Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

二日間の試飲の旅

2018-05-08 | 試飲百景
土曜日のシェーンレーバー醸造所での試飲会も盛況だった。要点は、大まかに二種類の系統のどちら側を狙うかだった。最近は赤系統の土壌の方を選んでいたが、昨年はその「フリュータウ」の評判も悪かった。もともとは青系一点張りだったが、最近は反対の方に靡いている。その理由は、もう少し厳しく芳醇なフォンフォルクセン醸造所の地所のリースリングやヴァイル醸造所の構造的な「グレーフェンベルク」などの出来が向上しているからで、どうしても他の醸造所との比較になる。

今回も以前購入していたグーツリースリングなども価格的には魅力的なのだが、その果実の強さや押しの強さが鼻につくようになっている。要するに以前よりもドイツのリースリングは繊細で複雑になって来ているからだろう。一点張りの味の嗜好では頂点には残れない。だからやはり「フリューリングスプレッツヘン」などのチョットしたオレンジの皮の苦みなどがとても好ましく、その樽試飲においても広がる香りは先を期待させるものがある。その点「ハレンベルク」の青スレートの構築感も崩れや苦みなどがあるとあまり受け付けられない。昨年の秋の親仁の反応を見ていてもかなり酷く遣られて何とか収穫に漕ぎ着けたことを知っているから、その先入観念からはどうしても逃れられない。

同様にその時に立ち寄ったデーノッフ醸造所の収穫への見込みは期待させるものがあり、今回の便りにおいても小試飲においてもそれを裏付けた。つまり量より質の収穫年となったという事である。その意味において、例年とは異なる美しい酸を堪能できた。

何時もの様にキュンストラー醸造所のゲストとして先代の奥さんが来ていたので彼女に言った。「正直、毎年酸が物足りないので下位の物は買えないのだけど、今年は違う」とグーツリースリングや「カーレンベルク」が買える出来だったのだ。そして昨年売れ残りを購入した「カーレンベルク」について「あれから寝かすとどんどんとよくなったよね」と話した。

この醸造所に通うようになってそれほど経たないが、「いつも酸が物足りないから何時もグローセスゲヴェックスしか買わないんだ」と告白した。今年は最初からつまり瓶熟成の前から酸が綺麗に出ていて気持ち良い。「カーレンベルク」も欲しかったが、六月に出かけるので、先ずはグーツリースリングを持って帰ることにした。それだけでない。簡単なカビネットも中々で、全く糖の嫌味を感じない。これならばテラスワインとして特に日本なんかではきりっと冷やしてシャンペン代わりに飲めるよとなった。そして泡物とは違って、ワインの複雑さまで楽しめる。これに文句を言う者は居まい。甘くなんて全くないのだ、美味いのだ。奥さんに言った。「甘口ではオタクが一番だよといつも言っているのだ」と。



参照:
土産になる高品質甘口ワイン 2016-05-30 | 試飲百景
飲み頃を探る試飲談話 2015-09-15 | 試飲百景

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 着陸コースの空の下 | トップ | 決してCPで負けない »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
酸味なら (Taxifahrerin)
2018-05-09 03:56:20
腐乱県ワインは一般的に酸味が強いです。
ここらの人にアルザスのげぶるつを振る舞ったら、リキュールかと言われました。
本格的な辛口とは雑食砂岩土壌のリースリング (pfaelzerwein)
2018-05-09 04:35:12
Taxifahrerinさん、初コメントありがとうございます。

「フランケンはトロッケン」と思われていますが、それには誤解があります。一つは品種、一つは土壌が関わっています。

ゲヴュツトラミナーは気候的にドイツなどでは難しく、南ティロルでないと本格的なものは出来ません。つまり糖を残すことで味を調えているだけです。フランケンのジルファーナーは酸が弱いので糖を残さないように醸造します。先ずこれが誤った理解を助長しています。

問題はリースリングで、これは酸が強いので容易に糖を落とす醸造は出来ません。そこでモーゼルなどの甘口が甘いドイツワインの代名詞となりました。しかし最近は国内では糖を残したリースリングの消費は僅かになりました。

土壌を反映するリースリングの場合は、酸の出方の違いで、甘い辛いが判断されて、フランケンの石灰土壌がなんとなく「きりっ」とした印象を与えるのです。これが「辛口のフランケン」の二つ目の誤解です。

しかし石灰土壌のリースリングは経年で黄色くなって、酸が落ちて、もちません。つまり二年ほどで飲み干す単純なリースリングを中心に醸造されるために、保存に堪えるだけのアルコールも糖分もコクも必要ないのです。これが「きりっとした」の正体です。

リースリング愛好家は、長持ちして、複雑で、経年変化するリースリングを買い付けるために、石灰土壌のリースリングは殆ど意味を持たず、石灰成分を含まないシーファーや雑食砂岩、花崗岩などが珍重されるのです。その中でも本格的な辛口とは雑食砂岩土壌のリースリングを指します。

コメントを投稿