沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

改めて中北組合に対する沖縄県の不適正な技術的援助を考える(その6)※設備の長寿命化

2016-07-29 10:35:04 | ごみ処理計画

その6は、設備の長寿命化について書きます。

下の画像(3つ)は、その5の記事で使用した資料(1つ目)と、この記事のために新しく作成した資料です。

このように、国は処分制限期間を経過した設備を長寿命化の対象にしています。そして、長寿命化に関係する耐用年数の中では、法定耐用年数が最も短い期間になります。そして、物理的耐用年数が最も長い期間になります。

これは、長寿命化に関連する耐用年数の定義を整理した資料です。このうち、目標耐用年数については目標使用期間という表現が使われることもありますが、いずれにしても国は長寿命化については「できる限り目標耐用年数に到達するまで所有財産を運用する行為」と考えています。

処分制限期間というのは、単に補助金の返還義務が消滅する期間でしかありません。ごみ処理施設だけでなく地方公共団体が所有している財産には自主財源が投入されています。そして、その自主財源は住民が負担しています。したがって、住民負担を軽減して福祉の増進を図るために目標耐用年数が経過するまでは地方公共団体が所有している財産の効率的な運用を継続する必要があることから地方財政法第8条の規定が適用されることになっています。

原寸大の資料

  

下の画像は、沖縄県が平成26年3月に策定した「沖縄県ファシリティマネジメント導入基本方針」から抜粋した資料です。ちなみに、「ファシリティマネジメント」いうのは簡単に言えば「長寿命化」のことです。

(注)県がこの計画を策定した時期は中北組合が県の技術的援助に従ってごみ処理計画を改正して溶融炉を休止した時期とほぼ同じ時期になります。

沖縄県ファシリティマネジメント導入基本方針(平成26年3月)

このように、県は県が所有している財産については長寿命化が必要であるという判断をしています。

このように、県は建物だけでなく設備も長寿命化が必要な財産としています。

このように、県は県が所有している財産(設備を含む)については長寿命化を推進するとしています。

原寸大の資料(画像をクリック)

  

下の画像(3つ)は、その5で使用した資料(1つ目)と、この記事のために新しく作成した資料です。

このように、県は県の長寿命化に対する基本方針を策定した頃に、中北組合に対しては地方財政法第8条の規定を除外して、設備の長寿命化を免除する技術的援助を与えています。

県は県が所有している財産については国の考え方に従って長寿命化を推進する方針を決定していますが、市町村に対しては全く異なる技術的援助を与えています。そして、市町村が設備の長寿命化を拒否しても新たに設備を整備するときは、ごみ処理計画を改正することによって国の補助金を利用することができるという、誰が考えても不誠実な技術的援助を与えています。

このように、県は中北組合に対して、補助金の返還義務が消滅した時点で地方財政法第8条の規定も適用されなくなるという法令に基づく根拠のない技術的援助を与えていることになります。そして、中北組合は県の技術的援助に従って溶融炉の長寿命化を拒否して休止(所有財産の運用を放棄)しています。

  

下の画像(3つ)は、その5で使用した資料(1つ目)と、この記事のために新しく作成した資料です。

県が中北組合に対して技術的援助を与えたときは、他の市町村との広域処理は検討課題から除外していました。したがって、県の技術的援助は広域処理とは無関係ということになります。しかし、県は他の市町村には中北組合と同じような技術的援助は与えていません。

中北組合に対して技術的援助を与えているのは県の環境部になりますが、環境部は中北組合に対して県の考え方と異なる技術的援助を与えています。そして、他の市町村にはこのような技術的援助は与えていません。そうなると、この技術的援助は「過失」ではなく「「故意」による技術的援助と考えざるを得ない状況になってきます。

このブログの管理者は、中北組合に対する環境部の技術的援助において一番大きな問題は、県が自ら定めている廃棄物処理計画の達成を図るための責務を放棄していることだと考えています。なぜなら、中北組合に対する技術的援助(助言)は県が意図的に県の廃棄物処理計画との関係性を無視して国と対立する形で事務処理を行っていることになるからです。ちなみに「意図的」と「故意」はほぼ同義語です。

(注)県が策定した廃棄物処理計画は、①市町村との連携・協力体制を強化して、②溶融炉の整備を推進しながら最終処分場の延命化を図る計画になっています。しかし、県は中北組合に対して溶融炉の休止と焼却灰の委託処分を認める技術的援助を与えることで、中北組合との連携・協力体制を自ら解消しています。

原寸大の資料(画像をクリック)

  

下の画像は、廃棄物処理法第5条の6の規定に対する国の措置と沖縄県の措置の関係を整理した資料です。

沖縄県廃棄物処理計画は廃棄物処理法の基本方針に即して策定しているので、基本的には国と県の施策は同様の施策になります。そして、どちらの施策もごみ処理施設の長寿命化を推進する施策になっています。しかし、沖縄県の環境部は中北組合に対して設備の長寿命化を免除しています。したがって、県は国と対立する措置を講じていることになるので、廃棄物処理法第5条の6の規定に違反していることになります。 

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像(2つ)は、少し前の記事で使用した環境省が公表している全国の市町村における一般廃棄物の処理に関する実態調査の結果から中北組合の溶融炉に関する部分を抜粋した資料です。

これは、平成25年度における中北組合のごみ処理の実態になりますが、中北組合は溶融炉を整備していることになっています。もちろん、これは本当の実態です。

これは、平成26年度の中北組合のごみ処理の実態になりますが、中北組合は溶融炉を休止している自治体ではなく、溶融炉を整備していない自治体ということになっています。この場合、中北組合は地方財政法第8条の規定に違反していないことになりますが、本当の実態は違反しています。したがって、これは明らかに虚偽のある実態ということになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

下の画像も、少し前の記事で使用した県(環境部)が公表している平成25年度と平成26年度の沖縄県の廃棄物対策の概要から抜粋した資料です。

このように、環境部は平成25度においてごみ処理施設が1つ減っていることは公表していますが、中北組合の溶融炉については平成26年度においても稼動していると公表しています。そして、焼却灰の溶融スラグ化も行っていると公表しています。したがって、中北組合は対外的には溶融炉を休止していないことになります。つまり、地方財政法第8条の規定に違反していないことになります。

(注)環境部が平成26年度における中北組合の本当の実態を公表すると、中北組合が地方財政法第8条の規定に違反して所有財産の効率的な運用を放棄(溶融炉を休止)している事実が公になることになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像は、廃棄物処理法に基づく沖縄県民の責務を整理した資料です。 

このように、沖縄県民は国民の責務として国や県の施策に協力しなければならないことになっています。しかし、中城村や北中城村、そして浦添市の住民から見た場合は、国と県が異なる施策を行っていて対立していることになります。そして、中城村や北中城村の住民は県の施策に協力しているが国の施策には協力していないことになります。一方、浦添市の住民は市がごみ処理施設の長寿命化を行っているので、その逆になります。

中城村と北中城村の住民は、行政から「運転経費が高いので県の指導に従って溶融炉を休止した」といった趣旨の説明を受ければ、良い施策なので協力するという判断になると思います。しかし、そのことによって焼却炉の更新を行うときに国の補助金を利用することができない状況になっていることを知った場合は大きな問題になると考えています。なぜなら、溶融炉を休止することで削減できる経費よりも、焼却炉の更新によって増加する経費の方が遥かに多くなるからです。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

下の画像は、中北組合が法令違反を是正しなかったことにより広域処理が白紙撤回になった場合を想定して作成した資料です。 

このブログの管理者は、県が中北組合に対して与えた技術的援助と同じ技術的援助を他の市町村に対して与えていないことが、県の技術的援助が不適正であることの証になると考えています。しかし、このまま県が国と対立して県の責務を果たさずにいると、中北組合は国の財政的援助を受けられないことになるので、結果的に中城村と北中城村の住民に過大な財政負担を強いることになってしまいます。

(注)中城村と北中城村の住民は県の施策に協力したつもりでいるはずなので、黙って納得するとは思えません。おそらく、国に代わって県に財政的援助を求めることになると思います。したがって、法令違反は早急に是正する必要があると考えています。 

原寸大の資料(画像をクリック) 

下の画像(2つ)は、その法令違反を1日も早く是正するために作成した資料です。

平成28年度はインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」の策定期限になっているので、県が中北組合に対する技術的援助を適正と判断している場合であっても法令に違反する不適正な「行動計画」を策定することになります。そうなれな浦添市との広域処理は間違いなく白紙撤回になります。したがって、広域処理を推進するためには県が県の技術的援助が不適正であったことを認めて適正化を図る必要があります。

このように、まず、①法令違反を是正して、②更なる法令違反にならないように注意をしながら、③基本方針に適合する「行動計画」を策定すれば、広域処理を推進することができるようになります。なお、ごみ処理計画の見直しは「行動計画」の策定と同時に行えば経費を軽減することができます。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

ここからは、広域処理を前提とした長寿命化について書きます。

下の画像(2つ)は、中北組合が策定する「行動計画」における既存施設に対する施策を整理した資料です。

このように、地方財政法第8条の規定を前提にした場合は、「行動計画」の策定に当って「休止」という選択肢はありません。また、中北組合はこれまでに一度も設備の長寿命化を行っていないので、長寿命化を回避することはできません。そうなると、設備の長寿命化を回避するためには廃止するしかないことになります。ただし、設備を廃止する場合は廃棄物処理法の基本方針に適合する代替措置を講じる必要があります。なぜなら、代替措置を講じなければ基本方針に適合する「行動計画」を策定することができないからです。

このように、一般廃棄物の焼却炉については代替措置を講じて廃止することができないので、長寿命化を行うことになります。また、溶融炉を再稼動して長寿命化を行う選択肢は、他の市町村との広域処理を前提にした場合は選択肢になりません。なぜなら、浦添市の財政に累を及ぼすような施策(地方財政法第2条第1項の規定に違反する施策)になるからです。したがって、溶融炉については廃止するしか選択肢はないことになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

下の画像(2つ)は、中北組合が溶融炉を廃止する前提で作成した資料です。

中北組合は地方公共団体ですから、速やかに法令違反を是正しなければなりません。しかし、広域処理を前提にした場合は溶融炉の再稼動を行うことはできないので、廃止するために早急に代替措置を講じる必要があります。また、浦添市のことを考えた場合は遅くとも平成30年度には焼却炉の長寿命化を行う必要があります。なぜなら、平成30年度で供用開始から16年目になるからです。また。平成31年度には広域組合を設立して焼却炉を無償譲渡することになるからです。したがって、平成29年度には代替措置を講じて溶融炉を廃止しなければならないことになります。

広域処理を前提にしなければ、焼却灰の資源化を外部委託して溶融炉を廃止するという選択肢もありますが、この施策は間違いなく浦添市の財政に累を及ぼすような施策(地方財政法第2条第1項の規定に違反する施策)になります。したがって、中北組合にとっては、そして浦添市にとっても、選択肢は1つ前の資料にある選択肢しか残っていないことになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

下の画像(2つ)は、浦添市の立場になって作成した資料です。

一般的に考えて、設備の長寿命化を実施している浦添市はコンプライアンス意識が高い方の自治体ですが、長寿命化を拒否して法令違反を2年以上も続けている中北組合は失礼ながらコンプライアンス意識が低い方の自治体ということになります。したがって、浦添市としては「あり得ない」ことも想定して広域処理に対するリスクチェックを行わなければならないことになります。

中北組合が関係法令を遵守して廃棄物処理法の基本方針に適合する「行動計画」を策定すれば、浦添市としてはほぼノーリスクになります。しかし、中北組合が2年以上も法令に違反して、廃棄物処理法の基本方針に適合しない事務処理を行ってきたことを考えると、議会や市民の理解と協力を得るために、このくらいのことはチェックしなければならないと考えます。

この資料は、このブログの管理者が浦添市の職員だったらという前提で作成したものです。中北組合だけでなく浦添市も今年度中に「行動計画」を策定しなければなりません。もちろん、その「行動計画」は中北組合との広域処理を前提にした計画になります。しかし、まだ広域組合は設立していないので「行動計画」は別々に策定することになります。そうなると、浦添市としてはこのくらいの「根拠」を作っておかなければならないと考えます。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

下の画像(2つ)は、広域処理が白紙撤回になった場合に中北組合が策定することになる「行動計画」の選択肢を整理した資料です。 

中北組合の焼却炉がストーカ炉であれば、広域処理においてもこの施策は選択肢として残ることになりますが、中北組合の焼却炉は流動床炉なので、少なくとも広域処理を前提にした場合は選択肢になりません。しかし、単独更新の場合であってもリスクが軽減される訳ではないので、万が一、長寿命化を行った溶融炉が事故や故障等により運用できない状況になった場合は、補助目的を達成できないことになるので、溶融炉だけでなく焼却炉の長寿命化に利用した補助金も返還しなければならないことになります。したがって、中北組合はどのような状況になっても溶融炉を再稼動するという施策だけは選択肢から除外すべきだと考えます。

溶融炉の再稼動を選択肢から除外した場合、地方財政法第8条違反を是正するためには廃止しなければならないことになります。しかし、廃止に当って代替措置を講じない場合は、焼却炉の長寿命化に当って国の補助金を利用することができないので自主財源により老朽化対策を行っていくことになります。そして、自主財源によりごみ処理施設を更新することになりますが、財政負担の最小化を考えた場合は、1つ前の資料にあるようなギャンブルだけは絶対に避けるべきだと考えます。 

原寸大の資料(画像をクリック) 

 

下の画像は、県が今年の6月に作成した沖縄県公共施設等総合管理計画の素案から抜粋した資料です。

沖縄県公共施設等総合管理計画素案(平成28年6月)

「公共施設等総合管理計画」というのは総務省が地方公共団体に策定を要請している計画ですが、地方公共団体においては内閣官房が国や地方公共団体に策定を要請しているインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」と同じ扱いになっています。 

このように、平成28年度において、沖縄県はハッキリと長寿命化を推進することを表明しています。もちろん、その長寿命化には建物だけでなく設備も含まれています。したがって、環境部は中北組合に与えた不適正な技術的援助を適正化しなければならない状況になっています。

原寸大の資料(画像をクリック)

  

下の画像は、中北組合の法令違反の是正と沖縄県の不適正な技術的援助の適正化に関する資料です。 

都道府県による市町村の自治事務に対する技術的援助は、通常は市町村からのリクエストに応える形で行われています。中北組合に対する県の技術的援助もそのようなスキームで与えられたはずですが、中北組合に対する県の技術的援助はあまりにも常軌を逸しています。なぜなら、県は県が自ら定めた廃棄物処理計画の達成を自ら放棄する事務処理を行っているからです。

(注)おそらく、県は中北組合の溶融炉が設備の処分制限期間を経過しているので、廃棄物処理法の処理基準さえ遵守すれば適正な処理を行うことができると判断したと思われます。しかし、溶融炉の休止を認めたことは、設備の長寿命化を拒否することを認めたことになります。そして、県は中北組合の地方財政法違反を誘導したことになります。


いずれにしても、中北組合は法令違反を是正しなければなりません。そして、県は中北組合に対して与えていた不適正な技術的援助を適正化しなければなりません。したがって、県は、中北組合のリクエストに応えるために、①溶融炉を適正に廃止して、②国の補助金を利用して焼却炉の長寿命化を行うことができる技術的援助を与える必要があります。

原寸大の資料(画像をクリック)

以上が、設備の長寿命化に関するこのブログの管理者の意見です。

最後に、下の画像をご覧下さい。

これは、廃棄物処理法に基づく市町村と都道府県の責務を整理した資料です。

 原寸大の資料(画像をクリック) 

市町村には地方自治法の規定に基づいて都道府県に技術的援助を求める権利があります。そして、廃棄物処理法においては、県は市町村の責務が十分に果たされるように必要な技術的援助を与えることに努める責務があります。しかし、県が中北組合のリクエストに応えて平成25年度に与えた技術的援助は法令に違反する技術的援助でした。

そもそも、地方公共団体は法令に違反して事務を処理することができないので、廃棄物処理法第4条第2項の都道府県の責務に関する規定に、上の資料にあるような「ただし書き」はありません。しかし、行政上の規定としてはあります。

平成28年度もすでに1/3を過ぎようとしています。そして、県は6月に長寿命化を推進する県の「行動計画」の素案を策定しています。計画のボリュームは市町村の方が遥かに少ないですが、国から見た場合は都道府県も市町村(一部事務組合を含む)も同じ地方公共団体です。そして、県には市町村に対して必要な技術的援助を与える責務があります。

したがって、8月は、①中北組合が法令違反の是正に着手して、②沖縄県が技術的援助の適正化に着手しなければならない極めて重要な月になると考えます。 

その7に続く


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