みなさんお肉は好きですか?
どんな肉料理が好きですか?
お肉を使ってお料理しますか?
 
私はお肉大好きです。最近は特に鶏肉が好きで鶏肉ばかり食べているけれど、外食といえば秩父名物のホルモン(焼肉)。
そんな私に必要な知識。知っていなくちゃいけないこと。
10年以上前、それを教えてくれたのは内澤旬子さんの著作「世界屠畜紀行」でした。
 
あれからだいぶ時が経ちましたが、先日TBSの深夜番組「クレイジージャーニー」で、銃を使わない狩猟(罠猟)を続けるハンター兼ジビエ調理人・片桐邦雄さんの姿を見て、内澤さんのことを改めて思い出した私。調べてみると「屠畜紀行」の続編ともいうべき本「飼い食い」が数年前に刊行されていることを知り、衝動的に購入しました。
 
普段スーパーで、パーツごとに綺麗に切り分けられ陳列されている食肉だけを見ていると、これがこの世界に産み落とされた命のひとつだということを忘れてしまう。
しかし私の知らないところで、食肉としての命が誕生し、誰かの手によって大切に育てられ、また誰かの手によって血を抜かれ捌かれているという事実がある。この「命の恩恵」と「携わる人への敬意」を内澤さんは著書で知らしめてくれました。
「世界屠畜紀行」によって私の食肉に対しての意識は変わました。そしてその後父が食肉加工場で働き始めたことにより、その認識は私の中でゆるぎなく持ち続けている思っていました。
 
しかし「飼い食い」を読んだことで、内澤さんにさらに上の意識を求められたような気がしました。それについてはまだ私は、心の整理がつきません。内澤さんは長く屠畜を取材した経験があるから行きつけた境地だと思うけど、私は内澤さんの本を読むだけではまだその「境界線」をうまく引くことができません。
 
「世界屠畜紀行」が世界の屠畜現場のルポタージュ作品だとしたら、「飼い食い」は内澤さん本人が実際に豚を飼い、育て、食肉として立派に成長させたのち屠畜して自ら食べるまでのルポです。
 
 
私が今でも悩み続ける境界線とは、動物を「愛玩動物」として育てることと「食肉動物」として育てることの意識の違いです。内澤さんはいずれ自分で食べるために育てる3匹の豚に名前を付けます。そして同じ屋根の下で生活する。その中で3匹それぞれの性格の違いや趣味嗜好を知ったり、豚の表情から彼らの思っていることを創造して言葉にしてみたりします。
内澤さんの一連の行動は実に清々しく、潔いです。私も内澤さんのようになれたらいいのにと心の底から思う。
しかし私はくまちゃんを飼い始めたことでなおさら、悩ましいことになっています。種族も違うこの動物を、1年ちょっと共に生活しただけで自分の子供のように思ってしまっているから…。
 
以前、農業高校の生徒が卵から鶏を育て、最後は自分でさばいて調理する授業というをテレビで見ました。私もその経験をしてみたい。もしくは畜産農家で働くか…その経験をしないとこの意識の隔たりは埋まらないような気がします。
 
なんかすごくまとなりのない文章になってしまいました。何度書いてもうまく書けません。
 
 
追記:
「クレイジージャーニー」に出演された片桐さんは実は、イノシシを1匹ペットとして飼っています。狩猟でつかまえたイノシシの中にひときわ人懐っこいのがいて、それをペットにしたそうです。
そんな片桐さんを見て思ったのは、命を頂くのもその命に対しての敬意、愛情を持って生活を共にするのもその命に対しての敬意だということ。
今それを思い出して、なんとなくうっすら探しているものが見えたような気がしました…。