、最終処分に関する事務処理についてはまったく異なる考え方をしています。

(注)沖縄県は、中北清掃組合が国の補助金を利用するときに廃棄物処理法の基本方針に適合する地域計画を作成してごみ処理計画の見直しを行えばよいと考えているようですが、それが可能であるとすれば、浦添市は無駄な努力をしていることになります。そして、浦添市は最終処分ゼロを継続する根拠を失うことになります。

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下の画像は、中北清掃組合が溶融炉を廃止して焼却灰の民間委託処分を行いながら自主財源により焼却炉の長寿命化を実施した場合を想定して作成した資料です。

中北清掃組合が溶融炉を廃止しても焼却灰の民間委託処分を行っている場合は、廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理を行っていることになるので、既存施設の長寿命化を行う場合であっても国の財政的援助を受けることはできないことになります。また、最終処分場の整備を行わずに国の財政的援助を受けて整備した溶融炉を廃止している(長寿命化を行っていない)ので、ごみ処理施設の更新を行う場合も国の財政的援助を受けることはできないことになります。

(注)国から見た中北清掃組合は、自主財源により焼却炉の長寿命化を行っている場合であっても、廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理を行っている(地域ごとに必要となる最終処分場を整備していない)自治体であり、善良な管理者の注意をもってごみ処理施設の管理を行っていない自治体という評価になります。

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下の画像は、浦添市と中北清掃組合に対する国の評価を一番シンプルにまとめた資料です。

このように、浦添市が中北清掃組合と広域組合を設立すると、その広域組合は国から中北清掃組合と同じ評価を受けることになります。したがって、国はそのような「前科」のある自治体に対して財政的援助を与えることはできないことになります。仮に、国の職員がそのような「前科」のある自治体に対して財政的援助を与えた場合は「全体の奉仕者」ではなく「一部の奉仕者」として事務を遂行していることになります。そして、国は沖縄県の一部の自治体に対して他の都道府県の自治体には与えていない特別な財政的援助を与えていることになります。

(注)中北清掃組合が国の財政的援助を受けずにごみ処理施設を整備している場合は、広域組合を設立してもこのような評価を受けることはありません。

<国家公務員法第96条第1項>

すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。

<補助金適正化法第3条第1項>

各省各庁の長は、その所掌の補助金等に係る予算の執行に当っては、補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに特に留意し、補助金等が法令及び予算で定めるところに従って公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。

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下の画像は、浦添市から見た中北清掃組合の問題点を整理した資料です。

中北清掃組合の焼却炉がストーカ炉であれば、浦添市のノウハウを生かしてこれらの問題を解決できる可能性がありますが、流動床炉であるためにその可能性は極めて低い状況になっています。浦添市が中北清掃組合と広域組合を設立すると、中北清掃組合が所有している既存施設は広域組合の既存施設になります。したがって、浦添市は広域組合を設立する前に、これらの問題を解決しておかなければならないことになります。

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ということで、ここから本題に入ります。

なお、ここにある中北清掃組合に対する浦添市の条件は、広域組合を設立するために作成する地域計画には既存施設に対する計画は含めない前提になっています。なぜなら、既存施設に対する計画を地域計画に含めると、広域施設の整備が大幅に遅れることになるからです。

下の画像は、法令違反の是正に関する条件です。 

中北清掃組合が地方財政法第8条の規定に違反していない場合は、処分制限期間を経過した溶融炉の効率的な運用を行うために長寿命化を実施した浦添市が違反していることになってしまいます。したがって、この条件を外す訳にはいきません。

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下の画像も、法令違反の是正に関する条件です。

中北清掃組合が補助金適正化法第22条の規定に違反していない場合は、溶融炉だけでなく焼却炉を休止して建物内に放置しておいても違反しないことになります。その場合、他の市町村が同様のことをしても違反しないことになるので、環境大臣が定めている廃棄物処理法の基本方針や政府が閣議決定している循環型社会形成推進基本計画、廃棄物処理施設整備計画等は実現性の乏しい計画になってしまいます。そして、公共施設の長寿命化に関する国の施策は完全に崩壊することになります。

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下の画像は、既存施設の長寿命化に関する条件です。

中北清掃組合の既存施設が長寿命化を実施することが無意味なほど老朽化している場合は、この条件は除外することができます。しかし、同組合の既存施設はまだ一度も長寿命化を実施したことのない比較的新しい施設です。したがって、浦添市が実施したように所有財産の効率的な運用を行うために、この条件も外せないことになります。

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下の画像は、中北清掃組合のごみ処理計画の見直しに関する条件です。

広域組合を設立するための地域計画が廃棄物処理法の基本方針に適合していない場合は、広域施設の整備に当たって国の財政的援助を受けることはできないことになります。そして、環境省が作成した地域計画作成マニュアルにあるように、地域計画とごみ処理計画との整合性を確保しなければならないので、廃棄物処理法の基本方針に適合していない中北清掃組合のごみ処理計画の見直しも外せない条件になります。

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下の画像は、廃棄物処理法第6条第3項の規定を遵守するための条件です。

そもそも、広域組合を構成している関係市町村のごみ処理計画がバラバラの計画になっていたら広域組合を設立するための地域計画を作成することはできません。それ以前に、廃棄物処理法第6条第3項の規定に違反することになります。したがって、この条件も外せないことになります。

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下の画像は、最終処分ゼロの達成又は最終処分場の整備に関する条件です。

市町村が最終処分場の整備をゼロからスタートする場合、完成するまでに最低でも5年くらいはかかります。しかし、浦添市はそれまで待てないはずです。したがって、最終処分場の整備については条件から除外することになると考えます。

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下の画像は、最終処分場の整備を除外した場合の条件になります。

中北清掃組合は浦添市と同様に最終処分場を整備していない自治体なので、浦添市と同様に最終処分ゼロを達成できる措置を講じなければ広域組合を設立することはできないことになります。しかし、中北清掃組合はこれまで一度も最終処分ゼロを達成したことがないので、この条件は組合にとってはかなり厳しい条件になります。

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下の画像は、最終処分ゼロに関する条件です。

最終処分ゼロについては、浦添市と同様に継続することが大前提になります。したがって、浦添市としては中北清掃組合がどのような措置を講じる場合であっても、慎重に検証する必要があります。

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下の画像は、最後の条件になります。

実は、中北清掃組合に対する浦添市の条件は、実際にはこの条件だけになります。なぜなら、(1)から(8)までの条件は、浦添市の財政に累を及ぼさないようにするための条件だからです。

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下の画像は、浦添市の財政に累を及ぼす(損害を与える)ような施策を整理した資料です。

沖縄県が、中北清掃組合との広域処理について、浦添市に対してどのような技術的援助を与えているのかは分かりませんが、浦添市としては県の技術的援助よりも自らの判断で自治事務に対するリスク管理を行わなければならないと考えます。 

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下の画像は、中北清掃組合に対する9つの条件を1つにまとめたものです。

この中で、(6)は非現実的な条件になるので、除外することができます。そして、(3)と(7)と(8)が最も重要な条件になります。

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下の画像は、市町村がごみ処理施設における設備の長寿命化を回避することができる場合とできない場合を整理した資料です。

このように、設備の長寿命化を回避することができる場合は、客観的に見て合理的な理由(やむを得ない理由)がある場合に限られています。なお、市町村合併や広域処理を行う場合であっても、既存施設については新たな組織がそのまま引き継ぐことになるので、客観的に見て合理的な理由(やむを得ない理由)がない場合は、長寿命化を行うことになります。

(注)沖縄県は中北清掃組合に対して、(3)と(4)のケースに該当するということで、溶融炉の長寿命化を免除して休止を認める技術的援助を与えていますが、そもそも都道府県にそのような権限は与えられていません。

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下の画像は、浦添市と中北清掃組合が置かれている立場とごみ処理計画との関係を整理した資料です。

浦添市と中北清掃組合は、上の資料の下段に該当します。そして、浦添市は焼却炉と溶融炉の長寿命化を実施して最終処分ゼロを継続しています。しかし、中北清掃組合は溶融炉を休止して焼却灰の民間委託処分を行っています。そして、焼却炉の長寿命化も実施していません。また、最終処分場の整備も放棄しています。したがって、中北清掃組合はごみ処理計画を見直して浦添市のごみ処理計画との調和を確保しなければならないことになります。なお、上の資料の上段に該当する市町村は、溶融炉を整備する必要のなかった平成8年度以前にごみ処理施設を整備している市町村になります。

(注)中北清掃組合が、上の資料の上段に該当する場合は焼却炉の老朽化が進んでいることになるので、広域組合を設立する場合は広域施設の整備に関する地域計画を作成すればよいことになります。

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下の画像は、中北清掃組合が浦添市との広域処理を推進することを前提にした場合に、沖縄県が与える技術的援助を想定して作成した資料です。

休止している中北清掃組合の溶融炉が、国内で稼動している事例や長寿命化が行われている事例のない溶融炉であること、そして、浦添市の財政に累を及ぼすような施策を行うことはできないことを考えると、同組合に対する沖縄県の技術的援助はこのような内容になると考えています。

(注)中北清掃組合が溶融炉を廃止するために代替措置を講じることは、法制度上、同組合の自治事務になるので、国や県は同組合の自主性を尊重しなければならないことになります。

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下の画像は、広域組合を設立するまでに実施する必要があると考えられる中北清掃組合の事務処理を整理した資料です。

焼却炉の長寿命化を行う時期が遅れると、広域組合を設立する時期も遅れることになり、結果的に浦添市の財政に累を及ぼすような施策を行うことになってしまいます。その意味では平成30年度(供用開始から16年目)が長寿命化を行うタイムリミットになると考えます。その場合、平成29年度には代替措置を講じて溶融炉を廃止しなければならないことになります。したがって、その場合は平成28年度中に上の資料にある4つの事務処理を行うことになります。

(注)浦添市は平成29年度から広域組合を設立するための地域計画の策定に着手して平成31年度には広域組合を設立する予定でいます。

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最後に、下の画像(2つ)をご覧下さい。

これは、中北清掃組合が溶融炉を廃止するために自主的に代替措置を講じる場合の注意点を整理した資料です。

中北清掃組合が講じる代替措置は、「循環資源の処分」ではなく「循環資源の利用」に関する事務処理になるので、国(環境省)や県の担当部局は上段の部局ではなく下段の部局になります。

(注)「循環資源の利用」に関して中北清掃組合が上段の部局に技術的援助を求めると、代替措置を講じることはほぼ不可能になります。なぜなら、上段の部局には「循環資源の処分」に関するノウハウはあっても「循環資源の利用」に関するノウハウはないからです。したがって、ほぼ100%最終処分場の整備を求められることになります。

中北清掃組合が講じる代替措置は、市町村が循環基本法の規定に従って「一般廃棄物系の循環資源の利用」を推進する事務処理になるので、原則として、国や都道府県は関与できない事務処理になります。一方、民間が行う「産業廃棄物系の循環資源の利用」については、都道府県が環境省が作成した「行政処分の指針」に基づいて廃棄物該当性判断等を行うことなっています。このため、民間が行う「産業廃棄物系の循環資源の利用」については、国や都道府県から直接的な関与を受けることになります。

(注)市町村が「一般廃棄系の循環資源の利用」について、1つ前にある資料の上段にある部局に技術的援助を求めると、「行政処分の指針」を適用した過剰な関与を受ける(民間と同じ扱いを受ける)恐れがあるので、十分な注意が必要です。

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広域処理の成功を祈ります。


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