Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

腐臭と紙一重の芸術

2018-01-04 | 文化一般
来週末の宿をとった。キャンセルするかどうかは分からないが、前乗りでミュンヘンに入って、前日はスキー場で宿泊して、「ラインの黄金」後に帰宅するという計画である。33ユーロほどの宿泊で、問題は雪の状況とリフトなどの価格次第だが、金曜日の午後に少しだけ滑って、ゆっくり休んでが叶えば、こちらから行って往復するよりも帰りが眠くならない筈だ。まだ金が落ちていないのでもう少し調べてみよう。先ずはお勉強だ。

ノイヤースコンツェルトのサイトを見ると以前は再放送は3SATと決まっていたが、今はZDFで生中継後に一月中はオンデマンドになっている。つまり、TV受信機愛用者層と通常のネットとの二つの層が明らかに別れていることを示しているのかもしれない。なるほど幅広い大衆以外にもTV受信愛好者にはドルビーサラウンド愛好者もいるだろうから、ネットで配信されていないものが受信出来るということなのだろう。ただし映像はあんなものを大スクリーンに映しても何も感動するようなものではない。

そうした社会学的な視座にも係るものとして、またまた重慶から面白い話を聞いた。それによると親戚がヴィーナーフィルハーモニカーのコンサートに先日出掛けたというのである。勿論それはノイヤースコンツェルトで、ヴァルトビューネのベルリナーと同じように、世界一価値のあるものとしてシナでも有名なブランドである。要するに市場価値が出来ている。そこで気が付いたというのである。ヴィーナーは重慶などにはツアーを組んでいないと、そして調べてみるとドナウフィルハーモニカー、ヴィーンというのだ。つまり最初の维也纳爱どころか、ドナウまで有り難くついているのである。そして券の価格は同じようにとても高いというのだ。間違いなくこれは詐欺行為だとそのシナ人は騒ぐ。

どこかでハンガリーの関係でこの名前は聞いたことがあるので調べてみるとこれまた面白い。勿論オーストリアどころかドイツやハンガリーやスロヴァキア人で構成されている。そしてその慎重なドイツ語のプロフィールや活動を読むとまた面白い。最も笑わせてくれたのは、敢えて煩わしい書き方で、ヴィーナーフィルハーモニカーの団員の教えを受けた団員などそのアカデミーの若者などともあって、このブランドはどうしても出さなければいけないのは、この手のハンガリーの二大帝国の遺産の様なもので、それだけで稼いでいる人たちが少なくないということだろう。その指揮者つまり寄せ集めの声掛け人の様なものだろうが、ホルスト・シュタインなどの下でアシスタントをしていたような所謂劇場上がりの人で、そこに共演する謂わばドサ周り楽団の専属歌手のような人のプロフィールがまた素晴らしい。

例えば、若手のソプラノでヴィーンの音楽学院で学んで「ミュンヘンでラボエームを好演」と書いてあるものだから、まさかあのゴルダ・シュルツと同じように扱われてはたまらないなと思って調べると直ぐに実況中継ヴィデオが出てきた ― 当然ながら国立音大とか国立劇場とかは一切書いていない。その通りミュンヘンのビアホールかどこかなのだろう。要するに程度の悪いキャバレーである。まさしくこうした芸人も同じように存在する芸の世界は本当に恐ろしい。もう一人は、今度はミュンヘンの国立劇場とかマンハイムとか書いてある。こちらはなるほどカーティスで学んだ学歴もあり上等なキャリアーを歩んでいるかにみえるが、そのヴィデオを見ると全くキャリアーを積む可能性はないと思わせる歌唱力である。典型的な名門マンハイム市立劇場やカールツルーヘ国立劇場のアンサムブルの程度である。なんと大胆にも2013年にヴァインベルクのオペラが実況録音してあって ― ライヴの三枚組で36ユーロはないだろう、録音したSWRマンハイムにいくら払った? ―、 「彼の有名なご当地のアンサムブルの響き」がネットで聞けるのである。指揮者が変わろうが何があろうが同じようなアンサムブルを展開していて、私にとってはドイツの名門劇場の典型的な響きである ― だからこそ私だけでなく、器楽奏者の多くがオペラなんてと嫌悪しているのである。そう言えば上のドナウフィルハーモニカーも当時のオリジナルな響きを追及するとか古楽器奏者の様な事を書いている ― 恐らくポルタメントなどをアンドレ・リュウ顔負けにツィンバロンなどと一緒に奏でるのだろう。
Puccini, La Boheme - Musetta - Astrik Khanamiryan

Mahler - Der Einsame im Herbst


今度は先方の重慶大劇場のサイトを調べてみると、残念ながら12月のアーカイヴは残っていなかったが、1月に徳国何とかがあったので開けてみるとハムブルク交響楽団とあった。「ケント・ナガノが」と一瞬思ったので調べてみると、ローカルの交響楽団で今はベルリンのフィルハーモニカーを首になったブラウンシュタインが顔になっていて、正式名称はシムフォニカーハムブルクらしい。こちらは上のドナウとは流石に違うようで、その実力通りに最高800人民元最低40元だから100ユーロから5ユーロほどの徴収となっていて良心的な価格設定だ。しかし上の詐欺紛いの楽団は最高額1200人民元ほどを徴収していたのだから、その法外な要求額が分かる。一月に一度ほどのお仕事らしいがここハイルブロンの近くでも演奏会を開くというから厚顔の兵揃いである。

そのような典型的な響きとは少し異なるからヴィーンとかドレスデンとかはそれが当地の音楽劇場のブランドを形成しているのだが、ひょんなことからそこの「指輪」上演ストリーミング放送の予告サイトにヴィデオを見つけて笑ってしまった。同じような下手な演奏を恥かしげもなく出しているのはゼンパ―オパーも同じだったが、このヴィーンのそれも負けずである。更に次には出てこないニーナ・シュテェムメの映像まで使っているから質が悪い。これでヴィーンのブランドで銭を取ろうとする商売は卑劣だ。
Richard Wagner: "Das Rheingold" (Trailer) | Wiener Staatsoper

Richard Wagner: "Die Walküre" (Trailer) | Wiener Staatsoper

Richard Wagner: "Siegfried" (Trailer) | Wiener Staatsoper

Richard Wagner: GÖTTERDÄMMERUNG (Trailer) | Wiener Staatsoper


先日のノイヤースコンツェルトの恐らくドナウ右岸のワイン地所の映像が流れていたが、あの雑種栽培のようで如何にも程度の低い栽培風景と同じで、こうしたガタガタごてごてしたものを聞くとその程度こそ違え上のドナウ何とかなどの活動などと紙一重の感じがする。なるほどオペラ劇場なんて所詮その程度の娯楽でしかなく、訳の分からない外国人やそうした観光客にブランドとして高く売りつければよいというのアルプスの小国の経済として理解する。しかし、芸術においてこうすることでドナウ何たらのような腐臭を放つものと紙一重なのである。ワインに不凍液を混入させたような社会背景である。だから審美眼を磨かなければいけないのだ。それは聴衆の社会的義務である。



参照:
高額であり得ぬ下手さ加減 2016-03-25 | 文化一般
老支那人と小日本人 2014-01-08 | 歴史・時事

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