2017年6月16日金曜日

ゼロポジから考える総選挙の意義の変化


「本気で勝つ覚悟はありますか?」

番組後半、TBSの竹中氏が辛抱たまらずメンバーに突きつけたコメントに緊張が走る。



SKEのCS番組ゼロポジションにて今年も、総選挙前の特番ゼロポジ生討論がオンエアされた。

番組が進むにつれ、かつてないほどの緊張感と本音がぶつかり合う、手に汗握る展開となった。アルバム発売以降、ようやくシングルリリースも決まり明るい兆しが見えてきたものの今SKEが置かれている状況を考えれば、悠長なことは言っていられないのが現実だ。

AKB本隊は主に姉妹グループを養分とし、数字だけは維持できているが現在のアイドルシーンにおいてひと段落ついており、メインストリームは乃木坂、欅坂にターンが移っている状況だ。SKEを始めとした姉妹グループは、露骨にそのシングルリリースを制限せざるをえない状況が続いている。

総選挙は今年で早くも9回目となった。

かつてAKBとともに鰻のぼりでセールス記録を塗り替えていた頃とは、このイベントが持つ意味合いも少し変わってきている。選抜総選挙はもはや、AKBグループ = 総選挙と言って良いほどそのイメージは世間に浸透している。メンバーもこのイベントの順位で残酷なほど自らの商品価値を査定される機会が非常に多い。

だが、そうなったが故であろうか?

昨今すっかり総選挙自体が”目的”と化していて、あくまで”手段”としてのイベントであったことが忘れられているように感じる。

当たり前だが、総選挙はAKBのシングルメンバーを民意で選ぶためのいち手段としてのイベントである。ここをきっかけにその順位に見合うような、さらなる活躍の可能性を信じてファンは身銭を切って投票するのである。ただ、世代交代やアイドルシーンの変化により、かつてよりAKBの選抜メンバーであるということの価値が相対的に落ちている。

ということは、今までのようにランクインしました!選抜に入れました!やったね!報われたね!良かったね!見つかったね!だけでは、もうもたなくなってきているのだ。

それは回を重ね、ベテランメンバーが増えていることも大きい。

加入3年くらいまでの新人クラスや初ランクインメンバーであれば単純にランクインおめでとう!と祝福しやすいし、それで全然良いのだが、もうランクイン実績がある中堅やベテランメンバーであれば、番組中に宇野氏や竹中氏が綾巴や奈和ちゃんに突っ込んでいたように、やはり+αのビジョンや推したくなるような新たな方向性の提案などを求められる段階に入ってきているのだ。

総選挙成熟化の兆しと言っても良い。

SKEだけでなく姉妹グループのファンは独立化がさらに進んでおり、AKB本隊に興味がない層は増えている。であれば、単純に推しメンが世間見つけてもらいやすいAKBシングルメンバーというショウケースに入れてもらうことは好ましいが、+α何か他に!という欲求は当然出てくるはずだ。

一昨年からファンが注目する枠組みとして第1党というフレーズが定着しつつある。

政治になぞらえて最多議席として考えれば、当然それによって達成されたのち何かが生まれることをファンが期待していることの証拠だろう。昨年、第1党のAKBに提供された感謝祭が今年はない。腹立たしい気持ちにもなるが、投げっぱなしの実現できるかわからない特典を口を開けて待っているより、結果を出してからメンバーからファンのニーズに合致した何かを提案する方がよりファンも乗れるはずだ。

だからこそ、SHOWROOMなどでアピールされるようになった珠理奈の、結果を出してSKEで感謝祭をしたいという発言や高柳明音のアリーナツアー希望発言などは実現性は置いておいても叩き台としては十分意義がある。

今年は運営側からも、全メンバー個人としての選挙目標順位と達成後の公約が発表されるようになったが、運営のレールに乗っかるだけではつまらない。こちらからも動く形で、SKEの未来につながる何かを生み出していくことが大事だ。

民意によって勝ち取った権利で未来を変えていく!

48という文化運動は新たなステージへ突入しようとしている。